✅ 先に結論(2026年9月版)
- 「攻めない攻め」で攻めないのは、ピンと無理なショット。狙いはグリーンの広い側に置き、大叩きの芽を先に摘みます。
- アマチュアの外れ方は手前が多い。150ヤード以内のショットで、手前に外れる割合(36.4%)は奥(14.2%)の約2.6倍です(Shot Scope)。
- ティーショットは距離を捨てず、OBと池だけを避ける。一律にドライバーを置くのは損になりやすく、旧版の書き方を改めました。
- パットは1.8mを超えるとカップイン率が半分を切る。1パット目は、入れるより次を短く残す距離感を優先します。
こんにちは、ミライです。この記事は2025年3月に、スコアを安定させる考え方として「攻めない攻め」を紹介したものです。今回、アマチュアのショットデータと研究をもとに、どこで攻めず、どこでは攻めてよいのかを書き直しました。
2026年9月26日に書き直しました。数字は Shot Scope(ショット計測機器のメーカー)が公開しているアマチュアの集計、コロンビア大学のマーク・ブローディ教授の論文、R&Aのゴルフ規則で確認しています。旧版の「ティーショットはドライバーで無理に飛ばすより得意なクラブで」は、データと合わない部分があったため書き分けました。
1. 「攻めない攻め」とは何か
「攻めない攻め」は、自分のショットがどれくらい散らばるかを前提に、大叩きになる場所を先に消していく考え方です。消極的なプレーに見えますが、何を攻めないかを決めている点で、やっていることは戦略そのものです。
| 攻めないもの | 代わりに狙うもの |
|---|---|
| ピン(特にバンカーや池のそばのピン) | グリーンの広い側・センター |
| OB・池が効く方向 | ハザードから遠いフェアウェイの側 |
| 林の間を抜くようなショット | 次が打ちやすい場所に出す1打 |
| 下りの長いパットのカップイン | 次のパットを短く残す距離感 |
私の実験:同じハーフで44と53
2021年に、この考え方を自分で試したことがあります。18ホールを「我慢のゴルフ」で回ったあと、同じハーフをもう一度、ドライバーを限界に近いスピードで振り、当たれば届く番手で狙う「振り回すゴルフ」で回りました。
| 我慢のゴルフ | 振り回すゴルフ | |
|---|---|---|
| スコア(同じハーフ) | 44 | 53(+9打) |
振り回したハーフの中身は、フェアウェイキープが7回中2回、パット数も3打増え、バンカーに入ったホールが3つ、ショートホール以外でのボギーオンは0回でした。得たものは、ドライバーが3ヤードほど伸びたことと、長いショートホールで1回パーを取れたことの2つだけです。
ナイスショットを打つことと、スコアを1打少なくすることは別物だと、このとき身をもって分かりました。
先日はスカイウェイカントリークラブでラウンドしてきました。 初めて訪問するゴルフ場ですが、アコーディア系列なので女子に優しいコース?と思っていましたが、期待以上に素晴らしく面白いコースでした! そして、ラウンド3回目の新パターは[…]
ただし、この実験で変えたのは「スイングの強さ」と「狙う場所」の両方でした。データを見ると、攻めないほうがよい場面と、攻めてよい場面を分けて考えられます。次の章から数字で見ていきます。
2. データで見る、アマチュアのショットの散らばり
残り距離が伸びるほど、グリーンに乗らない
Shot Scope は、利用者のラウンドデータから、残り距離ごとにグリーンに乗った割合と、ホールアウトまでの平均打数を公開しています。

| 残り距離 | グリーンに乗る確率 | ホールアウトまでの平均打数 |
|---|---|---|
| 50〜70ヤード | 63.13% | 3.13 |
| 70〜90ヤード | 57.80% | 3.25 |
| 90〜110ヤード | 52.70% | 3.33 |
| 110〜130ヤード | 45.64% | 3.42 |
| 130〜150ヤード | 38.64% | 3.52 |
110ヤードを超えると、乗る確率は半分を切ります。ピンまでの平均距離は、80ヤードからで48.6フィート(約15m)、150ヤードからで89.25フィート(約27m)です。150ヤードからピンに寄せるつもりで打っても、平均では27m離れたところに止まる、というのがアマチュアの実力の目安です。
外れ方は「手前」に偏る
同じ集計で、150ヤード以内のショットの外れ方も出ています。

