
夏になると「暑さ対策」で検索する人が急増します。通勤で駅まで歩く15分、子どもの運動会の2時間、夏フェスの半日。それだけでも頭がクラクラするのに、対策といえば帽子をかぶって水筒を持つくらい、という方が多いのではないでしょうか。
私はゴルフをやります。真夏のラウンドは、朝から5時間以上、逃げ場のない炎天下を歩き続ける競技です。気温35度、体感40度超え。ゴルフ場にはほぼ日陰がなく、コース上は完全な炎天下です。それでも40度近い猛暑日でも元気にラウンドしています。
そんな環境でプレーを続けるために、ゴルファーの暑さ対策は年々進化してきました。そしてこれらの対策は、ゴルフに限った話ではありません。屋外で過ごすすべての人に使えるノウハウです。
この記事では、私が猛暑のラウンドで実際にやっていることを、一般の暑さ対策にも応用できる形でお伝えします。
この記事でわかること
- 猛暑の屋外で5時間過ごすゴルファーのリアルな暑さ対策
- 水分・塩分補給の具体的な量と種類
- 「冷やす」対策の実践方法(氷嚢・アイスバッグの使い方)
- 日差しを物理的に遮る方法
- 前日からの準備と、ラウンド後のケア
- 2026年注目の熱中症対策テクノロジー
ゴルフ場が暑さ対策に本気で投資している理由
まずゴルフ場の話をさせてください。ほとんどのゴルフ場では、夏場になると大きなアイスボックスに氷をたっぷり入れて提供しています。プレーヤーはそこから飲料用の氷と、氷嚢に入れる冷却用の氷を分けて使います。
私はホームコースの運営委員もやっているのですが、コースハウスには業務用の大型製氷機が設置されていて、夏場はフル稼働です。ゴルフ場がそこに投資しているのは、「氷がないと屋外では活動できない」というのが共通認識だからです。
一方で、一般の外出ではどうでしょうか。氷を持っていく人はほとんどいません。冷たいペットボトルを1本持つくらいで、しかもすぐにぬるくなる。ゴルファーの視点で見ると、それでは猛暑日の屋外は危険です。
普段の暑さ対策、ゴルファーから見ると何もかも足りていない
2025年の夏、熱中症による救急搬送者数は全国で10万人を超えました。2026年も酷暑が予報されています。
「帽子をかぶっている」「水を飲んでいる」。それだけで大丈夫だと思っている方が多いのですが、ゴルファーの視点で見ると、何もかもが足りていないというのが正直な感想です。
水分の量が足りない。塩分を摂っていない。体を冷やすものを持っていない。日差しを遮るのが帽子だけ。これでは、30分の外出でも猛暑日にはリスクがあります。
ゴルファーが当たり前にやっていることを知れば、「そこまでやるのか」と思うかもしれません。でも、5時間の炎天下で倒れないために積み上げてきた知恵は、通勤でも、スポーツ観戦でも、子どもの屋外行事でも、そのまま使えるものばかりです。
屋外の水分補給は量と飲み分けがすべて
猛暑日のラウンドで私が飲んでいる水分量は、トータルでおそらく3リットルです。最初から全部持っていくわけではなく、半分は粉末のスポーツドリンクやクエン酸を持参して、コースの水と製氷機で作ります。大きな水筒は必須です。
ポイントは、ただの水ではなく飲み分けることです。
前半はアクエリアスなどのスポーツドリンクで水分と電解質を補給します。ただし、甘いスポーツドリンクは5時間も飲んでいると飽きます。後半は麦茶に塩を入れたものに切り替えたり、クエン酸の粉を水に溶かしたり、味を変えながら飲み続ける工夫をしています。
疲労が溜まってくる後半や、明らかに汗を大量にかいた時はOS-1(経口補水液)も使います。OS-1はスポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、脱水気味の回復に適しています。
一般の方へ: 2時間以上屋外にいる予定なら、500mlでは全然足りません。最低1リットル、猛暑日なら1.5〜2リットルは持っていくことをおすすめします。粉末のスポーツドリンクを持っておけば、現地で水が手に入った時にすぐ作れて便利です。
熱中症対策の要は塩分補給にある
