マーケティングミックス4Pとは|バーミキュラに学ぶ顧客体験【MBAマーケティング Day5】

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本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。

MBAの基礎科目「マーケティング・経営戦略基礎」で扱ったケースを、講義で使ったフレームワークに沿って解説します。


目次

1. 冒頭のフィードバック ―「結論に至るまでのプロセス」

Day5は、事前課題への講評から始まる。

前回お伝えした「マーケティング戦略策定の基本プロセス」を基に、
・フレームワークを活用し作成された方
・結論のみを箇条書きの方
がおられました。どちらも結論は同じ、なのですが……

大事なことは、「結論に至るまでのプロセス」です。
なぜ、そのように考えたのかを論理的に語れることで「多くの人を動かすことができる」「再現性が担保できる」。是非、フレームワークを活用し、結論づけた「根拠」をプロセスで語れるようにしましょう!

結論が同じでも、根拠がなければ組織は動かないし、次も当たるとは限らない。再現性という一語が、この科目全体の価値を言い当てている。


2. ケース概要 ― 老舗鋳造メーカーが作った炊飯調理家電

バーミキュラ ライスポットは、愛知県名古屋市に本社を置く老舗鋳造メーカー愛知ドビー株式会社が開発・販売する、炊飯機能を持つ調理家電。炊飯だけでなく、炒め料理・煮物・無水調理・ロースト・低温調理・発酵調理・オーブン機能まで対応する。

時期出来事
2016年12月ライスポット発売 → 約1年で累計受注台数5万台突破
2018年同機能をより小さなサイズで実現したライスポット ミニを発売
2019年1月末日本国外での販売本格化直前に、累計受注台数10万台突破

「世界一と確信できる製品を作ったのだから、世界中の料理を愛する人に使ってもらいたい。そのためにバーミキュラ ライスポットを開発しました」
―― 代表取締役副社長 土方智晴

一般家庭のみならず、外資系ホテルの有名レストランのシェフや銀座の寿司職人などプロフェッショナルにも愛用され、5台以上が並ぶ厨房も珍しくない。

愛知ドビーの本社(名古屋市)。1936年創業の鋳造メーカーが、精密加工技術を武器に調理器具へ参入した。
愛知ドビーの本社(名古屋市)。1936年創業の鋳造メーカーが、精密加工技術を武器に調理器具へ参入した。
写真:円周率3パーセント/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

なぜプロが使うのか。 鍵は「スチームコンベクションオーブン(スチコン)」との関係にある。スチコンは焼く・蒸す・煮る・炊くを1台でこなし、温度センサー内蔵で再現性が高く、人件費比率の高い外食産業で重宝される。ただし1台数十万〜数百万円と高価で、大きい。厨房に1台しかないことが多く、料理人は「いつ、何の工程にスチコンを使うか」に悩む。ライスポットはこの悩みを解く。


3. この回の問いと、記事の構造

この回で解こうとしている問いは、大きく3つある。

  • ライスポットのターゲットは誰で、それぞれに何を提供価値として言うのか
  • なぜヒットしているのか。 マーケティングの全体像を押さえたうえで説明できるか
  • 国内での売上を最大化するには、次に何をすべきか

1つ目がSTPの復習、2つ目が4Pと顧客体験、3つ目が発展。ただしDay5の真骨頂は、2つ目の「そのうえで、さらに踏み込みます」の先にある。


4. 問い1|ターゲットと提供価値

4-1. ターゲットは「決め打ちせず、網羅的に」

ターゲットを考える際は、決め打ちで考えるのではなく、「前提」「抜け漏れがないように網羅的に洗い出す

まず大前提を置く ―― 【一般ユーザー】料理を楽しみたい&味にこだわりがある人。そのうえで既存/新規で切る。

区分ターゲット案選んでもらうための課題仮説
新規ユーザー① 高性能の炊飯器を探している層他社製品以上の付加価値訴求ができるか?
新規ユーザー②(家電のみならず)高性能の調理器具を探している層多種多様な調理器具の中で際立った特徴・付加価値を訴求できるか?
既存ユーザー③ バーミキュラ(オーブンポットラウンド)愛用者現在の満足以上の付加価値を作れるか?
プロユーザー④ スチコンの利用ニーズがあるプロ料理人スチコンの不満を解消でき、かつスチコンと同等の付加価値が出せるか?

