
米国のゴルフ業界団体である全米ゴルフ財団(NGF)が2026年9月25日、8月の全米ラウンド数を発表した[1]。ラウンド数はゴルフ場でプレーされた回数で、NGFと調査会社ゴルフデータテック(Golf Datatech、米調査大手サーカナの子会社)が各ゴルフ場から集めた数字をもとにしている[1][4]。8月は前年同月比5.1%減で、7月の3.6%減に続き、夏の書き入れ時に2か月続けて前年を下回った[2][3]。
2025年は米国のラウンド数が記録を作った年で、2026年も年初から前年を上回るペースが続いていた[1]。その勢いが7月から崩れ、NGFは記事の副題で年間記録の更新に疑問符を付けている[1]。
日本のゴルファーのプレー料金や予約に、この米国の数字が直接響くことはない。ただ、雨で空いた夏の枠を後から取り戻せないのは日本のゴルフ場も同じで、国内の統計でも大雨に見舞われた県で利用者が減っている[7]。本稿はNGFの公表データを軸に、ゴルフ場の売上の元になるラウンド数が天候にどれだけ左右されるかと、年間記録の行方を整理する。
米国の8月のラウンド数はどれだけ減ったのか
2026年8月の全米ラウンド数は前年同月比5.1%減だった[2]。一般客が予約してプレーできるパブリックのゴルフ場は5.3%減、会員制のプライベートクラブは4.3%減で、どちらも前年を下回った[2]。
この数字は全米の全ゴルフ場の実数ではない。NGFとゴルフデータテックは約1万4000のゴルフ施設に毎月のラウンド数の提供を求め、全米のゴルフ施設の2割弱にあたる参加施設のデータを集計して、地域別・州別の前年比を出している[4]。つまり、この統計でわかるのは参加施設ベースの増減率で、ラウンドの総数ではない。
月ごとに見ると、2026年は1月が18.6%増、4月と5月も5%を超える伸びだった[2][4]。3月はほぼ横ばい(0.3%減)、6月は1.2%増にとどまり、7月と8月は2か月続けてマイナスになった[3][4]。NGFは8月の減少を、プレーが最も多い夏の繁忙期で2か月続いた落ち込みと位置付けている[1]。
州別に見ると振れ幅はさらに大きい。8月はイリノイ州が13.0%減、アリゾナ州とニューメキシコ州が11.7%減、テキサス州が10.5%減だった[2]。一方、ノースダコタ州とサウスダコタ州は合算で54.5%増と、全米の流れと逆に動いた[2]。

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8月はどの地域でラウンド数が減り、雨はどれだけ影響したのか
8月は全米8地域のうち7地域でラウンド数が前年を下回り、うち5地域は3%を超える減少だった[1]。最も落ち込んだのはミシガン・オハイオ・イリノイなど5州からなる東北中部で9.4%減、ニューヨーク・ニュージャージー・ペンシルベニアの中部大西洋が7.2%減だった[2]。前年を上回ったのは、ミネソタや南北ダコタを含む西北中部(1.1%増)だけだ[2]。

NGFは、降水量の増加が目立った地域の変化に影響したと説明する[1]。東北中部の降水量は前年の2倍を超え(103%増)、中部大西洋では167%増えた[1][2]。
ただし、雨だけでは説明しきれない地域もある。南中部(テキサス・オクラホマなど)は降水量が29%減ったのに7.2%減、山岳地域も降水量7%増にとどまるなか5.3%減だった[2]。
逆にニューイングランドは降水量が89%増えても1.2%減で済んでいる[2]。NGFの記事は、これらの地域の減少理由には触れていない[1]。
| 地域 | ラウンド数(前年同月比) | 降水量(前年同月比) |
|---|---|---|
| 東北中部 | -9.4% | +103% |
| 中部大西洋 | -7.2% | +167% |
| 南中部 | -7.2% | -29% |
| 山岳 | -5.3% | +7% |
| 南大西洋 | -3.9% | -10% |
| 太平洋 | -2.8% | -67% |
| ニューイングランド | -1.2% | +89% |
| 西北中部 | +1.1% | -2% |
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天候はゴルフ場の経営をどれだけ左右するのか
NGFの月次レポートには、気象分析会社ウェザートレンズ・インターナショナルによる目安が載っている。前年より月の雨量が1インチ(約25.4mm)多いと、ラウンド数は平均で2.2%減るという[2]。全米の過去の気象データから出した平均値で、地域によって結果は異なると注記されている[2]。