水分と同じくらい大事なのが塩分補給です。汗で塩分が失われると、水だけ飲んでも体に吸収されにくくなります。
私はカバヤの塩分チャージタブレッツをポケットに常備しています。食べる頻度は1ホールに1粒、つまり10〜15分に1粒。5時間のラウンドだとかなりの数を消費します。それくらい、汗で失われる塩分は多いということです。
ここで大事なのが味変です。同じ味を何時間も食べ続けると飽きます。梅味をベースにしつつ、レモン味やグレープフルーツ味を混ぜて持っていくのがコツです。飽きて食べなくなったら意味がないので、「続けられること」が一番大事です。
一般の方へ: 通勤バッグに塩タブレットを数粒入れておくだけで、夏の体調管理が変わります。特に汗をかきやすい方は必携です。1時間の外出なら2〜3粒、それ以上なら時間に応じて増やしてください。
体を冷やす暑さ対策は1箇所では足りない
暑さ対策で一番体感の差が出るのが、積極的に体を冷やすことです。
私がラウンドに持っていくのは、氷嚢を3つ。首の後ろ、手首、脇の下など、太い血管が通っている場所に当てて体温を下げます。プレーの合間にこまめに冷やすだけで、頭のクリアさがまるで違います。
ここで最強のコツを一つ。数日前から氷嚢に水を入れて、冷凍庫で丸ごと凍らせておくのです。体に当てやすいように底を平らにして凍らせるのがポイント。普通に氷を入れるよりも塊が大きいぶん溶けにくく、ラウンド中ずっと冷たさが持続します。コースの氷を使わなくて済むので、ゴルフ場のスタッフに感謝されたりもします。
さらにアイスバッグにはたっぷりの氷を入れて、冷却用にカートに積んでおきます。溶けた水で手が濡れるのですが、そのおかげで気化熱で涼しくなるという副次効果もあります。ただし手が滑るので、私は両手グローブをするようになりました。対策が対策を呼ぶ、というゴルファーあるあるです。
もう一つ持っておきたいのがコールドスプレーです。もともとは怪我の応急処置用ですが、うっかり熱くなってしまった箇所にシュッとかけて急冷するのにも使えます。
ここで一つ注意。ハッカ系のスースーするスプレー(冷感スプレー)も人気がありますが、あれはメントールで「冷たい」と感じているだけで、実際には体温を下げていません。涼しく感じるのと、実際に冷却するのは別物です。気持ちよさで油断して、本当の冷却を怠ると危険なので、冷感スプレーに頼りすぎないようにしてください。
ちなみに、アイスバッグは数年前までゴルフ場ではほとんど見かけませんでした。それが今ではゴルファーの必携アイテムになっています。猛暑が年々厳しくなる中で、「水分補給だけでは足りない、積極的に冷やさないとダメだ」とみんなが気づいた結果です。高級コースでは氷おしぼりが出てくるところもあります。それくらい「冷やす」ことが重要視されています。
一般の方へ: 運動会や屋外イベントで荷物を持っていける場面なら、ぜひ試してほしいのがアイスボックスに氷を詰めて、冷却タオルを水と一緒に冷やしておく方法です。冷えたタオルで首や頭を冷やすだけで、体感が全然違います。このとき大きめの保冷剤をアイスボックスに一緒に入れておくと氷の持ちが全然違います。氷嚢は100均でも手に入りますし、保冷バッグに氷と保冷剤を一緒に入れておくだけでも格段に楽になります。
日焼け対策と日差しの遮断が体温上昇を防ぐ
日焼け止めと物理的な遮断、両方やるのが鉄則です。
日焼け止めは「落ちにくさ」で選ぶ
日焼け止めは、リーズナブルなものを頻繁に塗り直すか、良いものに投資するか、悩ましいところです。私は後者を選んでいます。
長年使っているのがアグレッシブデザインという日焼け止めです。少し値段は張りますが、専用のリムーバーがあるくらい落ちにくい。もともとロードバイク乗りの間で広まった製品で、「つけたところは無傷、つけていないところは火傷のような日焼け」という話を聞いて使い始めました。ランナーにも愛用者が多いです。
