大手提携引越しサービスは安いのか?自分で4社相見積もりして検証した結果

新居の契約が決まると、不動産会社から「提携の引越しサービスがありますよ」と案内が来る。

今回の住み替えでも例外ではなかった。大手賃貸会社の仲介会社を通じて賃貸契約をした直後、大手賃貸会社の提携入居サービスの案内が届いた。引越し・ライフライン・インターネットの手配を一括で代行してくれるという。

忙しい中での引越し準備だ。一括で済むなら楽に越したことはない。だが「楽」には対価がある。本当に安いのか。自分で見積もりを取ったほうが得なのではないか。

結論から言えば、手間を惜しまないなら、自分で相見積もりを取るべきだ。提携サービスは「標準価格から10%引き」というアピールだったが、金額は確認しなかった(利用しなかった)。一方、自分で4社に相見積もりを取った結果、最安は121,000円(税込)だった。

この記事では、提携引越しサービスの仕組みを解説し、自分で取った4社の見積もりと比較した過程を全公開する。

この記事でわかること

  • 不動産会社が提携する引越しサービス(大手賃貸会社の提携サービス等)の仕組みと特徴
  • 提携サービスの見積もり金額と、自分で4社に取った相見積もりの金額差
  • 提携サービスのメリット・デメリット
  • 相見積もりで価格が下がる理由と、交渉なしでも差が出る構造
  • 結局どちらを選ぶべきかの判断基準

提携引越しサービスとは何か

大手賃貸会社の提携入居サービスの概要

大手賃貸会社の不動産会社で賃貸契約をすると、契約完了後に提携入居サービスの案内が届く。運営は大手賃貸会社グループの関連企業だ。

このサービスの提供内容は主に以下の通りである。

  • 引越し業者の手配(提携先の引越し会社を紹介)
  • 電気・ガス・水道の開通手続き代行
  • インターネット回線の契約手配
  • 不用品回収の紹介

電話一本で、新生活に必要なインフラの手配をまとめて依頼できるという仕組みだ。

なぜ不動産会社が引越しサービスを提供するのか

不動産会社にとって、引越しサービスの紹介は収益源のひとつである。提携先の引越し業者やライフライン事業者から紹介手数料を受け取るビジネスモデルだ。

つまり、利用者が支払う料金には、紹介手数料分が上乗せされている可能性がある。「提携だから安い」とは限らない構造がここにある。

案内のタイミングと心理的な効果

提携サービスの案内が届くのは、契約直後——つまり引越し準備の最も忙しいタイミングだ。

  • 新居の契約手続きが終わったばかり
  • 退去準備や荷造りが迫っている
  • ライフラインの手続きを何から始めればいいかわからない

この状態で「全部まとめてやります」と言われれば、正直助かると感じる。実際、筆者も一瞬「これでいいか」と思いかけた。だが、金額を確認せずに申し込むのは危険だ。

提携サービスの見積もり結果

提携入居サービスに引越しの見積もりを依頼した。条件は以下の通りである。

見積もり条件

項目 内容
引越し時期 2026年4月
旧居 東京都23区内・1LDK・42平米・マンション5階・エレベーターあり
新居 東京都23区内・3LDK・マンション13階・エレベーターあり
荷物量 2人分(大型家具:冷蔵庫・ドラム式洗濯機・シングルベッド・エアコン14畳用移設)
エレベーター 旧居:あり、新居:あり
距離 約20km

提携サービスの見積もり金額

提携サービスでは「標準価格から10%引き」という案内があった。しかし、具体的な見積もり金額は取得しなかった。自分で相見積もりを取ることを先に決めたためだ。

提携サービス: 金額不明(利用しなかった)

提携先の業者名も不明である。一般的な提携サービスとして、段ボール等の梱包資材提供はあるとのことだった。

ただし「標準価格から10%引き」とアピールされても、そもそも標準価格自体が高ければ割引の意味は薄い。この点は後述する。

自分で4社に相見積もりを取った結果

提携サービスの金額を見た時点で、「これは自分で比較すべきだ」と判断した。理由は単純で、1社だけの見積もりでは相場がわからないからだ。

見積もりを取った4社

以下の4社に見積もりを依頼した。

# 業者 見積もり方法 見積もり金額(税込)
1 業者A オンライン(LINE電話) 165,000円
2 業者B 訪問 121,000円(最安・最終決定)
3 業者C オンライン 210,000円
4 業者D 訪問予定→辞退 ―(3社で十分と判断)
参考 提携業者 不明(利用せず)

最安と最高の差

  • 最安: 121,000円(業者B・訪問見積もり)
  • 最高: 210,000円(業者C・オンライン見積もり)
  • 提携サービス: 金額不明(利用しなかった)
  • 最安と最高の差額: 89,000円

同じ条件でも業者間で89,000円もの差が出た。最高値は最安値の約1.7倍だ。提携サービスは「標準価格から10%引き」とのことだったが、仮に標準価格が最高値の210,000円と同水準だとしても、10%引きで189,000円。自分で取った最安の121,000円とは68,000円の差がある。手間をかけて相見積もりを取る価値は十分にあった。

各社の比較(金額・方式・印象)

金額だけでなく、見積もり方式や対応の印象にも差があった。

比較項目 業者A 業者B 業者C
金額(税込) 165,000円 121,000円 210,000円
見積もり方式 オンライン(LINE電話) 訪問 オンライン
段ボール 訪問時にその場で50個提供
養生・梱包 基本サービスに含む 基本サービスに含む 基本サービスに含む

業者Bは訪問見積もり時にその場で段ボール50個を置いていってくれた。見積もり段階でここまで対応してくれると、信頼感が大きく変わる。業者Dは訪問見積もりの予定だったが、3社の見積もりで相場観がつかめたため辞退した。