ターゲットに選んでもらうための課題もセットで考えておくことで、訴求すべき価値は何か? を考えるヒントを得ることができる

「誰に売るか」だけでなく「その人がなぜ今買わないのか」をセットで置く。課題が分かれば、訴求すべき価値が逆算できる。

4-2. ターゲットを「人」として具体化する

ケース添付資料2に登場する実在のユーザー像で、ターゲットを肉付けする。

① 高性能の炊飯器を探している層
味にこだわりがあり、高性能の炊飯器を探している層(単身ではない?)。例えば市場として既にある三菱電機、象印などの高性能炊飯器を検討している層。

推定50代後半〜60代前半のご夫婦。Bさんご夫婦、2人暮らし、茨城県在住、オーブンポットラウンド#22/ライスポットミニを愛用。
「バーミキュラで、定年後の夫婦の食卓が一段と楽しくなった」
「いい素材で、少量食べるのが、この歳になっての豊かな食だと思う。料理が楽しくなった」

③ バーミキュラ(オーブンポットラウンド)愛用者
既にオーブンポットラウンドをあらゆる料理で使用しており(複数台あれば尚良いと考えている)、炊けるご飯の美味しさを理解しているが、(潜在的に)伴う手間も実感している層。

推定30代後半〜40代前半のご夫婦と子供3名。Iさんファミリー、5人暮らし、神奈川県在住、オーブンポットラウンド#18・#22・#26/ライスポットを愛用。
「バーミキュラが来てから、家族の笑顔が増えました」
「もうバーミキュラがないなんて考えられない。調味料が少なくなり、料理がカンタンになりました」

属性(年齢・世帯構成・世帯年収)、ライフスタイル、ニーズ・悩み ―― この3点セットで顧客を描く。Day4の「悩み、苦しみ、感情にまで共感する」の実践である。

4-3. ライスポット開発の狙いと課題

そもそも、なぜ愛知ドビーはライスポットを開発したのか。

狙い:バーミキュラ(この時点ではオーブンポットラウンドのみ)を世界中の料理をする人に使ってもらうため
課題:①為替や関税によって発生する価格差(約2倍) ②海外メーカー製品と比較して(愛知ドビーが思うような)”価値の違い”を認識してもらえない

他社の鋳物ホーロー鍋と比較して価格差2倍。どう克服するか。

価格差を克服するには → 圧倒的な価値をつくり、他の鋳物ホーロー鍋とは一線を画す存在としてターゲット顧客層に知らしめる。そして価値をつくるだけでなく……
“価値の違い”を認識してもらうには → 大前提として、バーミキュラ側の推奨通りに使ってもらうことが必要。ただし、既に推奨の使用方法や火加減などは丁寧に説明している(説明書に記述、自社サイトに掲載、プロには口頭でも…)
使う側の”こだわり”や”調理スキル”に関係なく、推奨通りの使用方法や火加減を実現する方法を考案する

「使う側の”こだわり”や”調理スキル”に関係なく、推奨通りの使用方法や火加減を実現する価値」を「新たな価値」として付与することで課題解決につながるのではないか?

そして念押し。

価値を作ることは重要。”伝わる”工夫も怠らないことが同様に重要!

これがライスポットという製品の存在理由である。鍋の性能を上げたのではなく、「鍋の性能を誰でも引き出せる状態」を製品化した。 ポットヒーターという発明の本質はここにある。

日本市場についてはもう一段の判断がある。

新製品を愛知ドビーにとって実績のない新たな市場(海外)に出すにはリスクが大きい → まずは調理器具として一定の評価を得られている日本で実績やローカライズの成功モデルを作ってから海外市場へ進出すべきではないか?
ローカライズの成功モデルとは? → 「各国の火加減が難しい象徴的な料理で使えるものであること」を新製品の価値として(加えて)伝えること
⇒ 日本においては「ご飯が美味しく炊ける価値」を新製品の価値として伝えるべきではないか

「炊飯器」という形をとった理由が、グローバル戦略から逆算されている。

4-4. 4つのポジショニングマップ

軸は「(ライスポットは)●●できる」で表現する。そして競合に勝てる軸になっているか、競合製品をプロットして確認する。

① 高性能の炊飯器を探している層への訴求

軸:「ご飯が美味しく炊ける(ことが期待できる)⇔ ご飯が炊ける」 × 「手軽に多彩な料理ができる ⇔ 多彩な料理はできない」

内容
ターゲット味にこだわりがあり、高性能の炊飯器を探している層
利用シーン毎日、良い素材を使って(炊飯含む)調理し、(家族で)美味しいものを食べたい
訴求高性能炊飯器以上にご飯が美味しく炊けるし、(無水調理を中心に)手軽に多彩な美味しい料理をつくることができる

競合プロット:高性能炊飯器(炊けるが多彩な料理は不可)/オーブンポットラウンド・他社ホーロー鍋(多彩だが火加減にコツが必要)/ほったらかし調理家電=ホットクック(ターゲットと提供価値が異なるため競合しない

② 高性能の調理器具を探している層への訴求

軸:「手軽にオシャレな調理・食事体験ができる ⇔ 日常的な調理・食事体験ができる」 × 「手軽に多彩な料理ができる ⇔ できない(火加減にコツが必要)」

内容
ターゲット自宅で家族や友人と料理・食事を楽しむために高性能かつオシャレな調理器具を探している層
利用シーン自宅で家族・友人とホームパーティー、手軽にオシャレで多彩な料理を失敗なくつくりたい
訴求器具単体のデザイン、調理方法、料理のバリエーションや完成後の見栄えなど、すべてにおいてオシャレで満足度が高い体験ができる

