
Microsoftは2026年7月1日、商用Microsoft 365の価格を全世界で改定した(一部の地域は通貨や市場に合わせて調整)[1]。Microsoft 365 E3は1ユーザー月36ドルから39ドルへ、E5は57ドルから60ドルへ上がった[2]。ただし既存の契約者が新価格を払い始めるのは7月1日以降の最初の更新時で、複数年契約は満了まで現行価格のまま続く[1]。
7月1日より前に更新日が来た契約は、その更新で現行価格を次の更新まで固定できた[1]。この扱いは6月30日までの更新で終わっている。9月の時点で予算を左右するのは、次の更新日がいつか、その更新でほかに何が重なるかである。EAではオンラインサービスの価格レベルA〜Dの単価が2025年11月1日以降の更新から一本化されており[3]、今の契約期間がそれより前に始まった組織では、次の更新で二つの変更が同時に効く。
予備知識
- EA(Enterprise Agreement): Microsoftのボリュームライセンス契約の一つ。3年単位で結び、商用では500ユーザー・デバイス以上の組織が対象になる[4]。
- 価格レベル: EAで席数に応じて決まる割引の区分。Aは2,399以下、Bは2,400〜5,999、Cは6,000〜14,999、Dは15,000以上[4]。
- CSP(Cloud Solution Provider): パートナー経由でサブスクリプションを買う契約形態。サブスクリプションごとに期間(1年など)と支払い頻度を選ぶ[5]。
- SKU: ライセンス製品の種別。ここではE3・E5などを指す。
書名のとおり、ソフトウェア資産管理の国際規格ISO/IEC 19770-1の活用を扱う本。更新前に保有ライセンスと利用実態を突き合わせる作業を、その場限りでなく管理の仕組みとして組み立てたい担当者向け
E3は8%、E5は5%で、増える額はどちらも月3ドル
Microsoftが2025年12月4日に公表した定価表では、主な企業向けスイートは次のように変わった[2]。いずれもTeams付きSKUの1ユーザーあたり月額で[2][6]、Teamsなしのスイートも同じドル額だけ上がる[2]。Microsoftの価格表では、Microsoft 365 E3(Teamsなし)は27.45ドルから30.45ドルへ、E5(Teamsなし)は48.45ドルから51.45ドルへ変わる[7]。
| SKU | 改定前 | 2026年7月1日以降 | 上げ率 |
|---|---|---|---|
| Office 365 E3 | 23ドル | 26ドル | 13.0% |
| Microsoft 365 E3 | 36ドル | 39ドル | 8.3% |
| Microsoft 365 E5 | 57ドル | 60ドル | 5.3% |
E3とE5の増加額は同じ3ドルで、元の価格が低いE3の方が率は高くなる。表の13.0%はOffice 365 E3の上げ率で、名前の似たMicrosoft 365 E3(8.3%)とは別のSKUである。同じ表でBusiness PremiumとOffice 365 E1は据え置かれ、率が最も大きいのは現場従業員向けのF1(33%)とF3(25%)だった[2]。

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値上げと同時にE3・E5へ追加される機能
改定に合わせて、E3とE5には次の機能が加わる[2]。
| 追加される機能 | Microsoft 365 E3 | Microsoft 365 E5 |
|---|---|---|
| Copilot Chatの機能強化と、そのセキュリティ・管理・分析機能 | ○ | ○ |
| Microsoft Defender for Office 365 Plan 1 | ○ | — |
| Intune Remote Help | ○ | ○ |
| Intune Advanced Analytics | ○ | ○ |
| Intune Plan 2 | ○ | ○ |
| Intune Endpoint Privilege Management | — | ○ |
| Intune Enterprise Application Management | — | ○ |
| Microsoft Cloud PKI | — | ○ |