内訳は手前・左17.4%、手前・右19.0%、奥・左8.0%、奥・右6.2%です。手前に外れる割合は合計36.4%で、奥の14.2%の約2.6倍。Shot Scope は手前が多い理由として、番手が足りていないことを挙げています。
左右は、4方向の合計では左25.4%、右25.2%とほぼ同じです。ただし Shot Scope は、どのハンデの層でも右へのミスが多い傾向があると指摘しています。
3. 5つの戦略をデータで見直す
旧版で挙げた5つの戦略を、この数字に当てはめて見直します。
3-1. ピンではなく、グリーンの広い側を狙う
150ヤードから打つと平均27mピンから離れます。そのショットでピンを直接狙うと、ピンがグリーンの端にあるときは、外れたショットの多くがグリーンの外に出ます。Shot Scope も、ピンがグリーンの右にあるならセンターを狙うとピンの近くに止まることがあり、ピンをまっすぐ狙うと右に外しやすい、と書いています。
米国のコースマネジメント理論「DECADE」を作ったスコット・フォーセット氏も、同じ考え方です。PGAツアーのショットデータをもとにした理論で、アプローチの70%をグリーンの広い側(ピンやハザードから離れた側)に止めるのを理想としていて、タイガー・ウッズ選手の全盛期はこの割合が72%だったと紹介されています。
実際の狙い方は次のとおりです。

| ピンの位置 | 狙う場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 手前(手前にバンカー・池) | グリーンのセンター〜奥寄り | 手前へのミスが多いので、手前のハザードに入りやすい |
| 奥 | グリーンのセンター〜ピン寄り | ミスは手前に出やすいので、ピン寄りに打っても手前側に外れた球はグリーンに残りやすい |
| 右端(右にハザード) | グリーンのセンター | ミスは右に出やすいとされる |
| ハザードがない側 | ピンの近く | 外れても次が打ちやすい |
手前へのミスが多いので、迷ったら番手を1つ大きくする、というのも同じデータから言えることです。
3-2. ティーショット:避けるのはOBと池。距離は捨てない
旧版では「ドライバーで無理に飛ばすよりも、得意なクラブで確実にフェアウェイキープ」と書いていました。データを見ると、これは半分だけ正しいと考えています。
距離の価値から見ていきます。ブローディ教授の2011年の論文によると、18ホールの平均スコアが90のゴルファー(以下、90ゴルファー)は、ホールが100ヤード長くなるごとに平均スコアが0.66打増えます。90ゴルファーのドライバーの平均飛距離は約210ヤード。PGAツアーでは、100ヤードより遠いショット(ロングゲーム)の出来が、選手間のスコアの差の約3分の2を説明するとされています。ティーショットで距離を捨てると、その分は2打目以降の難しさとして返ってくると考えられます。
飛ばすと曲がる、とも限りません。ブローディ教授の2008年の論文は、ゴルファー同士を比べると「飛ばす人ほど曲がりも小さい傾向がある(Longer hitters tend to be straighter)」としています。考えられる理由として、飛ばす人はスイングがよく、芯に当てられるゴルファーであることを挙げています。同じ人が強く振れば真っすぐになる、という意味ではない点には注意が要ります。
一方で、OBや池は別です。OBは1打罰で元の場所から打ち直し(ゴルフ規則18)、池などのペナルティーエリアは1打罰です(ゴルフ規則17)。フォーセット氏は「ティーショットは思い切り攻め、グリーンへは思い切り守るのが最適な戦略」と話しています。ここでいう攻めるは、飛ばせるクラブで、ハザードのない広い方向へ打つことです。
| ホールの状況 | ティーショットの考え方 |
|---|---|
| 広い・ハザードが少ない | ドライバーで、フェアウェイの広い側へ |
| 片側だけOB・池 | ドライバーのまま、反対側の端を狙う |
| 落としどころの両側にOB・池 | ハザードに届かない番手に落とす |
私の実験で振り回したハーフでは、フェアウェイキープが7回中2回まで落ち、ドライバーは3ヤードほどしか伸びませんでした。攻めるのはクラブと向きの選び方で、スイングはいつもどおり、というのが今の私の理解です。
3-3. セカンド以降:ライの差とペナルティを避ける
同じ距離でも、ライで難しさは変わります。ブローディ教授の論文では、PGAツアー選手でも、グリーンまで15ヤードから2打以内で上がる割合(寄せワン率)は、フェアウェイから69%、ラフ・バンカーから51%でした。25ヤードからは、フェアウェイ54%、バンカー42%、ラフ35%です。

プロでもライでこれだけ差が出るので、アマチュアは林の中から無理にグリーンを狙うより、次が打ちやすいフェアウェイに出すほうが大叩きを防ぎやすいと考えます。
一方、すでに150ヤード以内にいて、グリーンを直接狙える場面で、さらに刻んで近づける理由は薄いと言えます。2章の表では、130〜150ヤードからのホールアウトまでの平均は3.52打、50〜70ヤードからは3.13打で、差は0.39打です。刻むのに使う1打のほうが大きいので、この場面で刻むのは、グリーンの手前に池があるなど、ハザードを避ける理由があるときに限られます。
3-4. パット:1パット目は「次を短く残す」
パットの距離別のカップイン率も、Shot Scope が公開しています。

