
米イリノイ州の新興ゴルフテック企業NVISAGE Technologies(2023年設立)は、2026年1月21〜23日にフロリダ州オーランドで開かれたPGA Show 2026(業界最大級の展示会)で、エントリーからプロ向けまでの計測機5機種を初めてそろえて発表した(ブース1515番)[1]。発表から半年が過ぎた2026年8月時点で、価格が公表され販売されているのは5機種のうち2機種にとどまる。同社が扱うのはローンチモニターと呼ばれる機器で、クラブヘッドやボールの初速・打ち出し角・スピン量を計測し、飛距離やミート率を数値化する。3年足らずで5機種のフルラインをそろえたことは、市場に新興メーカーが相次ぎ参入し、価格帯と精度で細分化が進んでいる実態を映す。
自宅や練習場へのローンチモニター導入を検討する読者にとっては、選択肢が広がる一方で「どの価格帯にどの精度・機能が付くか」を見極める視点が要る。ビジネス・IT視点では、高度なセンサー機器の市場へ新興企業が短期間で参入できる背景と、既存大手との価格競争構造が見どころだ。本稿は5機種の位置づけと市場の動きを整理し、購入判断の軸を示す。
NVISAGE Technologiesとはどんな企業か
NVISAGE Technologiesは2023年に設立された、米イリノイ州に拠点を置くゴルフテック企業である。設立3年に満たないが、据置き型の「N1」と携帯型の「NEO-E」を先行投入し、2026年1月のPGA Showでプロ向け上位機「N2」、エントリー向け「NEO-i」「NEO-T」を加えた計5機種のフルラインを披露した[1][2]。
同社が掲げるのは、高精度なスイング解析を幅広い価格帯で使えるようにする方針だ。全機種共通のソフトウェア「MURLIE(マーリー)」を搭載し、ショット分析・練習場モード・パッティング・記録モードの4機能を追加課金なしで使える。GSProやE6 Connectといった外部シミュレーションソフトとの連携にも標準で対応する[1]。

ローンチモニターで得た数値を練習のどこに振り向けるべきか、統計的な考え方の土台を学べる一冊。
5機種のラインナップはどう分かれているのか
5機種は設置方式と価格で3層に分かれる。なおPGA Showのリリースに価格の記載はなく、以下の価格はいずれも米国の正規取扱店の表示による[1][3]。天井や壁に据え付けて上から計測する据置き型のN1とN2、床置きも屋外持ち出しもできる携帯型のNEO-E、床置き型でコーチング・入門向けのNEO-iとNEO-Tだ[5]。
エントリーの据置き型N1は価格4,995ドル(約77万円。1ドル=155円換算。以下同じ)で[3]、約61cm×51cmの計測エリアとデュアルカメラを備える。付属の12個のマーク付きボールをカメラが読み取り、スピン量・スピン軸を算出する方式で、設置には天井高9〜10フィート(約2.7〜3m)が要る[3][4]。


プロ向け上位機N2は2026年8月時点で価格が公表されておらず、発売もされていない[6]。約81cm×61cmとN1より広い計測エリアと3台のカメラを持ち、マーク不要でどんなボールでも計測できる。携帯型NEO-Eは価格5,500ドル(約85万円)で[3]、防水規格IP65・バッテリー駆動5時間・重量約2.8kg。通常球のまま屋内外どちらでも使える。エントリー向けのNEO-iとNEO-Tは価格未公表だが、NEO-Tは約41cm四方の計測エリアと10.1インチタッチパネルを備えたコーチング・練習場向けの床置き機だ[3][4][6][7]。
| 機種 | 設置方式 | 想定ユーザー | 価格(参考) |
|---|---|---|---|
| N1 | 据置き型 | 自宅・入門者 | 4,995ドル(約77万円) |
| NEO-E | 携帯型 | 屋内外持ち出し | 5,500ドル(約85万円) |
| N2 | 据置き型 | プロ・上級者 | 未公表(未発売) |
| NEO-i | 床置き型 | 若年層・初心者 | 未公表 |
| NEO-T | 床置き型 | コーチング・練習場 | 未公表 |

タイトリスト、テーラーメイド、ウイルソン、コブラ。日本のゴルファーが店頭で手に取る主要ブランドは、いずれも持ち主がアジアの企業や投資ファンドに替わっている。誰が持っているかで、次のモデルに開発費がどれだけ入るのか、日本での価格やモデルサイ[…]
なぜローンチモニター市場に新興メーカーが相次ぐのか
世界のローンチモニター市場は2026年時点で約3.7億ドル(約574億円)と推計され、2035年には約9.8億ドル(約1,519億円)まで拡大すると予測される。年平均成長率(CAGR)は11.4%だ[8]。
この成長を見込み、新興メーカーの参入が続く。Square Golfは屋内外対応の新モデル「Omni」を1,599ドル(約25万円)で予約受付中[11]、Blue Teesは599ドル(約9万円)の「Rainmaker」を投入する[12]。一方でGOLFZON・Foresight Sports・TrackMan・SkyTrakといった既存大手は高価格帯を維持し[8]、市場は低価格帯の新興勢と高価格帯の既存大手に二極化しつつある。価格が公表されているNVISAGEの2機種は4,995〜5,500ドルで、この中間を狙う位置づけだ。