③ バーミキュラ愛用者への訴求

軸:「バーミキュラで簡単に美味しいご飯を炊ける ⇔ 美味しいご飯を炊ける」 × 「より手軽にいつもの無水調理ができる ⇔ 無水調理はできない」

内容
ターゲットオーブンポットラウンドをあらゆる料理で使用しており(複数台あれば尚良いと考えている)、炊けるご飯の美味しさを理解しているが、(潜在的に)伴う手間も実感している層
訴求愛用のバーミキュラと同様の製品で美味しいご飯を炊けて、より手軽にいつもの無水調理ができる(火加減調整不要、タイマー機能有り)

④ トップシェフ層への訴求

軸:「スチコンを代替できる ⇔ 代替とはいかないが目的に応じた調理ができる」 × 「厨房に複数台置くことができる(低価格でコンパクトだから)⇔ できない(高価格で大きいから)」

内容
ターゲットスチコンを様々な料理の調理工程で活用し、美味しく調理しかつ仕込みや調理を効率化したい(他のユーザーに影響力のある)トップシェフ
利用シーンスチコンを使う料理は決まっていて他の料理に使えない
訴求数台スチコンを置くよりも、低価格でコンパクトなため、厨房に置きやすく様々な料理に活用できる

他のユーザーに影響力のある」という一語に注目したい。トップシェフは売上規模としては小さいが、推奨の起点として設計されている。問い2の伏線である。

4-5. 問い1のポイント

顧客の「できる」を伝える
自社の製品・サービスで実現できること(○○できる)を顧客の視点に立ってクリアにコミュニケーションする。ポジショニングはターゲットへのウリ文句(何て言ってあげると自社を選んでもらえるか)

※ポジショニングは、ターゲット顧客のニーズに対して、自社製品・サービスのどの価値を提供するか? の「企業の意思」。同時に調査を通じてズレを修正する

なお補足として、実務での順番の柔軟性も示される。

既存製品のリニューアルなど(外部環境が大きく変わっていない、狙うべきターゲット層がある程度見えている)際は、「S・T」や「P」や「4P」から分析する場合もある。ただし、考えたあとに、全体がSTP→4Pの流れになっているかを必ず見直すことが重要


5. 4Pを一つずつ

5-1. Product ― コトラーの製品特性モデル(3層)

「自社が顧客にどのような”価値”を提供しているのか」を構造的にとらえ直す。

【製品の中核(Core)】中核となるベネフィットまたはサービス
【製品の形態(Tangible)】機能/デザイン/品質/パッケージング/ブランド
【製品の付随機能(Augmented)】アフターサービス/保証/配達と信用供与

自動車の例:中核=移動&輸送/形態=走行性能、居住性、燃費性能、インテリア、エクステリア、エアバッグ、ABS/付随=指定日時に自宅まで納車、低金利ローン

カラオケボックスの例:中核=歌を歌える/形態=個室(防音)で歌える、老若男女問わず曲が選べる、音質のよさ、イメージ画像付き、採点機能/付随=24時間営業(始発を待てる)、飲める・食べられる、パーティ企画付き、カラオケで人と繋がる・称賛される

コトラーの製品3層モデルの同心円図と、カラオケボックスを例に中核・形態・付随機能を分解し、中核をずらすと新業態が生まれることを示した図
自社が売っているものを3層に割ると、いま何で戦っているかが見える。そして「形態」や「付随機能」を中核に据え直すと、別の業態が立ち上がる。

ここでミニ演習が入る ――「あまり繁盛していないカラオケボックス店、生まれ変わらせるためのアイデアは?」

答えの例:バンド練習、カラオケ教室、ランチパック、宿泊できる、貸し会議室・仕事場、英会話スクール、お昼寝スペース……

製品「形態」や「付随機能」を中核機能に据え直し、製品を進化させていくことも可能

「個室(防音)で長時間いられる」という形態を中核に据え直せば、それは貸し会議室でありワークスペースである。実際、コロナ禍でカラオケ各社が取った打ち手そのものだ。

携帯電話の3層の変遷も示される。

年代中核形態付随機能
1980年代移動しながら電話ができる(これだけで新しい)
1990年代小さい、軽い、バッテリー、電波
2000年代音楽を聴ける、写真を撮れる、TVを見ることができる

製品が普及するにつれ、競争の土俵は中核→形態→付随機能へ移動する。

5-2. Product ― PLC(プロダクト・ライフサイクル)

導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期。縦軸は業界規模、横軸は時間。

顧客タイプと人口比率(イノベーター理論)と重ね合わせる。

段階顧客タイプ比率製品の競争ポイント
導入期イノベーター(マニア)2.5%中核となるベネフィット
導入期〜成長期アーリー・アダプター(新しもの好き)13.5%
成長期アーリー・マジョリティ(初期大衆)34%製品の形態
成熟期レイト・マジョリティ(後期大衆)34%
衰退期ラッガード(遅滞者)16%製品の付随機能
プロダクトライフサイクルのS字カーブに、導入期から衰退期の顧客タイプの比率とキャズム、競争ポイントが中核から形態、付随機能へ移動することを重ねた図
プロダクト・ライフサイクルは売上の絵ではなく、誰に何を言うべきかの地図である。段階が進むと購買層が入れ替わり、競争ポイントも中核から付随機能へ移る。

