韓国でキャディ代1組15万ウォンのコースが320か所に、ゴルファーの負担はどう変わったか

韓国のゴルフ場で、キャディ代の値上がりが続いている。韓国の民間シンクタンク、韓国レジャー産業研究所が2026年10月11日に出した報告によると、4人1組で15万ウォン(約1万7700円。1ウォン=約0.118円換算)のキャディ代を取るゴルフ場は、2026年10月に320か所になった[1][6]。2022年5月の77か所から、約4年半で4.2倍に増えた計算だ[1]。

キャディは、プレーヤーのクラブを運び、距離やラインを助言する専属の補助員を指す。韓国ではキャディ付きのプレーが長く標準だったが、ここにきてキャディを付けない運営を選ぶゴルフ場と、不要と考えるゴルファーが同時に増えている[1][5]。

予約・プレー料金で見ると、韓国でラウンドするときはグリーンフィーとは別に、組単位のキャディ代がかかる。15万ウォンを4人で割ると1人約3万7500ウォン(約4400円)で、旅行で韓国のコースを予約する人にも直接響く金額だ[1]。

ビジネスの側では、人手の奪い合いで上がった人件費を、利用者にどこまで転嫁できるかが論点になる。本稿は料金の推移、15万ウォンが広がった理由、キャディ代の払い方と制度、キャディなし運営の割合、韓国の物価から見た水準、ロボットキャディの実現性を順に整理し、日本と比べる。

韓国のキャディ事情で意外な数字は何か

先に、調べて意外だった数字を並べる。いずれも本文の各節で詳しく扱う。

数字中身
96.7%直近のラウンドでキャディ代を現金だけで払ったゴルファーの割合(2026年6月調査、1025人)[8]
76倍1組15万ウォンのゴルフ場は2021年の4か所から2026年6月の306か所に増えた(韓国ゴルフ消費者院の集計、18ホール以上の409か所が対象)[5]
約1割2021年分の所得を申告したキャディは3388人で、当時の推計約3万5000人の約1割にとどまった(割合は筆者計算)[8]
約3杯キャディ代1人分の3万7500ウォンは、ソウルの冷麺(2026年5月の平均1万2615ウォン)約3杯分[1][14]
26.1%キャディ選択制の導入率は首都圏が全国で最も低い。大都市に近く、キャディを集めやすいためとされる[4][5]
約1218円韓国の2026年の最低賃金(時給1万320ウォン)を円にした額で、日本の令和8年度の全国加重平均1177円を上回る[12][13][6]

最後の数字が示すように、韓国の最低賃金はすでに日本と同じ水準にある。キャディ代が高いかどうかは、為替で円に直すだけでは判断しにくく、本稿では最低賃金で何時間分かという物差しも使う。

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韓国のキャディ代はこの20年でどれだけ上がったのか

韓国のゴルファーが払ったキャディ代の総額は、2025年に推計1兆7240億ウォン(約2030億円)で、2015年の約9713億ウォンから77.5%増えた[1]。年平均では約5.9%の伸びになる[1]。

この推計は、ゴルファーを520万人と置いて算出したものだ[1]。1人当たりでは年間約33万ウォン(約3万9000円)で、規定外に渡す上乗せ分は含まない[1]。別の業界推計では、2025年の総額を1兆7800億ウォンとする報道もある[2]。

組単位の平均額も上がった。大衆型(会員権なしで誰でもプレーできる韓国のゴルフ場区分)と会員制で分けると、次の通りだ[1]。

区分2016年2026年10月上昇率
大衆型11万9200ウォン(約1万4100円)14万8100ウォン(約1万7500円)24.2%
会員制12万700ウォン(約1万4200円)15万5500ウォン(約1万8300円)28.8%

会員制の上昇率は大衆型より4.6ポイント高く、上げ幅の差は1組5900ウォンだった[1]。地域別では、首都圏の大衆型が1組平均15万2900ウォン(約1万8000円)で最も高い[1]。済州は15万600ウォン、釜山・蔚山・慶南は14万8000ウォンで、首都圏との差は4900ウォンにとどまる[1]。