ゴルフチャンネルを運営するVersant Media Group(米ケーブルテレビ大手。CNBCやGolf Channelを傘下に持つメディア持株会社)が2026年7月、ゴルフ・野球用シミュレーターを手がけるFull Swing(PGAツ[…]
購入前に何を確認すべきか
まず確認すべきは設置環境だ。据置き型は天井高9フィート以上の空間が要る一方、携帯型は天井制約のある部屋でも使える。次に確認すべきはボール方式で、マーク付き専用ボールが要る機種と通常球で使える機種では練習の手間とコストが変わる。最後にソフトの互換性も重要で、手持ちのシミュレーションソフトと連携できるか事前に確認したい。

ガーミンは誰に何を売っているのか — STPで読む「計測器」ブランド 結論を先に言えば、ガーミンは狙う相手を「真剣なアマチュアと専心するプロ」に絞り込み、感性のスローガンではなくVO2max・電池・衛星精度・安全機能という「測れる成果」で[…]
日本でNVISAGEのような新興ローンチモニターは選べるのか
現時点で日本国内には、NVISAGEのような米新興メーカーの機種を個人が直接購入できる正規の販売網はまだ整っていない。日本のローンチモニター市場は、GOLFZON(アジア43カ国に導入されるグローバル標準機)[9]やOK ON GOLF(ダイオン東京が展開)[10]といった企業が練習場やゴルフバーに機器を導入するB2B型の設置モデルが主流で、個人が新興機を選んで自宅購入する動きはまだ限定的だ。
背景には、電源電圧や技適(電波法上の技術基準適合証明)への対応、日本語ソフトの有無、個人輸入では保証が効きにくい点など、制度・商習慣の違いがある。日本のローンチモニター市場規模について、公的機関や業界団体が公表した信頼できる数値は今回確認できず、ここでは構造の比較にとどめる。
| 観点 | 米国(NVISAGEなど新興メーカー) | 日本 |
|---|---|---|
| 主な販売形態 | 個人向け直販(自宅設置) | 練習場・ゴルフバー向けのB2B導入が主流 |
| 主要プレーヤー | 新興メーカーの参入が相次ぐ | GOLFZON・OK ON GOLFなど大手中心 |
| 個人購入のハードル | 通販で購入可能 | 電源・技適・保証面で制約が残る |
ビジネス側への含意は、正規代理店契約なしに日本市場へ浸透するのは容易ではない点。ゴルファー側への含意は、個人輸入を検討するなら保証・電源対応のリスクを理解した上で判断する必要がある点だ。
まとめ
NVISAGEが5機種をそろえたことは、ローンチモニターがプロ専用の高額機器から、価格帯で選べる機器へ近づいている流れを示す。ゴルフをする読者にとっては、価格だけでなく設置方式・ボール方式・ソフト互換性まで見て選ぶ視点が必要になる点が変わる。ビジネス読者にとっては、既存大手と新興勢の二極化が進む市場構造が参入・提携判断の材料になる。日本では個人輸入のハードルが残るため、当面は動向を見て判断するのが現実的だろう。
よくある質問(FAQ)
NVISAGEの製品は日本で買えますか?
現時点で日本の正規代理店は確認できておらず、個人輸入が主な選択肢になる。
ローンチモニターとは何ですか?
クラブヘッドやボールの初速・打ち出し角・スピン量を計測し、飛距離やミート率を数値化する機器のこと。
据置き型と携帯型はどちらを選ぶべきですか?
天井高9フィート以上を確保できるなら据置き型、部屋に制約があるなら携帯型が現実的な選択になる。
出典
[1] PR Newswire「NVISAGE Technologies to Present Complete Golf Launch Monitor Lineup at PGA Show 2026」 https://www.prnewswire.com/news-releases/nvisage-technologies-to-present-complete-golf-launch-monitor-lineup-at-pga-show-2026-302612559.html[2] Yahoo Finance(同リリース配信) https://finance.yahoo.com/news/nvisage-technologies-present-complete-golf-160000589.html
[3] Top Shelf Golf「NVISAGE製品ページ」 https://topshelfgolf.com/collections/nvisage
[4] Top Shelf Golf「機種比較ページ」 https://topshelfgolf.com/pages/launch-monitor-comparison
[5] Golf Reviews Guide「NVISAGE Launch Monitors」 https://golfreviewsguide.com/nvisage-launch-monitors/
[6] My Sim Setup「NVISAGE N2 Review」 https://www.mysimsetup.com/reviews/products/nvisage-n2
[7] Choosy Golf「NVISAGE N2」 https://www.choosy.golf/launch-monitor/nvisage-n2
[8] Business Research Insights「Golf Launch Monitor Market」 https://businessresearchinsights.com/market-reports/golf-launch-monitor-market-100606
[9] GOLFZON Japan「会社概要」 https://golfzon.jp/company/
[10] 東京新聞×PR TIMES「OK ON GOLF」紹介記事 https://adv.tokyo-np.co.jp/prtimes/article13620/
[11] FirstCall Golf「Square Golf: Debuts an affordable tour-accuracy Omni launch monitor」 https://www.firstcallgolf.com/industry-news/release/2026-06-17/could-the-square-golf-omni-portable-launch-monitor-be-a-category-game-changer
[12] Blue Tees Golf「Rainmaker | Portable Golf Launch Monitor」 https://blueteesgolf.com/products/rainmaker