キャズム(深い溝):16%を超えたい
製品の普及時期によって、主な購買層と製品の競争ポイントが異なる

PLC各期のマーケティング定石も一覧化される。

導入期成長期成熟期衰退期
売上高低い急成長低成長低下
利益マイナスピークへ低下へ低下
キャッシュ・フローマイナスプラスへプラスマイナスへ
競合企業ほとんどなし増加多い減少
マーケティング目標市場拡大市場浸透シェア維持生産性の確保
マーケティングの重点製品認知ブランドブランド・ロイヤルティ選択的
ターゲット改革者大衆大衆保守的顧客
製品戦略基礎開発ライン拡大差別化ライン縮小
流通戦略共同(限定)チャネル拡大重点チャネル化選択/限定
価格戦略高いやや低い最低上昇
プロモーション戦略教育啓蒙的特徴の強調実利的手段効果の減退

※唯一絶対の正解ではない。あくまでもひとつの参考。

製品の分類も押さえる。物理的特性(非耐久財/耐久財/サービス)、使用目的(消費財/生産財)、購買プロセス別(最寄品/買回品/専門品)。顧客の製品への関心の持ち方や買い方、KBFは、製品の性質によって異なる。

【Productまとめ】
・自社製品で顧客にどのような価値を提供するのか、製品の3つのレベルで構造的にとらえ直し明確にする。また中核価値をズラして新しい業態やサービスで勝負できることがある
・製品が提供する価値(中核、形態、付随)を自社製品のPLCにあわせることで、狙うべきターゲットや勝負する価値の軸をブレずに決められる
・そのためには、自社製品がPLCのどのステージにいるのか、見極めることがとても重要

カスタマーバリューを上げて価格を守る、というこの節の考え方を、物語形式で一気に掴める。

5-3. Price ― 値決めは経営

価格決定に影響を与える3要素

【上限】① 顧客 <カスタマーバリュー>
              ↕  プライシング可能帯
       ② 競合(競争環境)<競合/代替品の価格>
              ↕
【下限】③ 自社 <製造コスト>

上限(カスタマーバリュー)は所与ではない。意図をもったアクションでカスタマーバリューを高める(価値のわかる顧客の選別、価値を伝えるコミュニケーション)。同時に製造コストを下げる努力も必要。

新製品導入時の2つの価格戦略

ペネトレーション・プライシング(浸透戦略)スキミング・プライシング(上澄み戦略)
定義市場シェア獲得のため、新製品の価格をコストぎりぎり(もしくはそれ以下)に設定初期に高価格を設定して、早期の資金回収を図る
前提条件潜在需要が大きい/価格弾力性大きい(価格を下げれば需要拡大)/規模の経済・経験効果が効く(あとで投資回収が可能)製品に差別化要素がある/価格弾力性小さい(価格が高くても買ってもらえる)
期待効果早期にシェアを確保/低マージンにより競合他社の参入意欲を減退させる/製品を広く認知させられるシナリオ通りなら莫大な利益/早期に投下資金を回収/プレステージ性のあるブランドを確立/市場の良質な顧客ベースを確保
リスク期待通りにコストが下がるとは限らない/初期に資金繰り上の負担競合の参入意欲が高い/トータルの収益は僅少になる恐れ

そして稲盛和夫の「値決めは経営」が全文引用される。

経営の死命を制するのは値決めです。(中略)自分の製品の価値を正確に認識したうえで、量と利幅との積が極大値になる一点を求めることです。
値決めは経営を大きく左右するだけに、私はトップ自らが行うべきものと考えています。そうすると、どの値をとるかということは、トップが持っている哲学に起因してきます。強引な人は強引なところで値段を決めるし、気の弱い人は気の弱いところで値段を決めるでしょう。
もし値決めによって会社の業績が悪くなるとすれば、それは経営者の器の問題であり心の問題であり、経営者の持つ貧困な哲学のなせる業だと私は思います。

4Pのうち、価格設定(Pricing)は特にすぐ利益に大きなインパクトを与える。何が戦略の目的かをしっかりと考え、値決めすること!

