韓国の予約サイトで10万ウォン未満の枠が34%に、グリーンフィー値下がりの実像

韓国のゴルフ場で、プレー料金にあたるグリーンフィーの値下がりが数字に表れてきた。韓国の経済紙ソウル経済新聞(Seoul Economic Daily)は2026年10月2日、韓国のゴルフ予約サイト「XGOLF(エックスゴルフ)」のデータを報じた[1]。同サイトに掲載された予約枠のうち、10万ウォン(約1万1700円。1ウォン=約0.117円換算)未満の枠は、前年同期の22.2%から34.4%に増えた[1][6]。

韓国はコロナ禍でゴルフ人口が急増した国の一つだ。その特需が終わり、料金・来場者数・関連企業の業績がそろって下を向いている[1]。

予約・プレー料金の面では、韓国へゴルフ旅行に行く人にとって、安い枠を見つけやすくなっている。ただし今回の数字はXGOLFに掲載された枠の価格帯の割合で、韓国全体の平均料金ではない。

ビジネス・ITの面では、需要が縮むなかで値下げに頼るか、需要予測で価格を動かすかという選択が見える。本稿はXGOLFの価格帯別データを軸に、来場者数の減少やアパレル企業の減益と並べ、韓国ゴルフ市場の調整局面を整理する。

韓国のゴルフ予約サイトでグリーンフィーはどの価格帯で下がったのか

XGOLFのデータでは、15万ウォン(約1万7500円)以上の高い枠が減り、10万ウォン未満の安い枠が増えた[1]。比較したのは、1月1日から9月28日までにXGOLFに掲載された予約枠で、2025年と2026年の同じ期間を並べている[1][7]。

XGOLFの掲載枠は10万ウォン未満が34.4%に増え、15万ウォン以上は23.9%に減った

価格帯ごとの変化は次の通りだ。10万〜15万ウォンの中間帯は41.3%から41.7%とほぼ横ばいで、動いたのは両端だった[1]。15万〜20万ウォンの帯は7.9ポイント、20万ウォン以上の帯は13.0%から8.4%へ縮んだ[1]。

価格帯(円換算)2025年2026年
10万ウォン未満(約1万1700円未満)22.2%34.4%
10万〜15万ウォン41.3%41.7%
15万〜20万ウォン23.4%15.5%
20万ウォン以上(約2万3400円以上)13.0%8.4%

この結果、15万ウォン未満の枠は全体の76.1%となり、4枠のうち3枠以上を占めた[1]。掲載枠の総数は前年より減ったが、10万ウォン未満の枠は数でも19.3%増えている[1]。

注意したいのは、これがXGOLF一社に掲載された枠の構成比だという点だ。ゴルフ場が値下げした枠をサイトに多く出せば、割合は実際の値下げ幅より大きく動きうる、というのが筆者の見立てだ。報道からは、どのゴルフ場がどの曜日や時間帯の枠を値下げしたのかまでは分からない。

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韓国のゴルフ場の来場者数と関連企業の業績はどれだけ落ちたのか

料金の値下がりは、需要の縮小と同時に起きている。韓国ゴルフ場経営協会の集計では、全国524コースの2025年の来場者数は延べ4,641万人で、前年から2.1%減った[1]。

大衆ゴルフ場(民間が運営し、会員権なしで誰でもプレーできる韓国の制度上の区分)も同じ流れだ。韓国大衆ゴルフ場協会によると、2025年の18ホール換算の平均来場者は8万5642人で、前年の8万9376人から4.2%減った[2]。来場者は2022年から毎年減っている[2]。

同協会の調査では、首都圏の平日グリーンフィーが15.9万ウォン(約1万8600円)から14.6万ウォン(約1万7100円)へ8.2%下がった[2]。首都圏の週末は8.7%下がって18.8万ウォン(約2万2000円)、地方は1〜2%程度の下落だった[2]。

