
リゾートやゴルフ場の送迎待ちは、世界的な人手不足のなかで長年の課題になっている。イスラエル発のスタートアップCarteav(カーティーブ)は、この待ち時間を自律走行のゴルフカートで解消しようとしている。同社は低速電動車(LSV。時速20〜30km程度で走る小型電動車を指す)を無人化する技術を開発し、リゾート・ゴルフ場・空港・高齢者向け住宅地など、囲われた区域での送迎に売り込んでいる[1]。
IT・DX畑の読者にとって関心が向くのは、労働力不足という切実な経営課題に、自律走行という技術がどこまで実際のROIを出せるかという点である。本稿では、Carteavが公表する削減効果の主張を、独立した報道と突き合わせながら検証する。
Carteavとはどんな会社か-イスラエル発の自律走行LSV開発企業
Carteavは、イスラエルのリション・レジオン(テルアビブ近郊の都市)を拠点とする、自律走行の低速電動車を専門に手がける企業である。同社はレベル4〜5の自律走行(人の運転操作なしに車両単独で走行判断を完結できる水準)を掲げ、車両本体に加えて、車両管理ソフトウェアと自動充電、配車アプリまでを一括提供する[2]。資金面では、イスラエルの著名投資家ゾハル・ジサペル氏とMobilion Venturesから650万ドル(約10億750万円。1ドル=155円換算)を調達し、米国市場への展開を進めている[3]。
当初はゴルフ場向けの無人カートとして注目を集めたが、事業領域はリゾートから空港シャトルまで広がりつつある。イスラエルのテック系メディアCtech(Calcalist紙のテクノロジー版)も、Carteavを自国発の自律走行スタートアップとして取り上げている[6]。同国は人口規模の割に自律走行・防衛技術系スタートアップが多い土地柄であり、Carteavもその系譜に連なる一社と言える。

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送迎待ちはどう減るのか-センサー三重化と配車アプリの仕組み
Carteavの無人カートは、LiDAR(レーザー光で周囲の距離を測るセンサー)・レーダー・カメラ映像の三種類を組み合わせ、一つが誤検知しても他の二つで補う冗長構成を取っている[2]。利用者はスマートフォンの配車アプリでカートを呼び出し、待機場所まで無人で迎えに来させる仕組みになっている[1]。Carteav自身は、広い敷地を持つリゾートで内部の送迎待ち時間を3〜5割短縮できると主張している[1]。
ただし、この数値はCarteavが自社サイトで示す推計であり、第三者機関による検証データは確認できなかった。ゴルフ場単体での実測値としては、現時点で独立報道は見当たらない。

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リゾート運営がなぜ自律化に動くのか-人手不足とコスト構造
背景にあるのは、新型コロナウイルス流行後に恒常化した送迎ドライバーの採用難である。Carteavは、ドライバー一人を雇う人件費が無人カートの運用コストを大きく上回ると説明し、事故減少による保守費の5割超の低減や保険料の引き下げも見込めるとしている[2]。
実際の導入例としては、フロリダ州の高齢者向けゲーテッドコミュニティEpperson Lagoonが米国での初顧客として発表され[4]、シアトル・タコマ国際空港ではポート・オブ・シアトル(同空港を管理する港湾局)が90日間の無人シャトル実証を発注した[5]。いずれもゴルフ場そのものではなく、リゾート・空港という隣接領域での採用である点は押さえておきたい。

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ゴルフ場ならではの使い道はあるのか-送迎以外への広がり
Carteavの無人カートは、単なる送迎手段にとどまらない。Ctechの報道によれば、同社はゴルフ場向けに、芝刈りや落ち葉清掃といった管理業務の自動化、コース上でのボール回収、プレー中の飲み物や軽食の配達といった用途にも展開を進めている[6]。
これらは送迎ドライバーとは別の職種の人手不足にも対応する狙いがある。ゴルフ場の運営者からすれば、一台の車両基盤を複数の業務に転用できる点は、投資判断のうえで見逃せない要素になる。

導入障壁は何か-規制・実績・投資回収の壁
自律走行カートは公道を走らない前提のため、一般的な自動運転車のような交通法規上の高いハードルは相対的に低い。とはいえ、料金体系は公表されておらず、ゴルフ場単体での投資回収期間を示すデータも見当たらない。以下に、従来型カートとCarteavの無人カートの違いを整理する。
| 項目 | 従来型ゴルフカート | Carteav無人カート |
|---|---|---|
| 運転者 | 必要 | 不要(配車アプリで呼び出し) |
| センサー構成 | なし | LiDAR・レーダー・カメラの三重化 |
| 稼働時間の制約 | ドライバーのシフトに依存 | 24時間対応が可能とされる[2] |
| 導入実績(ゴルフ場) | 多数 | 独立検証事例は未確認 |
導入を検討する事業者にとっては、Carteavが示す削減率を鵜呑みにせず、自社の送迎需要データと照らして試算する姿勢が欠かせない。

よくある質問(FAQ)
Q1. Carteavとはどんな会社ですか。
イスラエル発の自律走行低速電動車(LSV)開発企業で、ゴルフ場やリゾートの無人送迎カートを手がけている。
Q2. 無人ゴルフカートは実際にどこで使われていますか。
米国ではフロリダ州のゲーテッドコミュニティやシアトル・タコマ国際空港のシャトル実証で採用例があるが、ゴルフ場単体での独立検証済み事例は確認できていない。
Q3. 送迎待ちを3〜5割減らせるという数字は信用できますか。
Carteav自身が公表する推計であり、第三者による検証データは今のところ見当たらない。参考値として捉えるのが妥当である。
まとめ
Carteavの無人カートは、人手不足に悩むリゾート運営にとって現実的な選択肢になりつつある。ただし、送迎待ち削減の具体的な効果は、現時点では企業自身の主張にとどまる。導入実績もゴルフ場そのものより、ゲーテッドコミュニティや空港シャトルといった隣接領域が先行している。
導入を検討する読者は、公表数値を出発点としつつ、自社の送迎需要データで検証する姿勢を欠かさないようにしたい。電動化に続く自律化の波は、ゴルフ場という現場ではまだ実証段階にある。
出典
[1] https://carteav.com/blog/golf-courses-with-smart-autonomous-carts/[2] https://carteav.com/product/
[3] https://coverager.com/carteav-raises-6-5-million/
[4] https://www.prnewswire.com/news-releases/carteav-the-world-leader-in-low-speed-autonomous-electric-vehicles-announces-its-first-us-customer-and-prepares-for-massive-growth-302139158.html
[5] https://www.prnewswire.com/news-releases/carteav-selected-by-port-of-seattle-for-90-day-driverless-shuttle-pilot-at-sea-airport-302522013.html
[6] https://www.calcalistech.com/ctechnews/article/e04hof9pw