【Priceまとめ】
・自社のコストの高低だけを考慮して決めるのではなく、競合のプライシング、顧客のカスタマーバリューを見極めたうえで決める
・PLCのステージによっても取るべきプライシング戦略が変わる(市場シェアを取る必要のある導入期ではペネトレーションが基本)
・プライシングは、経営視点で考える、極めて戦略的な意思決定と捉える

5-4. Place ― 二面性を持つ

流通が介在することで取引全体が効率化される(メーカーM×消費者Cの組み合わせ数が、流通Dを挟むことで激減する)。

流通チャネルの役割 ― 生産者と消費者の4つのギャップを埋める

ギャップ埋め方
所有生産物を消費者の所有物にする(商流:所有権の移動、売上回収・資金融資)
空間生産者から消費者への物理的な移動(物流:製品輸送・在庫保管・流通加工)
時間生産と消費の時間的なズレを埋める
情報使用方法の説明、顧客ニーズの収集、マッチング等(情報流

近年は4つめとして「情報流」の役割が高まっている

チャネル段階:ゼロ段階(直販)/1段階/2段階/3段階。段階が増えるほど市場カバー率は高まるが、自社でコントロールしにくくなる。そのため多くの企業で「ハイブリッドチャネル(複数のチャネルを使い分ける)」が選択される。

流通チャネルの二面性

内容
競争優位の源泉競合に先立って優良なチャネルを確立し囲い込めれば、競合が模倣するのは難しく、競争優位性を持続させやすい
変革の足枷思いのままにコントロールすることが難しい、あるいは時間がかかる ⇔ 変化対応に遅れ。そのチャネルが時代遅れになっても急に変更できず、企業にとって負債になってしまう可能性がある

流通チャネルは、他のマーケティング・ミックス要素とは異なり、「他社(者)」や「人」が絡み、いちど固まってしまうと、変更するのが難しい

Day2の「構築されたVCは容易に模倣されにくい(ただし方針変更もしにくい)」と完全に同型の命題である。

5-5. Promotion ― 顧客の「心の動き」に合わせる

態度変容プロセスモデルとコミュニケーションミックス

【認知】Attention 注意 → Interest 興味 → Memory 記憶
【感情】Desire 欲求
【行動】Action 行動

各段階で効くコミュニケーション手段が異なる:広告/パブリシティ/人的販売/SP(販促)/クチコミ。

顧客が今どのような状態でいるか(の仮説)によって、取るべきコミュニケーションの「狙い」とその組み合わせ(ミックス)は異なる

様々な態度変容プロセス

モデルプロセス
AMTULAwareness(認知)→ Memory(記憶)→ Trial(試しに使ってみる)→ Usage(繰り返し使う)→ Loyalty(固定客になる)※各段階が再認知名率/再生知名率/使用経験率/主使用率/今後の購買意向率で測定できる
AISASAttention → Interest → Search(検索) → Action → Share(共有)
AISCEASAttention → Interest → Search → Comparison(比較)Examination(検討) → Action → Share
コトラーの5AAware(認知:たくさんのブランドを知る)→ Appeal(訴求:ブランドに引きつけられる)→ Ask(調査:友人に助言を求める/オンラインで検索)→ Act(行動:店舗かオンラインで購入)→ Advocate(推奨:ブランドを使い続ける/他者に推奨する)

従来に加え、「検索」「共有」「推奨」など新しい購買行動が追加されている

5-6. 本日の重要なスライド ― ZMOT

Googleが提唱するZMOT(Zero Moment of Truth)

Stimulus(刺激を受ける)
    ↓
【ZMOT】情報収集する         ← ここが決定的
    ↓
First Moment of Truth(棚からカートに入れる)
    ↓
Second Moment of Truth(体験する)

人物Aの購買・使用体験が、別の人物B・C・D…にとっての情報=ZMOTになる(例:アマゾンのレビューなど)。スマホの普及でより加速している

※「Moment of Truth(真実の瞬間)」=従業員と顧客との平均接客時間の15秒で成功が決まる(元スカンジナビア航空CEO ヤン・カールソン)。

既存顧客の”体験”が、次の顧客の”情報”になる。 この一文が、Day5後半のすべてを規定する。

【Promotionまとめ】
・「顧客の状態をどこからどのようにしたいか見極め、最適なコミュニケーションプランを立てる」のが重要(顧客状態の可視化
・広告はじめ、コミュニケーションプランの策定にあたっては、目的や目標を明確にし、PDCAに反映させることが重要。あいまいな期待だけに基づいた広告では、効果は薄い(効果の可視化

5-7. 4P全体 ― 縦の整合性と横のつながり

市場機会からSTPを経て4Pに降りる縦の整合性と、4P同士の横のつながりを示し、判断基準が顧客体験と市場機会の結合であることを示した図
STPから4Pへの縦の整合性と、4P同士の横のつながり。ただし最終的な判定は「顧客体験が市場機会の獲得に結びついているか」で行う。

マーケティングでは、縦の整合性(STP→4P)と横のつながり(4P同士)が重要


6. 問い2|なぜヒットしているのか ― ここからが本番

6-1. 「良いマーケティング」では説明にならない

「プロダクトが良い、ターゲットと提供価値が明確、プロモーションの施策も良い、マーケティング全体の整合性もとれている」
それは大事なこと。そのうえで……(本日はさらに踏み込みます)

