AWS Copilot CLI終了、ECSチームが選ぶべきはExpress ModeかCDK L3か

AWSは2026年3月、コンテナデプロイツール「AWS Copilot CLI」のサポート終了を公式ブログで発表した[1]。終了日は2026年6月12日で、今日時点(2026年7月3日)で既にこの期限は過ぎている[2]。Copilot CLIは、ECSやApp Runner向けのアプリケーションをCLI一本で本番投入できる点が評価され、専任のインフラ担当者を置きにくい中小規模のチームで広く使われてきたツールである。サポート終了後もツール自体は動作し、GitHub上でオープンソースとして公開され続けるが、新機能追加・セキュリティパッチ・技術サポートは提供されない[2]。AWSが公式ブログで移行先として名指ししたのは、単一コマンドで本番環境を構築するAmazon ECS Express Modeと、プログラミング言語でインフラを記述するAWS CDKのL3コンストラクトの2つである[1]。既にサポート期限を過ぎた今、ECSを運用するチームは移行方針の決定を先送りできない段階に入っている。本稿ではソースの一次情報をもとに、両者の違いと選定基準を整理する。

予備知識

  • ECS / Fargate: AWSのコンテナ実行サービスと、サーバー管理不要でコンテナを動かす起動方式
  • IaC(Infrastructure as Code): インフラ構成をコードで記述し、再現可能な形で管理する手法
  • L3コンストラクト: AWS CDKの部品のうち、ALB付きFargateサービスのような「よくある構成一式」を1つの部品として提供する高水準のもの
  • サポート終了(EOL): ツールは動き続けるが、新機能・セキュリティパッチ・技術サポートの提供が止まる状態

同分野を体系的に扱う関連書。

AWS Copilot CLIはなぜ廃止されるのか

AWS Copilot CLIは、ECSやApp Runner向けのデプロイ作業をCLI一本で完結させるためにAWSが提供してきたオープンソースツールである。GitHubリポジトリのREADMEには「AWS Copilot CLIは2026年6月12日にサポートを終了する。以降、更新・セキュリティパッチ・技術サポートは提供されない」という警告が明記されている[2]。既存ユーザーへの影響として重要なのは、Copilotが過去に作成したECSサービス、Application Load Balancer、CloudFormationスタックはアカウントに残り、稼働を続ける点である[1]。廃止の対象はCLIツールそのものであり、既に構築済みのインフラが停止するわけではない。ただし、今後の機能追加やセキュリティ更新をCLI側で受け取れなくなる以上、新規構築や大きな変更を伴う運用は現実的に難しくなる。

サポート終了の影響範囲
止まるのはCLIの更新であり、構築済みインフラは稼働を続ける
Kubernetes/移行

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移行先の選択肢、ECS Express ModeとCDK L3を比較する

ECS Express ModeとCDK L3コンストラクトは、AWSがCopilot CLIの公式後継として名指しした2つの移行先である。Express Modeはコンテナイメージ、タスク実行ロール、インフラロールの3つの入力だけで、Fargateベースのサービス、HTTPS対応ALB、Auto Scaling、CloudWatch監視、セキュリティグループまで自動生成する[3]。CDK L3コンストラクトは、aws-ecs-patternsライブラリに含まれるApplicationLoadBalancedFargateServiceやQueueProcessingFargateService、ScheduledFargateTaskなどを使い、プログラミング言語でインフラをコードとして記述する方式である[1]。

項目ECS Express ModeCDK L3コンストラクト
必要な入力コンテナイメージ、タスク実行ロール、インフラロールの3点のみ[3]Fargateサービス定義をTypeScript/Python等のコードで記述[1]
学習コスト低い。コンソール・SDK・CLI・CloudFormation・CDK・Terraformいずれからも起動可能[3]中〜高。コード記述とCloudFormationの理解が前提[1]
必要なIaC成熟度低くても運用可能。AWSがデフォルト値を割り当てる[3]既にIaCを運用しているチーム向け。カスタマイズ前提の設計[1]
適した用途・チーム規模標準的な要件のWebアプリ・APIを持つ小〜中規模チーム[1]複数サービスが絡む複雑な構成、ワーカーやスケジュールジョブを持つチーム[1]
追加費用Express Mode自体は無料。生成したAWSリソースの利用料のみ発生[3]CDKツール自体は無料。生成するリソース次第[1]