なぜ相見積もりで価格差が生まれるのか

引越し業界の価格構造を理解すると、なぜ相見積もりが有効なのかが見えてくる。

引越し料金は「定価」がない

引越し料金は、航空券やホテルと同じく変動価格制だ。以下の要素で金額が大きく変わる。

  • 時期:3〜4月の繁忙期は閑散期の1.5〜2倍になることもある
  • 曜日・時間帯:土日・午前便は高く、平日・フリー便は安い
  • トラックの空き状況:空きがあれば安く受けられる
  • 営業所からの距離:近い案件は移動コストが低い

つまり、同じ荷物量・同じ距離でも、業者ごとに「受けたい価格」が異なる。相見積もりが効く最大の理由はここにある。

提携サービスは「比較されない前提」の価格

提携サービスの見積もりは、基本的に1社だけが提示する。利用者が比較検討することを前提としていない。

自分で複数社に見積もりを依頼すると、各社は「他社と比較される」ことを織り込んで価格を出す。この競争原理が働くかどうかが、最終的な金額差につながる。

紹介手数料の存在

提携サービス経由の場合、引越し業者は紹介元(不動産会社やサービス運営会社)に手数料を支払う。この手数料は業者が負担するが、最終的には利用者の見積もり金額に転嫁される可能性がある。

自分で直接見積もりを取れば、この中間マージンは発生しない。

提携引越しサービスのメリット・デメリット

メリット デメリット
手間 電話一本で手配完了。複数の手続きを一括代行 比較検討の余地がない
価格 割引が適用される場合もある 相見積もりより高くなりがち
安心感 不動産会社の提携先という信頼 提携先が最適とは限らない
スピード 申し込みから手配までが早い 急いで決めてしまうリスク
ライフライン 電気・ガス・水道・ネットをまとめて手配 自分で選べばもっと安いプランがある
交渉 不要(提示価格で決まる) 値下げ交渉の余地がほぼない

提携サービスが向いている人

  • 引越し準備に割ける時間が極端に少ない
  • 見積もり比較や交渉が苦手、またはストレスに感じる
  • 多少高くても、手間を省くことに価値を感じる
  • ライフラインの手続きもまとめて任せたい

自分で相見積もりすべき人

  • 数万円の差額を節約したい
  • 比較検討すること自体が苦ではない
  • SUUMO等の一括見積もりサイトを使える(電話ラッシュを避ける方法を知っている)
  • 引越しまでに2週間以上の余裕がある

まとめ — 不動産会社の提携引越しサービスは利用すべきか

今回の検証結果を一言でまとめるとこうなる。

提携サービスは「楽」だが「安い」わけではない。自分で4社に相見積もりを取った結果、最安121,000円を見つけられた。提携サービスの「標準価格から10%引き」では、この金額にはまず届かないだろう。

提携サービスの存在を否定するつもりはない。忙しい中で手続きを一括代行してくれる便利さには価値がある。だが、「提携だから安い」「不動産会社が紹介してくれるから信頼できる」という思い込みは危険だ。

やったことはシンプルだ。

  1. 提携サービスの見積もりを確認する(断る前に金額を聞く)
  2. 自分で3〜4社に見積もりを依頼する(SUUMO等を使えば電話なしで可能)
  3. 金額とサービス内容を比較して決める

この3ステップに要した時間は合計で3〜4時間程度。最安と最高で89,000円の差があったことを考えれば、十分に元が取れる投資だった。

よくある質問(FAQ)

Q. 提携サービスを断ったら不動産会社との関係に影響はある?

ない。 提携サービスの利用はあくまで任意だ。断ったからといって、賃貸契約に影響が出ることはない。引越し業者やライフラインの手配は、契約者が自由に選べる。不動産会社側もそれを前提としている。

Q. 提携サービス経由だと割引がつくのでは?

提携サービスでは「特別割引」「提携価格」とうたわれることがある。だが、その「割引後の価格」が市場の最安値とは限らない。割引の基準となる「定価」自体が高めに設定されている場合もある。比較しなければ、その割引が本当にお得なのかは判断できない。

Q. 一括見積もりサイトを使うと電話が大量に来るのでは?

SUUMO引越し見積もりなら、電話番号の入力が任意だ。メールアドレスだけで見積もり依頼ができるため、電話ラッシュを回避できる。詳細は別記事「SUUMO引越し見積もりを使ったら、電話なしで3社比較できた話」を参照。

Q. 提携サービスのライフライン代行は使うべき?

引越し自体は自分で業者を選び、ライフライン(電気・ガス・水道)の手続きだけ提携サービスを利用するという使い分けも可能だ。ただし、電力会社やガス会社は自分で選んだほうが安いプランを見つけやすい。特に電力自由化以降は、新電力を選ぶだけで年間数千円〜1万円以上の差が出ることもある。

Q. 引越し見積もりは何社に取るのが適切か?

3〜4社が目安だ。 2社だと比較材料が足りず、5社以上になると対応の手間が増える割に価格差が収束してくる。今回は4社に依頼したが、3社目の時点でおおよその相場観はつかめていた。

Q. 訪問見積もりとWeb見積もりはどちらがいい?

荷物量が少ない単身〜2人世帯なら、Web(またはビデオ通話)見積もりで十分なことが多い。荷物量が多い場合や、大型家具・ピアノ等の特殊な荷物がある場合は、訪問見積もりのほうが正確な金額が出やすい。今回は訪問2社・オンライン2社で依頼した。結果的に最安は訪問見積もりの業者Bだった。訪問のほうが荷物量を正確に把握できる分、適切な金額を出しやすいのかもしれない。


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