【書籍感想】『アマゾンのすごい問題解決』会社を辞める前にできることがある

『アマゾンのすごい問題解決』は、2019年に出版された本ですが、本書のベースとなっている著者佐藤将之さんがアマゾン ジャパンで働いていたのは、2000年から2016年。

その15年間は日本の失われた20年のまさに真っ只中であり、1997年にマイクロソフトがWindows95を販売した後に、スマートフォン・SNSの登場や台頭など、今やわれわれの生活の一部となっている、海外発信の多数のITサービスが成長・浸透していった期間でした。

この成長や変化が著しい中、著者がアマゾンで経験したことを踏まえた、日本でよくある33の解決できない問題に対するアマゾン流の問題解決方法を、変われない日本のビジネスパーソンのためにまとめている一冊です。

『アマゾンのすごい問題解決』はこんな本
  • タイトル:アマゾンのすごい問題解決
  • 著者:佐藤将之
  • 出版社 : 宝島社
  • 発売日 : 2019/4/3
  • 単行本 : 207ページ

『アマゾンのすごい問題解決』の著者 佐藤将之さんについて

アマゾン ジャパンの17番目の社員として、アマゾンの日本での立ち上げに参加し、15年間をアマゾンの社員として過ごしたという佐藤将之さん。アメリカの大学で経済学を学んだのちに、1994年にゲーム機メーカーセガで6年間働いたのちに、2000年にアマゾン ジャパンに入社されています。アマゾンを2016年に退職した後はコンサルタントとして活躍されています。

本書の他にも、「アマゾンのすごい会議」「アマゾンのスピード仕事術」などアマゾンでの体験をもとに複数の書籍を出版。アマゾンの経験をもとに活躍しています。

『アマゾンのすごい問題解決』のおすすめポイント3選

会社を停滞させるよくある問題への対処方法がわかる

「部下が育たないとボヤく上司は何から始めるべき?」「目標未達でもしかたがないという空気が蔓延する職場は?」等々、日本企業でよく聞く33の問題に対して、アマゾンではどうしているかが解説される構成となっています。

絶対に会社というところでは解決できないんだろう・・・と思われがちな内容についても、アマゾンではこうしている、という内容が示されており、目から鱗の内容も多いです。

改善活動の行動バイブルになる

やるべきことが具体的に書かれていることから、同じ問題に対して自分が対応するときに何度も見返したいものです。効果的に利用するためには、こういった本は読んだだけでは忘れてしまうため、手元に置いて年間を通して読み続けるべきものと思います。

会社が嫌で転職する前に改善活動をやってみる

会社で起こっている問題に対して、「この会社ではもう変えるのは無理」と思っている人、特に若手から中堅の人は多いと思います。

だからと言って単純に転職するだけでは、転職活動のアピールにはなりません。この状況を変えるために何をしたのか?、の実績を作っておくことは、たとえその会社をやめることとなっても、自分自身の実績として、転職面談時もその後の会社人生でもアピールすることができます。

『アマゾンのすごい問題解決』を読んで私的考察

私が最もショッキングで、頭に残っているのは、本筋とは別のこちらの文章です。

私は2016年に47歳でアマゾンを辞めましたが、辞めた理由の1つに「老害になりたくない」というものがありました。「この先アマゾンの求めるスピードやエネルギーについていけるか?」を冷静に考え、難しいと判断したのです。

「アマゾンのすごい問題解決」より抜粋

会社が成長するにつれてよりスピードやエネルギーが必要になるが、自分は体力が落ちていき、知識や経験だけでは補い切れないということでした。

40-50代前半の社員といえば、従来の会社組織の中では重要なポジションであり、会社にとってお荷物だなんてことは、中規模以上の日本企業では過去にはなかったと思います。しかし成長スピードが上がっている現代、若手のやる気ある社員に劣らない高いエネルギーを持ちキープしていけるのか?と聞かれると自信がないのは確かです。

現時点で、著者がアマゾンを退職したのと同じ年齢の私ですが、50代以上の社員に対して、少なからず「老害」だと思ってしまっていました。これは「仕事しないおじさん」だけではなく、その人が役職に付いているが故に現場の問題が伝わらない人の方が、より老害だと思っています。でも本書を読んで、自分自身が「老害」になっていないか、そうならないためにどういうキャリアを今後歩んでいくのかを、真剣に考えないといけないと思いました。

ここまでお読みくださり、どうもありがとうございました。

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