| Microsoft Security Copilot | — | ○ |
○=今回追加される機能、—=この改定での追加対象ではない(Microsoft 365 Blogの機能表による)
Remote Help、Advanced Analytics、Intune Plan 2は、アドオンやIntune Suiteとしても提供されている機能である[2]。単体のIntune Suiteとアドオンは、EMS E3やMicrosoft 365 E3・E5を必要としない顧客向けに今後も販売が続く[1]。E5のSecurity Copilotには、有償ライセンス1,000あたり月400 SCU(Security Compute Unit)が割り当てられ、上限は月10,000 SCUとされている[1]。
展開は2026年第3四半期に始まる計画で、Defender for Office 365 Plan 1、Intune関連の機能、Cloud PKIは8月1日までに完了する予定とされていた[1]。テナントに反映される30日前には、メッセージセンターに通知が届く[1]。FAQは、対象SKUであれば支払っている価格や契約期間にかかわらず新機能を受け取れるとしている[1]。旧価格の複数年契約のままでも、機能は先に届く。
同じ機能を単体やIntune Suiteで買っている組織では、その分が次の更新で重複になる。
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新価格が自分の契約に効くのはいつか
FAQの記述を並べると、切り替えの時点は次のとおりである[1]。
- 新価格は新規・更新の顧客に2026年7月1日から適用され、既存顧客は7月1日以降の最初の更新時に新価格になる
- 年払い・月払いのどちらの請求プランでも、切り替えは7月1日以降の最初の更新時
- 既存の複数年契約は、更新まで現行価格が続く

注意が要るのは、CSPで期中に3年SKUへ上げる操作である。FAQは、Microsoft 365 E3・E5の3年SKUへ期中にアップグレードするとサブスクリプションの開始日が前倒しされると注記している[1]。Partner Centerの説明では、年契約のE3を4か月使った時点でE5の3年SKUへ上げると、その日から丸3年のE5の期間が始まる[5]。7月1日より前であれば新しい3年は現行価格で始まったが、今この操作をすれば、改定後の価格で始まる。
期中の増席は扱いが違う。CSPでは、既存のサブスクリプションに足したライセンスはパートナーの仕入れ価格が変わらず、終了日もそのサブスクリプションにそろう[5]。新しくサブスクリプションを作ると、作成時点の価格表の価格が付く[5]。EAのTrue-up(年1回の追加分の精算)も、あらかじめ合意した条件と価格で追加できる仕組みである[4]。ただし、価格表に載っていないオンラインサービスを期中に新しく買うと、その時点で一本化後の単価になる[3]。

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EAは価格レベルの一本化が同じ更新に重なる
Microsoftは2025年8月12日、EAとMPSAで買うすべてのオンラインサービスについて、価格レベルA〜Dの単価を一つにそろえると発表した[3]。新しい単価はMicrosoft.comの公開価格に合わせたもので、2025年11月1日以降、顧客の次の契約更新時か、価格表(Customer Price Sheet)に無いオンラインサービスを新たに買う時点で適用される[3]。
価格レベルは席数に応じた割引の区分で、2,400〜5,999ならレベルB、6,000〜14,999ならレベルCになる[4]。数千席のEAの多くはここに入る。今の3年の期間が2025年11月1日より前に始まっていれば、次の更新で3ドルの値上げと、レベルB〜Dの割引がなくなる影響を同時に受ける[1][3]。Microsoftライセンスの支援を手がけるRed Riverは、SAMexpertによる25,000ユーザーのE5組織の試算(2025年11月より前の価格と比べて年約300万ドルの増加)を引き、二つが重なる一部の組織では実質の上げ幅が公表値の5〜8%ではなく20%近くになるとしている[6]。