6-2. ユーザー体験プロセスを描く

まずライスポットを忘れて、「晩ごはんを作る人」の行動プロセスを描く。

そして各プロセスに、愛知ドビーが打っている施策と、そこから生まれるユーザー体験を並べる。

プロセス施策ユーザー体験
メニュー検討・決定無料レシピブック同梱(説明書・商品の背景も掲載)/「オーナーズマイページ」(レシピ検索・閲覧・投稿・クリップ)/「オーナーズデスク」でスタッフ・専属シェフが問い合わせに柔軟対応初心者でも熟練でも、末永く豊富なメニューが実現できる/メニューが増え続けているので、料理の選択肢が尽きることはない
調理シンプル操作で微細な火加減調整可能/レシピブック・検索したレシピの通り、材料・火加減を調整し調理すれば良いようにガイダンス/計量カップ・フタ置き(製品に同梱)/公式SNSで情報発信購入当初から材料さえそろえられればすぐに本格調理体験ができる/調理中のみならず、生活全般を通じてバーミキュラを身近に感じられる
食事味・見た目が魅力的なレシピを豊富に開発+ユーザーの「オーナーズマイページ」への投稿/ご飯の保温はできないが保存方法は説明書兼レシピ本に掲載/多数のユーザーによる料理写真のSNS投稿自分・家族・友人が嬉しい食事体験/ご飯の保温機能はないが、ご飯を保存すればライスポットを他の料理に使える/自分もSNS・マイページに気軽に投稿可能
片付け・メンテナンス手入れメンテナンスが簡単な構造/お手入れ法を解説(無料レシピブック)/メーカー保証3年間/有料で修理受付(色変更も可片付けの手間や故障・不具合をまったく気にせず、頻繁にライスポットを使える/新鮮に使い続けることができる(部屋の模様替えとセットで色変更?)

ライスポットは、ユーザーをライスポットを使うすべてのプロセスで大変満足させている

「保温できない」という弱点を、「保存すれば他の料理に使える」という体験に反転させている点、「修理時に色変更可」というアフターサービスが「模様替えと一緒に気分を変える」体験になっている点 ―― 施策が”機能”ではなく”体験”として設計されている。

6-3. それでもまだ、ヒットの説明にならない

「愛知ドビーはライスポットのユーザーに『料理の腕を問わずに、手軽で多彩な調理体験と豊かな(オシャレ・美味しい)食事体験』を提供している」
「そのための施策を各プロセスで整合するように行っている」
これでヒットの理由を説明したことになるか?
そもそも、このビジネスの持続的な成長のために、努力のベクトルをどの方向に向かわせるべきか?

答えはこうだ。

ビジネスとして、大事なことは2つ。
新規ユーザーを獲得し続けること
既存ユーザーにクロスセルすること
A) オーブンポットラウンド既存ユーザーが追加購入
B) ライスポット or ミニ既存ユーザーが二台目以降購入

顧客満足は目的ではなく、売上拡大メカニズムの一部として位置づけられなければならない。 ここがDay5の核心である。

既存ユーザーの体験がそのまま次の顧客への情報になる、という構造を正面から扱った一冊。バーミキュラの設計思想と重なる。

6-4. 売上拡大の構造①「無意識的推奨」

バーミキュラの既存ユーザーの体験プロセスでの満足が意識的・無意識的推奨を生み、新規ユーザーの認知から購買に至るプロセスを、背中を押す仕組みが支えるループ図
既存ユーザーの高満足は、意識的・無意識的な推奨を生む。そして推奨された側が自分で調べ切れるよう、企業側が情報を全公開して背中を押している。

ここで「推奨とは何か」が定義し直される。

内容
意識的推奨(狭義)「ライスポット、とてもおすすめだよ!」という対話/共に参加するイベントなど
無意識的推奨(広義)ライスポットを活用したホームパーティーの食事体験SNS投稿との遭遇など

本来的な定義の推奨はもちろんのこと、ライスポット/ミニに大変満足している既存ユーザーの無意識的な行動が、新規ユーザーにとって、あたかも推奨されているかのような購買検討プロセス上の体験となっている

友人宅でライスポットで炊いたご飯を食べる。Instagramで映える料理写真を見る。誰も「買え」とは言っていないのに、購買プロセスが進んでいる。 これがZMOTの実装である。

6-5. 売上拡大の構造②「背中を押す仕組み」

さらにリアルに考える。

皆さん、友人・同僚から「この製品・サービスは、オススメだよ!」と言われたら買う? そこそこ高い……。興味を持ったら、まずどうする?
⇒ だいたいの人はネット検索しますよね?
ネットで良さげだなと思ったら次はどうする? 実物を見に行ってから買う人? なぜ? その前提は? ネットだけ観て買うという人? なぜ? その前提は?