さらに2006年までさかのぼると、大衆型の1組当たりのキャディ代は2006年5月に8万2000ウォンだった[7]。2026年5月の14万7000ウォンまでの上昇率は79.7%で、同じ期間のカート代(6万2000ウォンから9万8000ウォン、58.5%)より大きい[7]。研究所の年次報告では、平日のグリーンフィーの上昇率は63.5%で、キャディ代は調べた項目の中で最も上がった[5]。

韓国の大衆型ゴルフ場の1組当たりキャディ代は2006年の8万2000ウォンから2016年の11万9200ウォン、2026年10月の14万8100ウォンへ上がり、カート代の6万2000ウォンから9万8000ウォンへの上昇より大きい
大衆型ゴルフ場の1組当たりキャディ代とカート代の推移

ゴルフ1回の費用に占める割合で見ると、2026年5月の大衆型の週末料金は1人27万3000ウォンで、キャディ代の1人分(14万7000ウォンを4人で割って約3万6750ウォン)はその約13%に当たる(割合は筆者計算)[7]。

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なぜ韓国でキャディ代15万ウォンのコースが320か所まで増えたのか

研究所は、ゴルフ場どうしのキャディの奪い合いが値上げを押し上げたとみている[1]。集計の対象は18ホール以上の大衆型と会員制のゴルフ場で、キャディを置かないゴルフ場は含まない[1]。

1組15万ウォンのキャディ代を取るゴルフ場は2022年5月の77か所から320か所に増えた

ただし増加の大半は2024年までに起きている。2024年5月の時点ですでに299か所に達しており、その後の約2年半の増加は21か所にとどまる[1]。

2022年5月からの同じ期間に、14万ウォンのゴルフ場は139か所から21か所へ84.9%減った[1]。15万ウォンを超える価格帯も広がり、16万ウォンは2024年5月の3か所から53か所、17万ウォンは6か所から16か所になった[1]。

研究所が挙げた例では、江原道(韓国北東部の道)の大型ゴルフ場がキャディを集めるために16万ウォンに上げた[1]。周辺のゴルフ場はキャディの流出を防ぐため、同じ水準に合わせたという[1]。研究所は、自前で育てずに近くのコースから引き抜く採用のしかたが、競争を強めていると指摘する[1]。

大型ゴルフ場がキャディを集めるために値上げし、周辺のゴルフ場が流出を防ぐために追随し、地域の相場が上がる流れ
研究所が説明するキャディ代上昇の連鎖

値上げは2026年秋も続いている。韓国のテレビ局系経済メディアSBS Bizによると、ソウル近郊のザ・シエナ・ソウルCCは1組15万ウォンから17万ウォン(約2万円)に上げ、熟練キャディの確保や人件費の上昇を理由に挙げた[2]。釜山の海雲台ビーチCCは14万ウォンから15万ウォンに上げた[2]。

キャディの年収は、研究所の推計で1人約4100万ウォン(約480万円)だ[1]。これは税引き前の受取額の推計で、経費を差し引いた実際の所得ではない[1]。研究所によると、キャディは2〜3か月の教育を経て現場に出て、60代まで働く例もある[1]。女性の応募者が減るなかで、山岳型のゴルフ場を中心に男性のキャディが増えているという[1]。

キャディ・ロボットキャディ

韓国・京畿道の高陽市(コヤン、ソウル近郊)のパブリックゴルフ場、高陽カントリークラブ(高陽CC)が2026年9月、ロボットキャディ「Hello Caddy(ハローキャディ)」40台を正式導入した。開発はゴルフ場向けAIロボットを手がけるエ[…]

キャディ付きのコースは以前キャディ代を取っていなかったのか

取っていた。2006年5月の時点で、大衆型の1組当たりのキャディ代は8万2000ウォンだった[7]。ただし、そのお金はゴルフ場の売上として受け取るものではない。グリーンフィーとカート代はゴルフ場が決済するが、キャディ代はラウンドの後にゴルファーがキャディへ直接渡すのが一般的だ[8]。

