CCNA v2.0は2027年2月3日から——6ドメインが5ドメインになる

CCNAの試験コードは2020年から200-301のまま変わっていません。番号が同じなので気づきにくいのですが、中身は2024年8月にv1.1へ更新され、2027年にv2.0へ切り替わります。

Ciscoは2026年5月20日、次期版CCNA v2.0を発表しました。運用開始は2027年2月3日です。

いま学習中の人にとって、これは無視できない期限です。現行v1.1で受験できる最終日は2027年2月2日。教材が揃っているうちに受け切るか、範囲を組み替えて新版に乗るかを、どこかで決める必要があります。

この記事では、v2.0で何がどう変わるかと、いつ受けるべきかの判断ラインを整理します。

この記事でわかること

  • CCNA v2.0の運用開始日と、現行v1.1の最終受験日
  • 出題ドメインが6分野から5分野へ集約される中身と、新しい構成比
  • 5年ぶりに復活するトラブルシューティングの位置づけ
  • 独立分野として消える自動化とプログラマビリティが、どこへ統合されるか
  • 現行v1.1で受けるか、v2.0を待つかの判断ライン
  • v2.0を見据えるなら、いま何を足しておくか

CCNA v2.0はいつから始まるか|2027年2月3日と、v1.1の最終受験日

日付から確認します。

項目日付
v2.0の発表2026年5月20日
詳細の公開Cisco Live 2026 ラスベガス(5月31日〜6月4日)
v2.0の運用開始2027年2月3日
現行v1.1の最終受験日2027年2月2日
移行期間約8.5か月

発表はCiscoの Learn with Cisco 組織によるもので、Community ManagerがRedditのr/CCNAでAMAを実施しています。ネットワーク分野の著述家であるWendell Odomも同日に、CCNA 200-301 V2.0が発表されたと確認しています。

ひとつ注意点があります。サードパーティの記事に「2026年2月3日開始」という記載が見られますが、これは誤りです。 Ciscoの発表ベースの正しい日付は2027年2月3日です。2026年8月時点で検索すると誤記のほうが上位に出てくることがあるので、日付を根拠に計画を立てるときは注意が必要です。

何が変わるか|6ドメインが5ドメインに集約される

CCNAの出題ドメイン構成比を現行v1.1の6分野と次期v2.0の5分野で比較した積み上げ横棒グラフ。v1.1は基礎20%・アクセス20%・IP接続25%・IPサービス10%・セキュリティ15%・自動化10%、v2.0はインフラと接続25%・スイッチングとアクセス25%・IPルーティング20%・サービスとセキュリティ20%・AIと運用管理10%
6分野から5分野へ。自動化は独立分野として消え、基礎の比重が40%から50%に増える

試験コードは200-301のままで、試験時間も120分で変わりません。変わるのはバージョン番号と、その中身です。

Ciscoはバージョン第1桁の変更(1.x→2.0)を、ブループリントの20%超が変わる大きな改訂と定義しています。番号が同じでも、入れ替わり幅は大きい部類になります。

現行と新版のドメイン構成を並べます。

v1.1(2024年8月〜)比率v2.0(2027年2月3日〜)比率
1.0 ネットワークの基礎20%1. Network Infrastructure and Connectivity25%
2.0 ネットワークアクセス20%2. Switching and Network Access25%
3.0 IPコネクティビティ25%3. IP Routing20%
4.0 IPサービス10%4. Network Services and Security20%
5.0 セキュリティの基礎15%5. AI, and Network Operations and Management10%
6.0 自動化とプログラマビリティ10%

読み取れる変化は3つです。

基礎の比重が増えます。 インフラと接続、スイッチングとアクセスの2分野で計50%。現行のネットワークの基礎とネットワークアクセスの計40%から、10ポイント増えます。方向としては基礎回帰です。

IPサービスとセキュリティが1分野に統合されます。 現行では10%と15%に分かれていた2分野が、Network Services and Security の20%にまとまります。合計25%から20%へ、比重としてはやや下がります。

自動化が独立分野ではなくなります。 これが最も大きい変化で、次の節で扱います。

トラブルシューティングが5年ぶりに復活する

v2.0で戻ってくるのが、トラブルシューティングです。

現行のv1.0とv1.1では、2サイクル連続でトラブルシューティング・診断レベルの出題がゼロでした。v2.0ではこれが復活します。

Ciscoが公開しているv2.0の試験トピック一覧を数えると、第2階層のトピック29項目のうち8項目が troubleshoot または diagnose を動詞に置いています。約28%です。

偏りもはっきりしています。分野別に数えるとこうなります。

分野診断系トピック
1.0 Network Infrastructure and Connectivity7項目中5項目
2.0 Switching and Network Access5項目中1項目
3.0 IP Routing4項目中1項目
4.0 Network Services and Security7項目中1項目
5.0 AI, and Network Operations and Management6項目中0項目

診断系が集中しているのは第1分野です。 インターフェースとケーブルの障害(衝突・エラー・デュプレックス不一致・信号レベル)、IPv4/IPv6のアドレス設定、有線と無線のクライアント接続、DHCPv4——いずれも「設定する」ではなく「切り分ける」で書かれています。基礎の比重が増えたのは、易しくなったからではありません。