定価の上昇分だけでも、E3を3,000席使う組織では月3ドル×3,000席×12か月で年10万8,000ドルになる。E5も1席あたりの増加額は同じ3ドルなので、席数が同じなら額は変わらない。二つを合わせた単価の上がり幅は、自社の価格表にある現行単価と、Microsoft.comの現在の公開価格を比べれば見当がつく[3]。反対に、Defender for Office 365 Plan 1やIntuneのアドオンを別に買っている組織は、次の更新で重複分を外せば増加の一部を相殺できる。
NTTドコモビジネスの円建て価格で見る
国内で円建ての改定価格を公開している例として、NTTドコモビジネスは2026年5月14日、Microsoft 365 from NTTドコモビジネスの価格改定を案内した[8]。改定日は2026年7月1日で、価格は年契約・月払いの場合の税込額である[8]。
| プラン(年契約/月払い、税込) | 改定前 | 改定後 | 増加額 | 上げ率 |
|---|---|---|---|---|
| Microsoft 365 E3 | 6,233円 | 6,752円 | 519円 | 8.3% |
| Microsoft 365 E3(Teamsなし) | 4,753円 | 5,272円 | 519円 | 10.9% |
| Microsoft 365 E5 | 9,869円 | 10,389円 | 520円 | 5.3% |
| Microsoft 365 E5(Teamsなし) | 8,388円 | 8,908円 | 520円 | 6.2% |
| Office 365 E3 | 3,982円 | 4,502円 | 520円 | 13.1% |
改定前・改定後の価格はNTTドコモビジネスの案内[8]による。増加額と上げ率はその価格から計算した値
この表から三つのことが読める。
- 上げ率はドル定価とほぼ同じである。税込価格を1.1で割って税抜に戻すと、表の5プランとも改定前後を通じてドル定価1ドルあたり約157円に相当する。円での増加額519〜520円は、3ドルをこの比率で換算して消費税を加えた額にあたる
- E3をTeamsなしで契約している組織は、同じ519円の増加でも率が10.9%になる(E5のTeamsなしは520円の増加で6.2%)。ドル定価でもTeamsなしのE3は27.45ドルから30.45ドルへ約11%上がっており[7]、元の価格が低い分だけ率が上がる
- 3,000席のE3なら、増加は月519円×3,000席×12か月で年1,868万4,000円(税込)になる。1,000席なら年622万8,000円である
よくある質問(FAQ)
Q. Microsoft 365の値上げはいつから始まっていますか。
A. 新価格は2026年7月1日から適用されている。既存の契約は、7月1日以降の最初の更新時に新価格へ切り替わる[1]。
Q. 今から更新を前倒しして旧価格を確保できますか。
A. できない。現行価格を固定できたのは、7月1日より前に更新日が来た契約である[1]。今CSPで3年SKUへ期中アップグレードすると、その日から新しい3年の期間が始まり[1][5]、その期間は改定後の価格になる。
Q. 3年契約の途中ですが、新機能は使えますか。
A. 使える。FAQは、対象SKUなら支払っている価格や契約期間にかかわらず新機能が届くとしている[1]。価格は更新まで現行のままである[1]。
Q. E3とE5、どちらの値上げ率が高いですか。
A. Microsoft 365 E3が約8.3%、E5が約5.3%で、E3の方が高い。1ユーザーあたりの増加額は月3ドルで同じである[2]。
まとめ
値上げの発効日は過ぎたが、個々の契約に新価格が効くのは次の更新日である。それまでに片付けておくことは三つある。
- 契約ごとに、次の更新日と今の期間の開始日を一覧にする。EAで開始日が2025年11月1日より前なら、価格表の現行単価とMicrosoft.comの現在の公開価格の差を1席あたりの上がり幅として、次期の予算に載せる[3]
- 更新までに増える席は、CSPなら既存のサブスクリプションに足す[5]。3年SKUへの期中アップグレードは新価格の3年を始める操作になるので、更新日に合わせて予約する方法と比べてから選ぶ[5]
- CSPでライセンスを減らせるのは、追加・更新から7日以内に限られる[5]。Defender for Office 365 Plan 1やIntuneアドオンの重複、使われていない席の洗い出しは、更新日より前に終える


