
Topgolfにとって2026年は「独立元年」にあたる。
ゴルフ用品メーカーCallaway(現CALY)から2025年に施設事業が切り離され、プライベートエクイティのレナード・グリーン・アンド・パートナーズが過半株を取得した。独立した運営体制として最初の通年を迎えた2026年、Topgolfは施設の設計思想を根本から刷新する。
2026年6月18日、ニュージャージー州パーシッパニーに開業する全米102号店を「初の新プロトタイプ」として発表した[1]。Callaway傘下では手を付けなかったハードウェア設計の全面刷新だ。
開業は7月3日、米国独立記念日の前日週末に設定されている[1]。タイミングも「新しい始まり」の演出に使っている。
「My Bay, My Way」が変えるもの
新プロトタイプの目玉は「My Bay, My Way(マイ・ベイ、マイ・ウェイ)」と名付けたパーソナライズシステムだ[1]。
Topgolfの打席(Bay:ベイ)は従来、設備仕様が共通だった。食事はウェイターが対応し、流れるスポーツ中継も固定チャンネルだった。
新システムでは公式アプリから自分の打席の食事注文・TVチャンネル切替・自分のゲームハイライト録画の操作が手元でできる[1]。「画面を渡す・呼びかける」手間がなくなり、体験がスマートフォンに統合される。
聞こえはシンプルだが、体験設計としては重要な転換だ。従来のTopgolfはゴルフという「活動」を中心に場を提供していた。My Bay, My Wayは「この時間をどう使うか」をゲストが自分で設計する、体験の自律化へ向かう。
飲食・エンタメ・ゴルフが一体になった複合体験を、ゲストの好みに合わせてカスタマイズできる仕組みは、より長い滞在時間と消費単価の向上につながる設計だ。
施設スペックが示す「新しいTopgolf」

スポーツ観戦特化の「ゲームデースイート」はパーシッパニー店に24室設置される[1]。従来のTopgolf店舗では通常2室のみだった[1]。
12倍への増設は、ゴルフ以外の用途──大型スポーツイベントの観戦、企業のチームビルディング、誕生日パーティ──をTopgolfの主要収益源として位置づける宣言だ。「ゴルフをする場所」から「ゴルフをしながら何でもできる場所」への重心移動と読める。
その他の仕様は次の通りだ[1]。
| 設備 | 仕様 |
|---|---|
| ゲームデースイート | 24室(従来2室) |
| アーケードゲーム | 20台超 |
| スクリーン | 250台以上 |
| 屋上ソーシャルスペース | あり |
| My Bay, My Way | 世界初実装 |
アーケードゲーム20台超は、来店客の子どもや非ゴルファーが過ごせるコンテンツとして機能する。ゴルフをしない同伴者でも楽しめる場所にすることで、グループ来店の間口を広げる。
独立後の「採算圧力」という文脈
Callaway傘下では、ゴルフ用品事業のキャッシュフローがTopgolfの赤字を支える構図があった。
米国のゴルフ用品大手キャロウェイが、本業への回帰を決めた。社名とティッカーを「Callaway Golf Company」(CALY)に戻し、ゴルフ専業へ立ち返る判断である[1]。 背景には、2021年に進めた異業種統合の見直しがある。同[…]
独立した今は、Topgolf単体で収益を立証しなければならない。レナード・グリーン・アンド・パートナーズはPEファンドとして、投資リターンを求める。既存店売上の2025年の落ち込み(Q1で前年比12%減)から反転するシナリオを、具体的な数字で示す必要がある。
プロトタイプの刷新は、その答えの一つだ。同じ場所に足を運んでもらいやすくするリピート施策としても、新規顧客の獲得手段としても、設備の魅力向上は直接的な回答になる。
注目したいのは、「体験」への投資がどこまで既存店に横展開されるかだ。パーシッパニー店は全米102号店の「新プロト」だが、残る100店舗をどう改修するか、またはしないかで、戦略の本気度が測れる。
2021年、キャロウェイゴルフは170億ドル(約2兆6,350億円。1ドル=155円換算)と言われた買収でTopgolfを傘下に収めた。ゴルフ用品メーカーがエンタメ施設運営会社を飲み込んだ、当時最大規模の動きの一つだった。 2026年6月[…]
日本の体験型施設への示唆
日本にもTopgolfは進出しているが、My Bay, My Way対応は未発表だ。日本の施設では既存フォーマットが続いている。
体験型施設の文脈でより広く見れば、「スマートフォンで自分でカスタマイズできる体験」の設計は、ゴルフ以外の複合施設にも示唆がある。フードコート・ボウリング・カラオケ・スポーツ観戦施設など、グループ来店を主体とする業態では同様の発想が機能し得る。
「活動の場」から「その時間の過ごし方を自分で設計できる場」へのシフトは、体験型産業の一つの方向性として注目に値する。
まとめ
Topgolfのパーシッパニー店プロトタイプは、Callawayから独立した後の経営方針を具体化した第一弾だ[1]。
My Bay, My Way(体験のパーソナライズ)、24のゲームデースイート(ゴルフ以外の用途拡大)、250台以上のスクリーン(没入型環境の強化)──方向性は「ゴルフという活動に閉じない体験複合体」への転換だ。
独立後の採算圧力を考えると、この方向性が正しかったかは2026年末から2027年にかけての業績で判断できる。プロトタイプ展開が全店に広がるかを合わせて見たい。
よくある質問
Q. Topgolfは何か所ある?
A. 2026年6月時点で全米に102店舗(パーシッパニー含む)、国際展開も含めると世界規模の展開を持つ。
Q. Callawayとの関係はどうなったか?
A. Topgolfの施設事業はプライベートエクイティのレナード・グリーン・アンド・パートナーズが60%取得し、Callawayとは実質的に分離した体制になっている。
Q. My Bay, My Wayは他の店舗にも展開されるか?
A. パーシッパニー店が「プロトタイプ」として位置づけられており、成果次第で他店への横展開が検討されると見られる。具体的な展開計画は未発表。
Q. ゲームデースイートとは何か?
A. 大型スクリーンとゴルフ打席を備えた個室スペースで、グループでのスポーツ観戦や企業イベントに特化した設備。従来のTopgolfには通常2室しかなかったが、パーシッパニー店では24室を設置。
Q. 日本のTopgolfはいつMy Bay, My Wayに対応するか?
A. 現時点で日本での展開は未発表。米国プロトタイプの成果を見て検討されると考えられる。
出典
[1] https://press.topgolf.com/2026-06-18-TOPGOLF-TO-OPEN-ITS-NEWEST-VENUE-PROTOTYPE-AND-THIRD-NEW-JERSEY-LOCATION-IN-PARSIPPANY-ON-FOURTH-OF-JULY-WEEKEND[2] https://www.prnewswire.com/news-releases/topgolf-to-open-its-newest-venue-prototype-and-third-new-jersey-location-in-parsippany-on-fourth-of-july-weekend-302804462.html