| 距離 | カップイン率(0〜25ハンデ) |
|---|---|
| 1.8m以内 | 82.5〜92.8% |
| 1.8〜3.7m | 35.0〜42.8% |
| 9.1m以上 | 2.3〜4.3% |
1.8mを超えると、どのハンデでもカップイン率は半分を切ります。ブローディ教授の論文では、90ゴルファーが1パットで入れる確率が50%になる距離は5フィート(約1.5m)、PGAツアー選手は8フィート(約2.4m)でした。90ゴルファーは19フィート(約5.8m)から平均2パットで、3パットは1ラウンド平均2.3回です。
Shot Scope の集計では、3パットは5ハンデで16.7ホールに1回、15ハンデで9.7ホールに1回、25ハンデで7.6ホールに1回。15ハンデが3パットするとき、2パット目の平均距離は8フィート(約2.4m)です。Shot Scope の記事によると、平均的なゴルファーはパットの55%をショートしていて、25ハンデでは59%に上がります。
「入れにいかない」は、弱く打つという意味ではありません。長い距離は、カップを越えて1m以内に止める距離感を優先し、2パット目を1.8m以内に残す、ということです。
3-5. 自分の得意・不得意を数字で知る
攻めない攻めは、自分のショットの散らばり方を知っていることが前提です。私の場合、先ほどの2021年のラウンドの振り返りで、ボギーに収まらなかった原因の1つ目に「セカンドの5番ウッドの左へのミスでその後が難しくなっている」を挙げていました。反省点には「セカンドで5番ウッドの多用をやめて、そこまで左に行きづらいユーティリティを使うとか、考えた方が良い感じ」と書いています。
ラウンドごとに記録を付けると、自分の外れ方が見えてきます。ショット計測の機器には、ブローディ教授が考案した「ストロークス・ゲインド(1打ごとに平均より何打得したか)」を出せるものもあります(Shot Scope など)。どの距離・どのクラブで打数を失っているかが分かります。
ストロークス・ゲインドの考え方は、ブローディ教授の著書の日本語版で詳しく読めます。
4. 攻めない攻めが効く場面・効かない場面
| 場面 | 攻めない攻めの効き方 |
|---|---|
| 月例・競技などスコアを求められるラウンド | 効く。大叩きを1つ減らす価値が大きい |
| 風が強い日・難しいコース | 効く。散らばりが大きくなる分、グリーンのセンターの価値が上がる |
| 体調が万全でないとき・終盤ホール | 効く。疲れるとミスの幅が広がる |
| ハザードのない広いホールのティーショット | 攻めない理由が少ない。ドライバーで距離を取る |
| ハザードのない側に外れるピン位置 | ピンを狙ってよい |
5. 次のラウンドで試すこと
| いつ | やること |
|---|---|
| ティーイングエリア | OB・池がどちらにあるかを確認し、反対側の端を狙う。両側にあるときだけ番手を落とす |
| 2打目・3打目 | ピンではなくグリーンの広い側を狙う。迷ったら番手を1つ大きく |
| 林・深いラフから | 次が打ちやすいフェアウェイに出す |
| グリーン上 | 長いパットはカップを越えて1m以内に止める距離感で |
| ラウンド後 | ボギーで収まらなかったホールの「最初のミス」を書き出す |
70台を目指す人向けに、コーチから教わったことをまとめた記事もあります。
✅ 先に結論(コーチの教えを、2026年9月時点のデータで確かめ直した) Shot Scopeのデータで試算すると、ハンデ5のゴルファーでも平均は80前後。ハンデ5前後の人でも、70台は平均より良い日のスコアと読めます。 […]
6. まとめ
「攻めない攻め」は、何もかも控えめにするプレーではありません。アマチュアのショットは150ヤードからだと平均で27mほどピンから離れ、外れるときは手前が多い。この前提に立って、ピンや無理なルートといった大叩きの入口を避け、飛距離は捨てずにOBと池だけを避ける。どこで攻めず、どこで攻めるかを決めておくことが、スコアを安定させる近道だと考えています。
出典
- Shot Scope「How many greens should you hit from 150 yards?」(2023年10月)
- Shot Scope「Putting make percentages by handicap – how do you compare?」(2022年3月)
- Shot Scope「How Often Do Golfers Three-Putt? A Look at the Data」(2026年4月)
- Mark Broadie「Assessing Golfer Performance Using Golfmetrics」(Science and Golf V、2008年)
- Mark Broadie「Assessing Golfer Performance on the PGA TOUR」(Interfaces、2011年)
- GOLF.com「This data-first approach to course strategy is changing how pros play」(2020年11月)
- DECADE「About」
- R&A「Rule 17 Penalty Areas」
- R&A「Rule 18 Stroke-and-Distance Relief, Ball Lost or Out of Bounds」
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