
いよいよ「本番」──手法を総動員する日
Day1で分析の姿勢を学び、Day2で可視化の手法を身につけ、Day3で回帰分析とモデル化を習得した。Day4は、それらすべてを使ってひとつのケースに取り組む総合演習です。
舞台は、ある小規模なベーカリー。売上データ、顧客の購買データ、商品ラインナップの情報が渡され、「売上の現状を分析せよ」「客単価を上げる施策を考えよ」「今後の成長のために何をすべきか」という問いに取り組みます。
Day4はレポート課題にもなっている回です。この記事では分析の結論ではなく、総合演習を通じて得た気づきと学びに焦点を当てて振り返ります。
「どこから手をつけるか」で悩む
個々の手法は理解しているはずなのに、いざ実データを前にすると手が止まる。Day4で最初にぶつかったのは「どこから始めるか」の壁でした。
売上推移を時系列で見るべきか? 商品別のパレート図から始めるべきか? 顧客セグメントで分解すべきか? ──選択肢が多すぎて、正直迷いました。
ここで立ち返ったのが、Day1で学んだ「結果を分解する」という鉄則です。
まず売上という「結果」を、時間軸、商品カテゴリ、客数・客単価といった切り口で丁寧に分解していく。すると、全体としては見えにくかった特徴やパターンが浮かび上がってきます。
分析の入り口で迷ったら、まず結果を分解する。Day1の学びが実践で効いた瞬間でした。
Excelと格闘する時間の価値
Day4では大量のデータをExcelで処理する必要がありました。ピボットテーブルでクロス集計し、グラフを作り、切り口を変えてまた集計する。正直なところ、かなりの時間がかかります。
しかし、このExcelとの格闘の中にこそ学びがありました。
グラフを作ってみたら「あれ、この商品カテゴリだけ動きが違う」と気づく。別の軸で並べ替えてみたら「この時間帯にこの組み合わせが多い」と見えてくる。手を動かすことで仮説が生まれ、仮説がデータで検証され、さらに新しい問いが出てくる──この循環が、総合演習のいちばんの醍醐味でした。
講師が繰り返し言っていた「手と頭の両方を使うことが肝要」という言葉の意味が、Day4で初めて体感として理解できた気がします。
相関分析の「使いどころ」が広がった
Day3で学んだ相関分析は、Day4で意外な活用法として登場しました。
アンケート結果の「どこに手を打つか」問題
授業では、ある旅館の顧客満足度アンケートを題材にしたディスカッションがありました。
食事、部屋、施設、サービス、予約、料金──各項目の満足度スコアが出揃っています。「どの項目を優先的に改善すべきか?」
直感的には、スコアが低い項目を改善すべきと考えがちです。しかし授業で示されたのは、もうひとつの視点でした。
各項目と「リピート意向」との相関を見るのです。

すると、平均スコアが同じ4.0の「食事」と「施設」でも、リピート意向との相関が0.82と0.20で大きく異なるケースがある。つまり、食事の満足度を上げればリピーターが増えるが、施設に投資してもリピートにはあまり影響しない──ということがデータで見えてくるのです。
「結果系」のデータとの相関を見ることで、ビジネスに本当に効く改善ポイントが特定できる。
この考え方は非常に汎用性が高く、すぐにでも実務で使えると感じました。
アンケート設計に活かす

さらに発展して、アンケート設計の段階から相関分析を前提に設計するという視点も示されました。
リピートや売上といった「結果」がわかるのは先の話ですが、「この旅館をまた利用したいか」という設問をあらかじめ入れておけば、回収した時点で各項目との相関を分析できます。
打ち手の効果を評価するための仕掛けを、データ収集の段階で仕込んでおく。これはDay2で学んだ「前捌き」の発想をさらに上流に適用したものです。
「もがく」プロセスが分析力を鍛える
Day4の総合演習を通じて最も強く感じたのは、分析力は手法の知識ではなく、実践の中で鍛えられるということです。
テキストで回帰分析の手順を覚えても、実際のデータで「どの変数を使うか」「外れ値をどう処理するか」「この結果をどう解釈するか」は自分で判断するしかありません。
正解を教えてもらうのではなく、自分で試行錯誤して「なぜうまくいかないか」を考える。そのプロセス自体が学びです。
講師の「急がば回れ」という言葉がDay1でも出てきましたが、Day4で改めてその意味を実感しました。データ分析に近道はなく、手を動かし、頭を使い、仮説と検証を繰り返すことでしか身につかない力があります。
Day4で持ち帰った3つのこと
- 迷ったら「結果を分解する」に立ち返る。 複雑なデータを前にしても、分析のスタートは常に同じ。
- 相関分析は「結果系」のデータと組み合わせる。 スコアの低さだけでなく、ビジネス成果との関連性で改善の優先度を判断する。
- 手を動かすことでしか得られない気づきがある。 テキストの理解と実践の間には距離があり、その距離を埋めるのは試行錯誤。
Day4は、3回分の学びを統合する回であると同時に、「自分はまだまだだ」と痛感する回でもありました。しかしこの「まだまだ」という感覚こそが、成長の起点なのだと思います。
次回のDay5では、テーマが大きく変わります。不確実性の中での意思決定──感度分析とディシジョンツリーの世界に入ります。
参考書籍
– 『Excel最強の教科書「完全版」──すぐに使えて、一生役立つ「成果を生み出す」超エクセル仕事術』SBクリエイティブ(藤井直弥、大山啓介著)── 総合演習のExcel作業で威力を発揮。ピボットテーブルやグラフ作成の実務テクニックが充実
– 『問題解決──あらゆる課題を突破する ビジネスパーソン必須の仕事術』英治出版(高田貴久、岩澤智之著)── 問題の特定→分解→打ち手の流れを体系的に学べる。Day4のケース分析の思考プロセスと親和性が高い