ALBは1つで最大25個のECSサービスをホストヘッダーベースのルーティングで共有できるため、Express Modeは小規模サービスを複数並べる構成でもALBコストを抑えやすい[3]。

2つの移行先の性格の違い
3入力で一式自動生成のExpress Modeと、コードで組み上げるCDK L3
クラウド/移行

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どちらを選ぶか、チーム規模とIaC成熟度で判断する

移行判断の軸は、チームが既にIaCを運用しているかどうかと、サービス構成の複雑さの2点に集約される。標準的な要件のWebアプリやAPIを運用し、IaCの専任担当を置いていないチームは、AWSが最適値を割り当てるExpress Modeが移行コストを抑えやすい[1]。複数サービスが絡む構成やワーカー、スケジュールジョブを抱えるチームは、CDK L3コンストラクトの方が既存パターンを再現しやすい[1]。Copilotのマニフェストで「CDK Overrides」機能を使い、CloudFormationテンプレートを直接拡張してきたチームにとっては、CDK L3への移行がより自然な延長線上にある。

移行先の判断フロー
IaC成熟度と構成の複雑さで移行先を切り分ける
移行

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移行時に確認すべき実務ポイント

まず確認すべきは、現在Copilotで運用しているサービスの棚卸しである。Webサービス中心の構成かワーカー・スケジュールジョブを含む構成かで、移行先の候補は大きく変わる[1]。次に、既存のECSサービスやALB、CloudFormationスタックはサポート終了後も削除されない点を関係者に共有し、緊急対応が必要になるのは「動かなくなる」ことではなく「更新できなくなる」ことだと明確にしておく必要がある[1]。ドメインやSSL証明書の設定をCopilotに依存していた場合は、Express Modeが提供する*.ecs..on.awsドメインや、CDK側で証明書管理をどう組み込むかを個別に設計し直す作業が発生する。

移行時の実務チェックの流れ
棚卸しから個別設計まで、移行前に潰しておく3つの確認

よくある質問(FAQ)

AWS Copilot CLIはもう使えないのか

ツール自体は引き続き動作し、GitHub上でオープンソースとして公開され続ける。ただしAWSからの新機能追加・セキュリティパッチ・技術サポートは2026年6月12日で終了した[2]。

既存のCopilotで構築したECSサービスは止まるのか

止まらない。Copilotが作成したECSサービス、ALB、CloudFormationスタックはアカウント内にそのまま残り、稼働を続ける[1]。

小規模チームはExpress ModeとCDK L3のどちらを選ぶべきか

標準的なWebアプリやAPIで、IaC運用の経験が浅いチームはECS Express Modeが向いている[1][3]。複数サービスやワーカー・スケジュールジョブを抱え、既にIaCを運用しているチームはCDK L3コンストラクトが延長線上にある選択肢になる[1]。

まとめ

AWS Copilot CLIのサポートは2026年6月12日に終了した。既存のECSサービスは動き続けるが、CLI側の更新は止まっている。後継はECS Express ModeとCDK L3コンストラクトの2択で、標準的なWebサービスを持つ小規模チームはExpress Mode、複雑な多サービス構成や既存のIaC資産を持つチームはCDK L3が現実的な選択肢になる。読者チームがまずやるべきは、現在のCopilotマニフェストが対応しているサービスパターンの棚卸しと、ワーカーやスケジュールジョブの有無による移行方針の仕分けである。判断を先送りにするほど、緊急時にセキュリティパッチが受けられないリスクが積み上がる。

出典

[1] https://aws.amazon.com/blogs/containers/announcing-the-end-of-support-for-the-aws-copilot-cli
[2] https://github.com/aws/copilot-cli
[3] https://aws.amazon.com/blogs/aws/build-production-ready-applications-without-infrastructure-complexity-using-amazon-ecs-express-mode/