払い方は今も現金が中心だ。慶北大学の教授とキャディ専門研究所が2026年6月に、直近1年にキャディ付きでラウンドした1025人に聞いた調査では、直近のラウンドでキャディ代を現金だけで払った人が96.7%を占めた[8]。キャディ代を電子で払う仕組みが根づかず、現金で渡す慣行が固まったとされる[8]。

ゴルフ場がキャディ代を受け取らない理由は、キャディの法的な立場にある。韓国の大法院(最高裁)は2014年の判決で、キャディを労働組合法上の労働者と認めた一方、勤労基準法上の労働者とは認めなかった[9]。後者の理由として、キャディがゴルフ場と労働契約を結んでいないこと、来場者から「キャディ代」名目のサービス料を直接受け取り、ゴルフ場からは金銭を受け取っていないことなどを挙げた[9]。キャディは雇われた従業員ではなく、ゴルフ場で仕事を請け負う形で働いており、キャディ代はゴルファーからキャディへの支払いという扱いになる。

この仕組みは、所得の把握を難しくしてきた。2023年の国政監査では、2021年分の総合所得税を申告したキャディが3388人、申告された収入は230億200万ウォンにとどまったと指摘された[8]。当時の全国のキャディは約3万5000人と推計されていた[8]。

制度はここ数年で変わった。雇用保険は、2021年の政府方針の段階では、キャディについて「所得を把握する体制の整備状況を見て適用時期を検討する」とされ、後回しになっていた[11]。その後、2022年7月1日からキャディにも雇用保険が適用された[10]。現在、キャディは労災保険と雇用保険の法律上は「労務提供者」として保護を受ける[9]。2024年9月初めの時点で、キャディの総合所得税の申告件数は3万2754件と前年より260%増え、雇用保険の適用に伴う所得資料の提出などが影響したと分析されている[8]。

支払い方も見直しが進む。公正取引委員会はゴルフ場利用の標準約款の改定に着手し、キャディ代をクレジットカードや口座振替、簡易決済で払えるようにする案を議論している[8]。ただし標準約款は事業者が自主的に守る前提で、改定されてもすべてのゴルフ場で電子決済が義務になるわけではない[8]。加えて、働く人をまず労働者と推定し、そうでないことの証明を事業者側に求める「労働者推定制」の導入も国会で議論されており、導入された場合は、退職したキャディが退職金などを求める可能性を指摘する専門家もいる[9]。

ウォン

韓国で、1組20万ウォン(約2万3,200円)のリムジンカートを置くゴルフ場が急増している。リムジンカートは3列シートの6人乗り乗用カートで、通常の5人乗り電動カートの約2倍の料金を取る[2][3]。民間調査機関の韓国レジャー産業研究所が[…]

キャディなしで回れる韓国のゴルフ場はどれだけ増えたのか

キャディを付けるかどうかを選べるキャディ選択制のゴルフ場は、2026年5月時点で257か所あり、営業中の564か所の45.6%を占める[5]。研究所の年次報告「レジャー白書2026」の数字で、1年前より23か所増えた[5]。ただしこの257か所には、有料の簡易キャディを付けるマーシャルキャディ制なども含まれる[5]。キャディを付けずに回れるノーキャディを選べるゴルフ場は194か所、全面的にノーキャディで運営するゴルフ場は52か所だ[5]。

割合に直すと、韓国のゴルフ場の約半分は今もキャディを外せない。営業中の564か所のうち、キャディ選択制を入れていないゴルフ場は307か所(54.4%)ある(数と割合は筆者計算、以下同じ)[5]。ノーキャディを選べるのは194か所(34.4%)で、選択制でも簡易キャディしか選べないゴルフ場が63か所(11.2%)ある[5]。全面ノーキャディの52か所(約9%)が選択制の257か所に含まれるかは記事からは読み取れないが、仮に307か所の側に含まれるとしても、キャディを外せないゴルフ場は少なくとも255か所(約45%)になる[5]。

2026年5月時点で営業中の564か所のうち、キャディ選択制なしが307か所で54.4%、簡易キャディのみが63か所で11.2%、ノーキャディを選べるのが194か所で34.4%。地域別の選択制導入率は湖南63.0%、忠清60.5%、江原55.6%、嶺南52.8%、首都圏26.1%で、全国平均は45.6%
キャディ付き・なしの割合と、地域別のキャディ選択制の導入率