そこに対して愛知ドビーが打っている手が、驚くほど周到である。

目的施策
既存ユーザーが推奨しやすく写真映えするレシピが豊富/未購入でも「オーナーズマイページ」を検索・閲覧できる(ただし機能制約あり)
新規ユーザーの背中を押す「3分でわかるバーミキュラのすべて」を公開/購買検討に必要な情報を公式サイトに掲載(スペック・使い方・保証等)/「無料レシピブック(説明書・愛知ドビーと商品の背景ストーリーも掲載)」がPDFで自由に閲覧できる/リアル店舗(専任のスタッフ)でもネット(公式サイト/他社EC)でも購入できるチャネル戦略

新規ユーザーが、既存ユーザーの手を借りずに、自律的に購買に向けたプロセスを進めるように、様々なコミュニケーション手段が「WEB・リアル」の双方に打たれている

「無料レシピブックをPDFで公開する」という一点が象徴的だ。普通は購入者特典にする情報を、あえて全開放する。なぜなら、購買検討中の人が最も知りたいのは「自分にこれが使いこなせるか」だからである。推奨されてから購入までの”谷”を、企業側が埋めている。

「マーケティングの究極の目標は、顧客を感動させて忠実な推奨者にすることである」 ―― フィリップ・コトラー

満足させるための工夫に加え、推奨してもらうための仕掛け背中を押す仕組みを考える

6-6. マーケティングの「整合性」の判断基準

ねらったターゲットの良質な顧客体験を実現することで、特定した市場機会の獲得につながっているか? 否か? が「整合性」を実現できているか? の判断基準

バーミキュラの4Pを、この基準で並べ直すと:

P内容
Product炊飯器を超えた機能の本体と付属品・保証・サービス/WEB上のサービス・レシピ提供&投稿も含めた商品価値(WEBはユーザー以外もOK)
Price【顧客に製品の価値を啓蒙しながらの】スキミングプライシング
Place顧客が買いたいチャネルで買える/オンラインでの購入はAmazon Payで簡単購入/手厚い説明も選択可能
Promotion顧客がプロモーションの担い手に(SNS・レシピ)/SNS・オーナーズマイページが充実/誰もが参加可能なイベント

Priceの「顧客に製品の価値を啓蒙しながらの」という枕詞が効いている。高価格を維持できるのは、価値を伝える仕組み(Product・Promotion)が同時に回っているからだ。これが「横のつながり」である。

6-7. 問い2のポイント

顧客をとりこにする体験を設計する
顧客にとっての喜びに思いをはせ、最高のユーザー体験を設計することが大事であり、それらを新規ユーザー獲得のストーリーとつなげていくことが重要(プロモーションのみならず、施策の全体設計が必要)

顧客の背中を押す仕組みを考えぬく
顧客の購買意思決定につながるよう、自律的な情報収集の支援を含めた体験を設計し、施策を構築していく

授業では、こんな問いも投げかけられた。

皆さんは/皆さんの会社では、既存ユーザーを徹底的に満足させ、既存ユーザーの推奨を生み出せていますか?(推奨者に育て上げていますか?
さらに推奨をしてもらうための仕掛けや、推奨された新規ユーザーの背中を押す仕組みを作ることができていますか?


7. 問い3|売上最大化と、その後のバーミキュラ

7-1. (B)ケース ― レシピアプリ「My VERMICULAR」

コンセプト「バーミキュラ体験を10倍楽しいものにしたい
長く(買い物体験も)」×「深く(毎日・多数の調理体験)」のユーザー体験への関与に進化

機能狙い
「サンクスコイン」+「ログインボーナス」+「レシピ投稿」ログイン・投稿・投稿への反応が促進され、同時にオンラインショッピングも活性化
「レシピ検索」1,000以上のレシピは愛知ドビーとユーザーの手で増え続ける
「レシピナビ」「今日食べたい料理」をゲーム感覚で見つけられる
「買い物リスト」ついに、体験は「買い物体験」も組み込まれることに

⇒ より生活に欠かせない存在となり、”同時に複数使用”につなげることで「クロスセル」に向かわせている

さらに ――

バーミキュラシリーズ未所有でも簡単な情報入力で全機能を活用可能
新規ユーザーにとってより一層「既存ユーザーの体験」を味わえるように。既存⇔新規ユーザーの交流はアプリに集約によりさらに容易に
⇒「体験の充実 × 既存ユーザーの満足体験 × 交流の活性」は新規ユーザー獲得にもプラスになるのでは?

アプリのレシピ数はリリース時点で1,000件台だったが、2020年5月20日時点で合計6,009件(公式707件/ユーザー投稿5,302件)まで増えた。公式の8倍近くをユーザーが供給している。顧客がコンテンツの担い手になっている。

7-2. 後日談

デザイン賞を国内外合わせて多数獲得
「VERMICULAR Musui-Kamado」は、イタリアの国際的デザイン賞「A’ Design Award & Competition 2019」のゴールドを受賞(受賞者の上位3%に与えられる権威ある賞)。国内の「JIDAデザインミュージアムセレクションvol.19」「2017年グッドデザイン賞(ベスト100、特別賞)」、ドイツの「iFデザインアワード2019」「レッド・ドット・デザイン賞2019」も受賞し、国際的なデザイン賞を国内外合わせて5冠獲得

VERMICULAR VILLAGE(2019年12月オープン、名古屋市中川運河沿い)。DINE AREAとSTUDIO AREAからなるブランド体験拠点。
VERMICULAR VILLAGE(2019年12月オープン、名古屋市中川運河沿い)。DINE AREAとSTUDIO AREAからなるブランド体験拠点。
写真:VERMICULAR VILLAGE 公式サイト(vermicular.jp/village)