Ciscoのブループリントは、各トピックに動詞を割り当てる形で難度を表現します。describe、configure、verify、troubleshootの順に上がっていくので、troubleshootが3割を占めるということは、暗記と設定だけでは通らない構成になるという意味です。

実務の側から見ると、これは妥当な揺り戻しだと思います。設定できることと、動かないときに原因を切り分けられることは別の能力です。現場で差がつくのは後者で、そこが5年間問われていなかったほうが例外的でした。

学習の面では、コマンドを打って設定を完了させる練習だけでは足りなくなります。わざと壊した構成を渡されて、show出力から原因を特定する種類の演習が必要になります。

自動化ドメインが消え、AIに統合される

もうひとつの大きな変化がこちらです。

2020年の200-301で新設された自動化とプログラマビリティは、CCNAにコードを持ち込んだ改訂でした。Python、REST API、JSON、Ansibleが10%の配点で問われるようになった。CLIだけで完結していた資格の性格が、ここで変わりました。

その独立分野が、6年で姿を消します。統合先は AI, Network Operations and Management(10%)です。

v2.0で新規に加わるのは次のあたりです。

  • エージェント型AIがネットワーク運用で果たす役割の説明(5.1)
  • 運用を支援する生成AIに送るプロンプトの選択。データ分類・出力形式・ペルソナ・指示といった構成要素を踏まえる(5.2)
  • ネットワーク管理方式の説明。デバイス型、クラウド型、コントローラ型、自動化型、Infrastructure as Code(5.3)
  • OSPFv3(IPv6)。単一エリアOSPFがv2とv3の両方になる(3.3)
  • Layer 2セキュリティ。DHCPスヌーピング、Dynamic ARP Inspection、ストーム制御、RAガード、ポートセキュリティ(4.7)
  • ハイパーバイザ・仮想マシン・コンテナの役割(1.2)

自動化そのものが不要になったわけではなく、運用管理という枠の中に位置づけ直されたと読むのが自然です。実際、2024年のv1.1ではPuppetとChefが削除され、AnsibleとTerraformに入れ替わっています。ツール名が4年で入れ替わる領域なので、個別ツールを独立分野として問い続ける設計に無理があったのかもしれません。

AI関連で問われる粒度も見ておく価値があります。公式トピックの動詞は describe と select で、AIそのものの技術を深く問う構成ではありません。 プロンプトインジェクションのようなAIセキュリティの項目も入っていません。試験の説明文には「エージェント型AIやデジタルネットワークアシスタントの出力と推奨を評価する場面がある」と書かれており、AIは道具として、その出力を鵜呑みにせず判断できるかが問われる位置づけです。

現行v1.1で受けるか、v2.0を待つか

判断は、学習開始の時期で分かれます。

状況推奨理由
すでに学習中で、2027年1月末までに合格見込み現行v1.1で受ける日本語教材・問題集が揃っている。新版直後は教材が薄い
学習開始が2026年後半以降v2.0を狙うv1.1で合格しても実質1年で旧版になる。AI・トラブルシューティングの価値も取れる
2026年11月時点で仕上がりが7割未満v2.0へ切り替える旧自動化トピックの学習を打ち切り、範囲を組み替える

現行で受け切ると決めたなら、2027年1月中旬までに初回受験を設定するのが安全側です。不合格後は5日間の待機期間があるので、締切ぎりぎりに1回だけという組み方は取らないほうがいい。1月中旬に初回を置けば、落ちても2月2日までにもう1回は入ります。

逆にv2.0を待つ判断をした場合、2026年後半から2027年初頭にかけては教材の谷になります。日本語の対策本と問題集が新版に対応するまでには、通常数か月かかります。この期間は英語のブループリントを直接読むか、変わらない部分(基礎とルーティング)を先に固める使い方になります。

基礎が50%を占める構成は、この待ち時間の使い方を明確にします。 インフラ、接続、スイッチング、アクセスは新旧で名前が変わるだけで、中身はほぼ同じです。ここを先にやっておけば無駄になりません。

v2.0を見据えるなら、いま何を足すか

現行の学習に上乗せするなら、優先順位は次のようになります。

優先領域理由
1トラブルシューティング演習出題の3割に達する見込み。現行教材ではカバーが薄い
2Layer 2セキュリティセキュリティが実務寄りに再編される
3OSPFv3(IPv6)新規追加が明示されている
4Ansible自動化は消えるのではなく統合される。ツールとしては残る
5生成AIのプロンプト、エージェント型AI新規領域。説明・選択レベルだが、まったく触っていないと落とす

トラブルシューティングを最優先に置く理由は、配点だけではありません。この領域は独学で最も準備しにくいからです。設定手順は本に書いてありますが、壊れた構成を切り分ける練習は、自分で壊さないと作れません。Packet TracerやCML上で意図的に設定を壊し、show出力から原因を追う手順を繰り返すのが現実的な方法になります。

AIの領域は、範囲が狭いぶん短期で埋まります。配点10%の分野に6トピックあるうちAI関連は2つなので、実際の出題は数問でしょう。ただしプロンプトの構成要素のような具体は、知らなければ推測でも当たりません。