ゴルフ場の種類と地域でも差が大きい。選択制を入れた大衆型は357か所中190か所(53.2%)、軍のゴルフ場は35か所中22か所(62.9%)で、会員制は平日の会員向けに45か所が実施している[5]。地域別の導入率は、湖南(全羅道)が63.0%、忠清が60.5%、江原が55.6%、嶺南(慶尚道)が52.8%で、首都圏は26.1%と最も低い[5]。2024年10月の集計でも首都圏は25.8%で最も低く、キャディの待遇が地方よりよく、大都市に近いためキャディを集めやすいことが理由とされた[4]。ソウル近郊で韓国のコースを予約する旅行者ほど、キャディ付きを前提に予算を組む必要がある。

紅葉した山を背に、ゴルフバッグを後ろに積んだ白い乗用カートが舗装路に止まっている
江原道原州市のゴルフ場のカート。キャディ付きでは運転もキャディが担い、ノーキャディではゴルファーが自分で運転する[5](画像:Piotrus/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0)

選択制には、キャディを付けないノーキャディと、カートの運転など一部の業務だけを担うマーシャルキャディなどがある[2][5]。マーシャルキャディの料金は1組8万〜10万ウォン(約9400〜1万1800円)ほどで、キャディ代がゼロになるわけではない[5]。世界日報は副見出しで、ノーキャディとマーシャルキャディの運営を231か所と伝えた[1]。この231か所は、同じ研究所が2024年10月時点として出した数字と一致し、当時は全562か所の41.1%だった[4]。

利用者の意識も変わった。韓国の経済紙毎日経済と調査会社韓国リサーチが2026年8月に公表した調査では、回答者2316人の64.2%がキャディは必要ないと答えた[1]。必要と答えたのは27.6%で、不要の割合は2023年の初回調査以来で最も高い[1]。

人の代わりにロボットを使う例も出てきた。ソウル北西の京畿道高陽市にある9ホールの大衆型ゴルフ場、高陽CCは、ロボットキャディ「ハローキャディ」40台を2026年9月に本格導入した[3]。

キャディ付きは1組15万ウォンを4人で割って1人約3万7500ウォン、有料の簡易キャディのマーシャルキャディは1組8万〜10万ウォン、高陽CCのロボットキャディは1人3万ウォン、ノーキャディを選べる194か所ではキャディ代なし
韓国のゴルファーが選べるキャディの形と1人当たりの費用

ハローキャディは、韓国のゴルフ向けAI企業アイロバの製品だ[3]。バッグを載せてプレーヤーの後を付いて歩き、残り距離やペナルティーエリアの位置を画面に出す[3]。料金は1人3万ウォン(約3500円)で、1日の3部と4部の時間帯に割り当てている[3]。

高陽CCは、キャディ代で1人3万〜4万ウォン、カート代で1人2万〜3万ウォンの節約になると説明している[3]。8月の試験運用では、ハローキャディ付きの5〜6組の枠が埋まったという[3]。

制度の見直しも議論されている。2025年11月には国会議員から、キャディとカートの利用強制や4人1組の強制を問題として、ゴルフ場利用の標準約款の改定を求める声が出た[1]。2026年8月には、キャディ代をクレジットカードや口座振替で払えるようにする案も議論されたが、記事の時点では決まっていない[1]。

ウォン

韓国で、ゴルフ場の合併・買収(M&A)市場に奇妙なねじれが生じている。政府が2026年に会員制ゴルフ場の取得税を4%から12%へ一気に3倍へ引き上げたことで、業界全体のM&A案件はほぼ動きを止めた[3]。ところが同じ市場で[…]

1組15万ウォンは韓国の物価から見て高いのか

韓国の最低賃金で測ると、1組15万ウォンは重い。2026年の最低賃金は時給1万320ウォンで[12]、15万ウォンはその約14.5時間分に当たる(筆者計算、以下同じ)。4人で割った1人約3万7500ウォンでも約3.6時間分だ。