VERMICULAR VILLAGE(バーミキュラビレッジ)
2019年12月3日、愛知県名古屋市中川運河沿いにオープン。初のブランド体験型複合施設。

「最高のバーミキュラ体験」をテーマに、
・バーミキュラの料理の美味しさ を誰でも気軽に体験できる「DINE AREA
・バーミキュラブランドの世界観/メイド・イン・ジャパンのものづくり を体験し深く知ることができる「STUDIO AREA
の2つのエリアからなるブランドの発信拠点

VERMICULAR FRYING PAN
「世界一、素材本来の旨味を凝縮するフライパン」を目指して開発し、2020年4月21日発売。

7-3. 問い3のポイント

大事なのは「デジタル」ではなく「顧客体験」
「デジタル」はあくまでも単なる手段。この商材で実現したいビジョンと顧客体験を、大所高所の観点と緻密さを両立させて描くことが基本中の基本

アプリを作ることが打ち手なのではない。「体験を長く・深くする」という設計思想があり、その手段としてアプリがある。この順番を逆にした瞬間、DXは失敗する。



8. 受講して持ち帰ったこと

① 「○○できる」の形で言う
ポジショニングはターゲットへの売り文句だと教わった。機能を並べるのではなく、顧客の視点で「これができる」と言い切る。軸をこの形にすると、競合と重なっているかどうかも一目で分かる。

② 満足は、それ自体がゴールではない
顧客体験を作り込む話で終わらせず、その満足が次の顧客を連れてくるところまで設計する。バーミキュラの施策群を並べたとき、満足が推奨に変わり、推奨が新規獲得に変わる導線が全部つながって見えたのが一番の収穫だった。

③ 推奨された人の背中を押す仕組みまで作る
勧められた側は、必ず自分で調べる。そこで情報が足りなければ止まる。レシピブックをPDFで全公開し、未購入でもマイページを見せる ―― あそこまでやって初めて「推奨が効く」状態になるのだと分かった。

④ デジタルは手段でしかない
アプリを作ることが打ち手なのではなく、「体験を長く・深くする」という設計思想が先にある。この順番を逆にした瞬間に失敗する、という指摘は自分の仕事にもそのまま刺さった。

自分の仕事に当てはめてみる

  • 自分の製品・サービスのマーケティング課題は何か。顧客に何を訴求していて、何を捨てているのか
  • 身の回りの製品の4Pは、どんな顧客体験を狙ったものなのだろう。もっと良くするなら何を変えるか
  • 自分の会社は直販と代理店経由をどう使い分けているか。それはどんな理由からだろうか

自分に問い直したいこと

  • ターゲットを洗い出すとき、選んでもらえない理由(課題)もセットで置いているか
  • 製品の価値だけで語っていないか。購入前から購入後までの施策群の全体で顧客の満足を作れているか
  • 「満足すれば口コミが起きる」で止まっていないか。そのメカニズムを分解できているか
  • 推奨された人が自分で調べ切れるように、情報を出し切っている
  • 施策やツールの導入で思考停止していないか。顧客体験と売上拡大の両方を押さえているか

9. Day6への橋渡し

第6回の予習は、これまでとは比べ物にならない程ハードです。クラスメンバー同士で協力し、最後まで乗り切りましょう。
次回のクラスはレクチャー(新たなフレームワーク)はありません。皆さん自身が発言し、議論しながらクラスを作ってください。

Day1〜Day5で道具は全部揃った。Day6は、それを使い切る総合演習である。

この連載の他の回

前回

本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。 MBAの基礎科目「マーケティング・経営戦略基礎」で扱ったケースを、講義で使ったフレームワークに沿って解説します。 1. EMSはMBAのどこに位置するのか Day4の冒頭で、EMSとい[…]

富士フイルム「チェキ」の復活 アイキャッチ

よくある質問(FAQ)

マーケティング・ミックス(4P)とは何ですか?

Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(広告宣伝)という施策の4分類です。ただし4Pだけでは有効性は決まりません。市場機会の特定とSTP(誰に、どんな価値を)が先にあり、4Pはその下に整合させて降ろすものという順番が重要です。

ZMOT(ジーモット)とは何ですか?

Googleが提唱した Zero Moment of Truth の略で、店頭で商品を手に取る前のオンラインでの情報収集の瞬間を指します。ある人の購買・使用体験が、別の人にとってのZMOTになる ―― つまり既存顧客の体験がそのまま次の顧客への情報になる、という構造を示した考え方です。

スキミングとペネトレーションはどう使い分けますか?

スキミング(上澄み戦略)は高価格で早期に資金回収する方法で、製品に差別化要素があり価格弾力性が小さい場合に適します。ペネトレーション(浸透戦略)は低価格でシェアを取りに行く方法で、潜在需要が大きく、規模の経済や経験効果が後から効く場合に適します。


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