まとめ|CCNA v2.0の要点

  • 運用開始は2027年2月3日。現行v1.1の最終受験日は2027年2月2日(2026年2月開始という記載は誤り)
  • 試験コードは200-301のまま、試験時間も120分のまま。バージョンのみv1.1→v2.0
  • Ciscoの定義では、ブループリントの20%超が変わる大きな改訂
  • ドメインは6分野→5分野。基礎(インフラ+スイッチング)が40%→50%
  • トラブルシューティングが5年ぶりに復活。公式トピック29項目のうち8項目(約28%)がtroubleshoot/diagnoseを動詞に置く。うち5項目は第1分野に集中
  • 自動化とプログラマビリティは独立分野として消え、AI・運用管理の分野へ統合
  • 新規追加はエージェント型AI、生成AIプロンプト、ネットワーク管理方式、OSPFv3、Layer 2セキュリティ、仮想化
  • 判断ライン:2027年1月末までに合格見込みならv1.1、学習開始が2026年後半以降ならv2.0

よくある質問(FAQ)

Q. CCNA v2.0はいつから始まりますか?
2027年2月3日です。現行の200-301 v1.1で受験できる最終日は2027年2月2日です。一部の記事に2026年2月3日という記載がありますが誤りです。

Q. 試験コードは変わりますか?
変わりません。200-301のままで、バージョン番号がv1.1からv2.0になります。試験時間も120分のまま、出題数も約100〜120問で変わらない見込みです。

Q. いま勉強を始めるなら、v1.1とv2.0のどちらを狙うべきですか?
2027年1月末までに合格できる見込みがあるならv1.1です。日本語教材と問題集が揃っており、新版直後の教材不足を避けられます。学習開始が2026年後半以降なら、v1.1で合格しても約1年で旧版になるためv2.0を狙うほうが合理的です。

Q. v1.1で合格した資格は、v2.0開始後も有効ですか?
有効です。認定は取得時点のバージョンに紐づかず、CCNAとして3年間有効です。v2.0の開始によって既存の認定が失効することはありません。

Q. v2.0でいちばん難しくなるのはどこですか?
トラブルシューティングです。v1.0・v1.1の2サイクル連続でゼロだった診断レベルの出題が復活します。公式トピック29項目のうち8項目(約28%)がtroubleshootまたはdiagnoseを動詞に置いており、Ciscoの試験モデルで最も難度が高い水準にあたります。とくに第1分野(Network Infrastructure and Connectivity)は7項目中5項目が診断系です。

Q. 自動化とプログラマビリティは出題されなくなりますか?
独立分野としては消えますが、出題がなくなるわけではありません。AI, and Network Operations and Management という新しい第5分野に統合されます。公式トピックには「Ansibleのような構成管理の仕組みを使ってコマンドを実行する」が残っています。

Q. v2.0を待つ間、何を勉強しておけばいいですか?
基礎とルーティングです。インフラ、接続、スイッチング、アクセスの領域は新旧で名前が変わるだけで中身はほぼ同じで、しかもv2.0では50%を占めます。ここを先に固めておけば無駄になりません。

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CCNAを4つの時点で比べた調査を、4本に分けて公開しています。

本記事のドメイン構成比・新規トピック・診断系の比率は、Ciscoが公開しているv2.0の公式試験トピック一覧(PDF)に基づいて集計したものです。Ciscoは「関連トピックが追加される場合があり、内容は予告なく変わりうる」と注記しているため、改訂が確認できた時点で本記事は更新します。

このブログでは、ネットワークとクラウドの実務、資格とキャリアの意思決定、そしてMBAで扱う経営の視点を横断して書いています。IT業界で25年、通信キャリアのネットワークエンジニアから始めて、いまは大手企業のIT部門で仕事をしている立場からの見方です。一次情報にあたり、数字を分解して、通説が正しいかを確認してから書くようにしています。

出典と注記

  • Cisco Learning Network(CCNA 200-301の試験情報・ブループリント)|learningnetwork.cisco.com
  • v2.0の発表(2026年5月20日、Learn with Cisco)、Cisco Live 2026での詳細公開|Cisco発表およびRedditのr/CCNA AMA
  • CCNA v2.0 公式試験トピック一覧(一次情報)200-301_CCNA_v2.0_Exam_Topics(PDF)(ドメイン構成比・トピック本文・診断系の比率はこれを集計)

信頼度の注記

項目確度補足
運用開始日(2027年2月3日)・v1.1最終日(2027年2月2日)Cisco発表ベース
新5ドメインの名称と構成比公式試験トピック一覧(PDF)の記載どおり
診断系トピックの比率(約28%)公式トピック一覧から本記事で集計。ただし配点比率ではなくトピック数の比率であり、実際の出題比率とは一致しない
新規追加トピックの詳細公式トピック一覧の記載。ただしCiscoは予告なく変更しうると注記している

本記事の内容は2026年8月時点で公開されている公式試験トピック一覧にもとづきます。試験の運用開始は2027年2月3日で、それまでに内容が更新される可能性があります。