5時間の炎天下では、汗で日焼け止めが流れてしまうのが最大の敵です。安い日焼け止めを何度も塗り直す手もありますが、ゴルフ中はグローブをしているので塗り直しのタイミングが限られます。落ちにくいものを朝しっかり塗るほうが、結果的に手間が少ないというのが実感です。腕や脚など面積の広い部分は安いもので済ませて、顔・首・耳はアグレッシブデザイン、という使い分けもありだと思います。
日焼け止めに加えて、物理的に日差しを遮ることが最も効果的です。
日傘は大きいほど涼しい
私はキャロウェイのゴルフ用日傘を使っています。一般的な日傘より大きく、肩から先まで日陰に入れるサイズです。カートから降りたら常にさしています。
ゴルフ用日傘は遮光性能も高く、傘の下にいるだけで体感温度が数度下がります。最近は男性の日傘利用も増えていますが、大きめのしっかりした日傘を選ぶのがポイントです。
ちなみに2026年は完全遮光100%の日傘がさらに進化していて、UVO(ウーボ)の5層構造タイプは累計60万本を突破するなど、日傘の性能競争が激しくなっています。
アームカバーとフェイスカバーで肌を露出しない
「暑いから薄着」は実は逆効果なことがあります。直射日光が肌に当たり続けると、体温がどんどん上がります。
私は肩からひっかけるタイプのアームカバーを使っています。ブラジャーのように肩にストラップをかける形なので、普通のアームカバーのようにずり落ちてきません。UVカット+冷感素材のものを選べば、着けているほうが涼しく感じます。
ちなみに、2025年に流行ったストッキングタイプのアームカバーも試しました。肌になじんで見た目が自然で気に入っていたのですが、強力な虫よけスプレーをつけたら素材が溶けて、一度でダメになりました。ディート等の成分が合成繊維を溶かすことがあるようです。夏のゴルフ場は虫も多いので、虫よけとの相性は盲点でした。ストッキング素材のものを使う方は注意してください。
フェイスカバーとサングラスも必須です。目から入る紫外線も体の疲労に直結するので、サングラスは「おしゃれ」ではなく「暑さ対策」として使っています。
汗をかいたら着替えるだけで体感温度が変わる
意外と盲点なのが途中で着替えることです。汗を吸ったウェアを着続けると、不快なだけでなく体温調整の効率も落ちます。
ゴルフの場合、前半9ホールと後半9ホールの間に昼食休憩があります。私はこのタイミングで昼食をさっとオーダーしておいて、素早く冷たいシャワーを浴びて着替えます。これをやるかやらないかで、後半の快適さがまるで違います。
一般の方へ: 1日屋外にいる予定なら、替えのシャツを1枚持っていくだけでも違います。汗でびしょびしょのシャツを乾いたものに替えるだけで、体感温度がリセットされます。
冷感ウェアは自分の体に合うかで判断する
ファン付きベストや冷感インナーが話題ですが、私は使っていません。薄着で風通しを良くしたほうが涼しいというのが個人的な結論です。ワークマンのXShelter(暑熱β)のように「着たほうが涼しい」素材も出てきているので、好みに合えば試す価値はあります。
大事なのは人の真似ではなく、自分の体に合ったスタイルを見つけることです。
熱中症を防ぐ準備は前日から始まっている
暑さ対策はグッズだけではありません。前日からの準備と、終わった後のケアまで含めて対策です。
朝食を抜くと暑さに負ける
猛暑のラウンドで一番やってはいけないのが、朝食を抜くことです。エネルギーが入っていない状態で炎天下に出ると、あっという間に体が持たなくなります。しっかり食べてからスタートする。お昼もほどほどに食べる。これが基本中の基本です。
アルコールと脱水の危険な関係
アルコールは利尿作用があり、脱水を加速させます。前日の深酒はもちろんNGですが、当日のラウンド中もアルコールは控えます。
よくある失敗パターンが、ラウンド後の「お疲れビール」です。5時間の炎天下で脱水状態になっている体にビールを入れると、最初はおいしいのですが、家に帰ってから頭痛や吐き気が出てくる。脱水状態でアルコールを飲むと、結局あとから熱中症のような症状が出るのです。楽しみたい気持ちはわかりますが、まず水分と塩分を十分に補給してから、にしてください。
屋外活動の後は冷水で体温をリセットする