韓国ゴルフ市場の指標はそろって前年を下回り、ロジャーナインの営業利益は51.5%減った

打撃はゴルフ用品にも及ぶ。米国発のゴルフブランドPXGのアパレルを韓国で展開するロジャーナイン(Roger Nine)は、2025年の営業利益が143億ウォン(約16.7億円)と、前年の295億ウォンから51.5%減った[1]。売上も1053億ウォンから891億ウォン(約104億円)へ15.4%減っている[1]。

調査会社ユーロモニターの韓国法人は、ゴルフアパレル需要の急減について、20〜30代がコロナ禍の後にゴルフを離れたことを要因に挙げた[1]。同じ記事は、コロナ禍で上がったグリーンフィーやキャディ料、カート料が高止まりし、価格に敏感な層が離れたと伝えている[1]。旅行・レジャー企業ヤノルジャの研究所は、韓国観光公社の消費データをもとに、国内のゴルフ関連支出の減少が2025年5月まで16か月連続で続いたと報告している[1][9]。

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韓国のゴルフ場は値下げ以外にどんな手を打っているのか

値下げとは別の手として、韓国ではAIで料金を日々動かすダイナミックプライシング(需要に応じて価格を変える仕組み)が始まった。韓国IT大手カカオ系列のカカオVXは2026年9月、予約サービス「カカオゴルフ予約」にこの仕組みを導入した[3][8]。

ゴルフ場ごとの予約データからAIが需要を予測し、1日に数百の価格を作ってゴルフ場の基幹システムへリアルタイムで送る流れ
カカオVXのダイナミックプライシングの流れ

カカオVXの説明では、AIがコースごとの予約データを分析し、1日に数百の価格を作ってゴルフ場の基幹システムにリアルタイムで送る[3]。直前のキャンセルを減らしながら、ゴルファーには手頃な枠を出すのが狙いだという[3]。

同社が1日のうち3部(3回目の時間帯)のティータイムを受託している慶尚道の1コースでは、この仕組みを使った結果、来場者が前年比46%増の3万3929人、年間売上が32%増の24.8億ウォン(約2.9億円)になった[3][8]。一方で、1人当たりの支出は9%減った[3]。

比較軸一律の値下げダイナミックプライシング
価格の決め方料金表を引き下げる需要予測で日々変える
報じられた数字首都圏平日8.2%下落[2]来場者46%増・売上32%増(1コース)[3]
1人当たり単価下がる9%減[3]

カカオVXの数字は、同社が予約枠を受託している1コースの実績で、同社の発表による。客単価を下げても来場者を増やして売上を伸ばしたという形で、単価の下落を数量で埋めた例といえる。これが市場全体に広がるかは、まだ判断できない。

XGOLFで安い枠が増えたのも、料金表全体の値下げなのか、需要の弱い時間帯に絞った値下げなのかは、報道からは確認できなかった。

ウォン

韓国で、1組20万ウォン(約2万3,200円)のリムジンカートを置くゴルフ場が急増している。リムジンカートは3列シートの6人乗り乗用カートで、通常の5人乗り電動カートの約2倍の料金を取る[2][3]。民間調査機関の韓国レジャー産業研究所が[…]

日本のゴルフ場のプレー料金も韓国のように下がっているのか

日本では、プレー料金はむしろ上がっている。日本ゴルフ場経営者協会(NGK)によると、2024年度の課税利用者1人当たりのゴルフ場利用税額は646円で4年連続上昇し、同協会はプレー料金が4年連続で上昇に転じた結果だと説明している[4]。

利用者数は韓国と同じく、コロナ特需の後に減っている。2022年度に9,100万人強だった全国の延べ利用者数は、2024年度に8,750万人となった[4]。それでもコロナ禍前の2019年度(8,597万人)を153万人上回る[4]。

比較軸韓国日本
料金の動き首都圏平日グリーンフィー8.2%下落(2025年)[2]プレー料金が4年連続で上昇(2024年度まで)[4]
利用の動き来場者数2.1%減(2025年、524コース)[1]延べ利用者8,750万人、2年連続減(2024年度)[4]
直近の月次—2026年6月715.5万人、前年同月比7.6%減[5]