外食の値段と比べても同じ傾向になる。韓国消費者院の価格情報サイト「チャムガギョク」によると、ソウルの冷麺1人前の平均は2026年5月に1万2615ウォンだった[14]。キャディ代の1人分は冷麺約3杯分に当たる。

キャディの側から見ると、研究所が推計した年収約4100万ウォン(約480万円)は、最低賃金の月額215万6880ウォン[12]を12か月分にした約2588万ウォンの約1.6倍になる。ただし4100万ウォンは経費を引く前の受取額の推計で[1]、実際の所得とは違う。

日本と比べるときも、最低賃金を物差しにする。日本の令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1177円で、2026年10月から12月にかけて順次発効する[13]。日本のキャディ代を韓国の研究所資料の1人3000〜4000円とすると[1]、約2.5〜3.4時間分になる。韓国の約3.6時間分はこの上限をやや上回る。

キャディ代1人分を最低賃金の労働時間に直すと、韓国のキャディ付きは約3.6時間分、日本のキャディ付きは約2.5〜3.4時間分、韓国のロボットキャディは約2.9時間分、韓国のマーシャルキャディは約1.9〜2.4時間分
キャディ代1人分は最低賃金で何時間分か(筆者計算)

円に直した単純比較(韓国は1人約4400円、日本は3000〜4000円)でも、最低賃金で測っても、韓国のキャディ代は日本よりやや高いという結果は変わらない。ただ差は1時間分前後で、桁が違うほどではない。筆者の見立てでは、韓国のゴルファーの負担感は金額そのものよりも、半分近くのゴルフ場でキャディを外せないこと、組単位で決まること、現金で払うことの3点から来ている。

ロボットキャディは本当に人のキャディに代わるのか

導入の実績はある。ハローキャディは2020年11月に慶尚北道慶州市のゴルフ場に初めて納入され、2022年6月の時点で国内の約10か所に350台以上が入った[15]。同じ時期に、米国に約1000台を輸出する契約を結んだとも報じられた[15]。2026年9月には高陽CCが40台を本格導入し、8月の試験運用では割り当てた5〜6組の枠が埋まった[3]。

ゴルフバッグを載せる台と操作パネル、4つの車輪を備えた白と黒の自走式カート
ロボットキャディ「ハローキャディ」(画像:アイロバ公式サイト)

コストの面では、1台の価格は付加価値税込みで400万ウォン台前半と報じられた[15]。高陽CCの貸出料1人3万ウォンで割ると、約134回の貸し出しで本体価格に届く計算になる(筆者計算)[3]。保守や電池交換、管理する人の人件費、稼働率は公開されていないため、実際に元が取れるまでの期間はこれより長い。

ロボットキャディの本体価格約400万ウォンを、1回3万ウォンの貸出料で回収するには約134回の貸し出しが必要
ロボットキャディ1台の本体価格と貸出料の累計(筆者試算)

課題も見えている。メーカーが公表する登坂性能は15度だ[16]。韓国には山岳型と呼ばれるゴルフ場もあり[1]、急な坂の多いコースでは使える場面が限られると筆者はみる。メーカーが挙げる機能は、バッグを載せてプレーヤーを追うこと、コースの地図やホールごとの攻め方、前の組との距離の表示などで[16]、ボール探しやグリーンの読みといった人のキャディの仕事は含まれていない。アジアのゴルフ業界メディアGolf Industry Asiaは2026年5月、韓国の労働団体が労使の合意がないままのロボット導入に反対していると伝えた[17]。

紅葉した山の斜面のふもとに、グリーンとバンカー、カート道が見えるゴルフコース
江原道原州市の山あいのゴルフコース(画像:Piotrus/Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0)

規模の差も大きい。2022年時点で国内に入ったハローキャディ350台余りは、2023年の国政監査の際に推計された全国のキャディ約3万5000人の約1%にすぎない(時点が違う数字の比較で、筆者計算)[8][15]。