ラウンド後は、お風呂ではなく冷水のシャワーや水風呂に入って体温を下げます。上がった体温をリセットすることで、帰宅後の体調が全然違います。
一般の方へ: 日常の外出でここまでやるのは難しいかもしれません。でも、「朝ごはんを食べてから外出する」「前日の飲酒を控える」「帰ったら冷水シャワーを浴びる」は、実践できることばかりです。具合が悪くならないために、ゴルファーの準備に近づけることが大事だと思っています。
2026年注目の熱中症対策テクノロジー
ここからは「まだ試していないけれど、注目しているもの」です。使ったらこの記事をアップデートする予定です。
hamon band V(ミツフジ)
脈波から深部体温の変化を推定し、危険を知らせてくれる腕時計型デバイスです。2026年5月発売で、価格は約9,900円。
ゴルファーは長年の経験で「やばい」を体感で判断してきましたが、それを数値化してくれるテクノロジーが出てきました。スマホ不要で、LED・振動・音でアラートしてくれるのは屋外では実用的です。
みずたまサン(AIアプリ)
環境情報(暑さ指数)と個人の体質・体調・生活習慣をAIで掛け合わせて、パーソナライズされた熱中症リスクを表示してくれる無料アプリです。
「同じ気温でも、人によってリスクが違う」というのは当たり前のことですが、それを可視化してくれるサービスは今までなかった。子どもや高齢の家族の見守りにも使えそうです。
スマートウォッチで熱中症は防げるのか
ちなみに、Apple WatchやGarminのスマートウォッチは皮膚温しか測定できません。熱中症のリスク判定に必要な深部体温(内臓の温度)は測れないのが現状です。「スマートウォッチをしているから安心」と思っている方は要注意です。
よくある質問(FAQ)
Q: 暑さ対策で一番大事なことは?
A: 水分と塩分の補給です。どんなグッズを持っていても、脱水状態になったら意味がありません。猛暑日は2時間以上の外出で最低1リットルの水分を用意し、塩タブレットを併用してください。
Q: 氷嚢はどこを冷やすのが効果的?
A: 首の後ろ、手首の内側、脇の下、太ももの付け根など、太い血管が体の表面近くを通っている場所が効果的です。特に首の後ろは手軽で即効性があります。
Q: 熱中症の初期症状は?
A: めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん(こむら返り)、大量の汗、頭痛、吐き気などです。「ちょっとおかしいな」と感じたら、すぐに日陰に移動して体を冷やし、水分と塩分を摂ってください。我慢は禁物です。
Q: 日傘は男性が使ってもいい?
A: もちろんです。最近はユニセックスデザインの日傘も増えていますし、環境省も日傘の利用を推奨しています。体感温度が数度下がるので、見た目を気にするより体調を優先してください。
Q: スポーツドリンクと経口補水液の違いは?
A: スポーツドリンクは運動中の水分・エネルギー補給向けで、糖分がやや多め。経口補水液(OS-1等)は電解質濃度が高く、大量に汗をかいた後や脱水気味の時の回復に適しています。状況に応じて飲み分けるのがベストです。
まとめ
ゴルファーの暑さ対策は、5時間の炎天下で倒れないために磨かれてきた「生存戦略」です。大げさに見えるかもしれませんが、すべて合理的な理由があります。
- 水分は2リットルがスタートライン。スポーツドリンクと経口補水液を飲み分ける
- 塩タブレットをポケットに常備。水だけでは足りない
- 氷嚢を複数持ち、太い血管を冷やす。1箇所では足りない
- 日傘・アームカバー・フェイスカバーで日差しを物理的に遮る
- 朝食を食べ、アルコールは帰ってから。前日からの準備も対策のうち
- 自分の体に合ったスタイルを見つける。人の真似より自分の体感を信じる
2026年はhamon bandやAIアプリなど、テクノロジーで「自分の危険度を数値化」できる時代になりつつあります。使ってみたら、この記事に追記していきます。
真夏を楽しく、安全に過ごすために。ゴルファーの知恵が少しでもお役に立てればうれしいです。