※「—」は本稿で確認していない項目。

ただし直近では日本も減少が目立つ。2026年6月の全国利用者数は715万5000人で、前年同月から7.6%減った[5]。NGKは料金の上昇について、賃上げや燃料費などのコスト上昇を吸収した値上げとは言い難いとしている[4]。

ウォン

韓国の鉄鋼最大手POSCO(ポスコ)グループが、仁川(インチョン)市の松島(ソンド)国際都市にある会員制ゴルフ場「ジャック・ニクラウス・ゴルフクラブ(GC)コリア」の売却に乗り出した[1][2]。男子メジャー4大会をすべて制した米国のジャ[…]

まとめ

XGOLFの掲載枠では、10万ウォン未満が34.4%に増え、15万ウォン以上は23.9%に減った。来場者数の2.1%減やロジャーナインの営業利益51.5%減と合わせると、韓国のゴルフ市場はコロナ特需の後の調整に入っている。

韓国でプレーする人には、値下がりが中間帯ではなく両端の価格帯で起きている点を知っておくと、予約サイトの見え方が変わる。事業側にとっては、一律の値下げと需要予測による価格変動で、客単価と来場者数の動き方が違うことが判断材料になる。

日本は料金が上がり続けてきた一方、利用者数は減っている。韓国の値下がりが日本の数年後の姿なのかは、今後の料金と利用者数を並べて確かめる必要がある。

よくある質問(FAQ)

Q. 韓国のゴルフ場は安くなったのか。
A. 予約サイトXGOLFでは、10万ウォン(約1万1700円)未満の枠が掲載枠の34.4%に増えた[1]。首都圏の大衆ゴルフ場では、平日グリーンフィーが2025年に8.2%下がっている[2]。

Q. 韓国でゴルフをする人は減っているのか。
A. 減っている。全国524コースの2025年の来場者数は延べ4,641万人で、前年から2.1%減った[1]。

Q. 日本のゴルフ場でも値下げが起きているのか。
A. 起きていない。NGKによると、日本のプレー料金は2024年度まで4年連続で上昇している[4]。

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出典

  1. Korean golf courses slash green fees as players dwindle, Seoul Economic Daily, 2026-10-02. https://en.sedaily.com/society/2026/10/02/korean-golf-courses-slash-green-fees-as-players-dwindle
  2. 대중골프장협회 “대중형 골프장, 전년 대비 내장객 4.2% 감소”, デイリアン, 2026-03-24. https://www.dailian.co.kr/news/view/1625122/
  3. Kakao VX rolls out AI-based dynamic pricing for golf, Seoul Economic Daily, 2026-09-17. https://en.sedaily.com/sports/2026/09/17/kakao-vx-rolls-out-ai-based-dynamic-pricing-for-golf
  4. 「2024年度ゴルフ場利用者数」・「2025年2月末ゴルフ場数」について, 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会, 2025. https://www.golf-ngk.or.jp/news/2025/riyouzei/2024comment.pdf
  5. 2026年6月のゴルフ場利用状況(速報値), 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会, 2026-07. https://www.golf-ngk.or.jp/riyousyasu/2026/2026.6.pdf
  6. 為替レート(KRW基準、2026年10月4日更新), ExchangeRate-API. https://open.er-api.com/v6/latest/KRW
  7. 골프장서 사진 찍기 바쁘던 2030 안 보이더니…“10만원에 치세요” 확 달라진 분위기, ソウル経済新聞(韓国語版), 2026-10-02. https://www.sedaily.com/article/20097479
  8. 카카오골프예약, 다이내믹 프라이싱 본격 도입, ソウル経済新聞(韓国語版), 2026-09-17. https://www.sedaily.com/article/20091927
  9. Vol.29 인구구조와 경제기조로 본 골프산업의 미래, ヤノルジャリサーチ, 2025. https://www.yanolja-research.com/insight/view/518?lang=ko