筆者の見立てでは、ロボットキャディが1組15万ウォンの人のキャディを広く置き換える段階にはまだない。広がりやすいのは、高陽CCのような平らな9ホールの大衆型や、時間帯を限ったセルフプレーの枠だ。この1年で増えたのは、ノーキャディやマーシャルキャディを選べるゴルフ場(1年で23か所増)のほうで[5]、ロボットはそのノーキャディの枠を補う道具として入っていく可能性が高い。高陽CCの導入の詳細は「ロボットキャディがキャディ料金を変える、韓国ゴルフ場の実験」で書いた。

日本のゴルフ場のキャディ代は韓国より安いのか

韓国の研究所の資料では、日本のキャディ代は1人3000〜4000円で、韓国の1人約3万7500ウォン(約4400円)より低い[1]。ただし韓国は組単位の料金を人数で割る方式、日本は1人当たりの料金で示しており、サービスや利用条件をそろえた比較ではない[1]。世界日報もこの点を挙げ、直接の比較には限界があると書いている[1]。

日本では、キャディ付きプレーの比率やキャディ代の全国平均を示す公開データが乏しい。韓国の経済紙は、日本では全ゴルフ場の約90%がキャディ選択制を導入していると伝えているが[4]、日本側の一次情報は本稿では確認できなかった。韓国のように料金の分布や選択制の導入数を年ごとに追うことは、日本ではできない。

比較軸韓国日本
料金の示し方1組単位(4人で分担)[1]1人当たり[1]
キャディ代の水準1組15万ウォンが320か所(2026年10月)[1]1人3000〜4000円(韓国の研究所資料)[1]
キャディ選択制の導入数257か所・45.6%、うちノーキャディを選べるのは194か所(2026年5月)[5]全ゴルフ場の約90%(韓国の報道。日本側の一次情報は未確認)[4]
キャディ不要と答えた割合64.2%(2026年8月公表)[1]—
最低賃金時給1万320ウォン(約1218円、2026年)[12]全国加重平均1177円(令和8年度)[13]
キャディ代1人分は最低賃金の何時間分か約3.6時間(筆者計算)[1][12]約2.5〜3.4時間(筆者計算)[1][13]

※「—」は本稿で確認していない項目、「非公表」は公開されていない項目。

よくある質問(FAQ)

Q. 韓国のゴルフ場のキャディ代はいくらか。
A. 2026年10月時点で、1組15万ウォン(約1万7700円)のゴルフ場が320か所と最も多い[1]。16万ウォンや17万ウォンのゴルフ場も増えている[1]。

Q. 韓国でキャディなしでプレーできるのか。
A. できるゴルフ場がある。2026年5月時点で、ノーキャディを選べるゴルフ場が194か所、全面的にノーキャディで運営するゴルフ場が52か所ある[5]。キャディ選択制のゴルフ場は257か所だが、そこには有料の簡易キャディ(マーシャルキャディ)を付ける形も含まれる[5]。

Q. 韓国のキャディ代はカードで払えるのか。
A. 多くは現金で、キャディに直接渡す。2026年6月の調査では、直近のラウンドでキャディ代を現金だけで払った人が96.7%だった[8]。カードや口座振替で払えるようにする標準約款の改定が議論されているが、すべてのゴルフ場に義務づけるものではない[8]。

Q. 韓国ではロボットキャディがどれくらい使われているのか。
A. 2022年6月の時点で国内の約10か所に350台以上が入り[15]、2026年9月には高陽CCが40台を導入した[3]。全国のキャディ約3万5000人(推計)と比べると、まだ小さい規模だ[8]。

Q. 韓国旅行でゴルフをすると1人いくらキャディ代がかかるのか。
A. 1組15万ウォンを4人で分けると、1人約3万7500ウォン(約4400円)になる[1]。

まとめ

韓国のキャディ代は10年で総額77.5%増え、1組15万ウォンのゴルフ場が320か所に広がった。研究所は、ゴルフ場どうしのキャディの奪い合いを上昇の要因に挙げる。一方でキャディ選択制のゴルフ場は257か所(うちノーキャディを選べるのは194か所)に増え、回答者の64.2%がキャディは不要と答えている。それでも営業中の564か所の約半分は、今もキャディを外せない。

キャディ代はゴルフ場の売上ではなく、ゴルファーがキャディに現金で直接払うお金で、この仕組みが所得の把握や支払い方の議論につながっている。最低賃金で測ると1人分は約3.6時間分で、日本(約2.5〜3.4時間分)よりやや重い。ロボットキャディは導入例が増えているものの、規模はキャディの人数の約1%にとどまり、当面は人のキャディの代わりよりも、ノーキャディ枠の補助として広がると筆者はみる。

韓国でプレーするゴルファーにとっては、キャディ代が組単位で決まり、ノーキャディを選べるコースなら外せる費用だと知るだけで、予約時の比較のしかたが変わる。ビジネスの側では、人件費の上昇を一律の値上げで吸収するのか、ロボットや選択制で切り分けるのかが判断材料になる。

研究所の所長は、遅延と安全の対策があれば、ゴルファーは負担を減らし、ゴルフ場は価格の競争力を得られると述べている[1]。値上げと選択制の両方が進むなかで、どちらが主流になるかは今後の集計で確かめたい。

出典

  1. ‘K-골프장’ 캐디가 연 4100만원 번다고?…일본보다 비싼 韓 캐디피 [권준영의 머니볼], 世界日報, 2026-10-11. https://segye.com/newsView/20261011500785
  2. 가을시즌 골프장 캐디피 줄인상…15만원 시대 끝?, SBS Biz, 2026-09-30. https://biz.sbs.co.kr/amp/article/20000337508
  3. 로봇캐디서 AI 잔디관리·숙박까지…골프장 “단골 모셔라”, ソウル経済新聞, 2026-09-04. https://www.sedaily.com/article/20087311
  4. 국내 562개 골프장 중 231곳 시행(キャディ選択制), アジア経済, 2025-02-21. https://view.asiae.co.kr/article/2025022012201296002
  5. 15만원 내고 캐디 꼭 써야 하나요?…골프장 절반이 바꾼 ‘필드의 룰’ [권준영의 머니볼], 世界日報, 2026-07-11. https://segye.com/newsView/20260711500364
  6. 為替レート(KRW基準、2026年10月11日更新), ExchangeRate-API. https://open.er-api.com/v6/latest/KRW
  7. 물가보다 골프값이 더 뛰었다고?…20년간 라운드 비용 조사해 보니 [권준영의 머니볼], 世界日報, 2026-07-13. https://segye.com/newsView/20260713523680
  8. “15만원 캐디피, 왜 카드 결제 안 해요?”…96.7%가 현금 내는 ‘이상한 결제법’ [권준영의 머니볼], 世界日報, 2026-08-26. https://segye.com/newsView/20260826500487
  9. 근로자 추정제 도입되면…골프장에서 벌어질 일들, 韓国経済新聞, 2026-06-23. https://www.hankyung.com/article/202606220601i
  10. 골프장 캐디 등 특고 5개 직종, 7월부터 고용보험 의무가입, メディゲートニュース, 2022-03-04. https://medigatenews.com/stand/45954
  11. 12개 업종 특고노동자에 7월부터 고용보험 적용, 京郷新聞, 2021-02-15. https://www.khan.co.kr/article/202102152124015
  12. 최저임금 결정현황, 最低賃金委員会. https://www.minimumwage.go.kr/minWage/policy/decisionMain.do
  13. 令和8年度最低賃金額答申, 厚生労働省, 2026-09-03. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html
  14. ‘2만원 냉면집’ 문전성시, 서민은 ‘간편식으로’..여름 먹거리도 ‘양극화’, ファイナンシャルニュース, 2026-07-05. https://www.fnnews.com/news/202607051050286167
  15. [Golf:uture] “오직 나만을 위한 캐디” 필드 위에 등장한 로봇(①TTNG ‘헬로캐디’), アジア経済, 2022-09-02. https://view.asiae.co.kr/article/2022090213475479475
  16. 헬로캐디(製品ページ), アイロバ. https://irova.kr/hel/
  17. Robot Caddies: South Korea’s Solution to Golf’s Labour Crisis, Golf Industry Asia, 2026-05-02. https://www.golfindustry.asia/?p=7655