ラウンド数はゴルフ場の売上に直結する。空いたティータイム(スタート枠)はその日が過ぎれば売れないため、雨で失った夏の枠を秋に取り戻すのは難しい、というのが筆者の見立てだ。
一方で、米国のゴルフ場の財務は近年かなり改善している。NGFによると、2009年と2016年には米国のパブリックゴルフ場の約25%が財務状況を悪いと答えていたが、この5年は悪い・非常に悪いが5%以下に下がった[5]。2026年初めの調査では、パブリックゴルフ場の4分の3近くが財務状況を良い・非常に良いと答え、改善要因には60%がラウンドや会員の需要増を挙げている[5]。
供給側では、2006〜2020年に米国のゴルフ場は差し引き2000以上減ったが、2020年以降の純減は60未満にとどまる[5]。NGFによると、財務状況が悪いと答えたパブリックゴルフ場は、その後に約20%が閉鎖しており、良好なゴルフ場の4倍の割合だった[5]。
需要増が支えてきた財務の改善だけに、2か月の前年割れがどこまで経営に響くかは、秋以降の数字を見るまで判断できない。
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2026年は年間ラウンド数の記録を更新できるのか
8月までの年初来累計は前年比1.1%増で、NGFの言葉では2025年の記録的な数字をなお約1%上回るペースだ[1][2]。ただし、1月時点で18.6%あった上乗せは、7月末に2.5%、8月末に1.1%まで縮んだ[2][3][4]。
地域別の年初来は、南中部が3.9%増、西北中部が3.0%増と貯金を残す一方、中部大西洋は1.3%減と前年を割り込んだ[2]。東北中部は0.1%増、太平洋とニューイングランドは横ばいで、8月の落ち込みで上乗せをほぼ使い切った[2]。
7月の報告では、全8地域が前年を下回り、テキサス州が11%減、ニューヨーク州が13%減だった[3]。NGFは7月について、2026年で初めてはっきりした前年割れになった月だと説明している[3]。
8月末の年初来は、パブリックが1.1%増、プライベートが1.0%増とほぼ同じ水準だ[2]。NGFは残り4か月があると述べるにとどめ、記録の更新に必要な数字は示していない[1]。
秋以降は多くの地域で夏よりプレーが減る時期に入る。年初来の1.1%の上乗せを守れるかは、9月以降に前年並みの天候が戻るかにかかっている、というのが筆者の見立てだ。
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日本のゴルフ場利用者数も雨や猛暑で減るのか
日本でもゴルフ場の利用者数は天候で大きく動く。日本ゴルフ場経営者協会(NGK)によると、2024年8月の全国利用者数は、記録的な猛暑や台風による大雨の影響で前年同月比6.6%減った[7]。
翌2025年8月は731万2000人と前年同月比8.5%増えて落ち込みを取り戻したが、記録的大雨に見舞われた秋田・新潟・富山・佐賀・長崎・熊本の6県は前年を下回った[7]。NGKはこの年、猛暑による外出控えを反映して、全国の利用者数が5月の857万人をピークに3か月続けて減ったとも指摘している[7]。
統計の作り方は米国と異なる。NGKの数字はゴルフ場利用税の納付に基づく延べ利用者数で、2026年6月分は全国2,153ゴルフ場を集計している[6]。本稿執筆時点の最新は2026年6月分で、715万5000人と前年同月比7.6%減だった[6]。
この月についてNGKは天候を主因に挙げておらず、北陸だけが前年の能登半島地震や不順な天候からの反動で増えたと説明している[6]。
| 比較軸 | 米国(NGF・ゴルフデータテック) | 日本(NGK) |
|---|---|---|
| 指標 | ラウンド数の前年比[4] | 延べ利用者数(実数)[6] |
| 集計の元データ | 参加施設が提供する数字。約1万4000施設に依頼[4] | ゴルフ場利用税の納付データ[6] |
| 最新の前年同月比 | 2026年8月 5.1%減[2] | 2026年6月 7.6%減[6] |
| 天候の影響の説明 | 8月は多雨が一部地域の変化に影響[1] | 2024年8月は猛暑・台風の大雨で6.6%減[7] |
まとめ
NGFの8月報告は、記録的だった米国のゴルフ需要が、夏の2か月で前年を割り込んだことを数字で見せた。雨が大幅に増えた東北中部や中部大西洋の落ち込みは大きいが、雨が減った南中部も7.2%減っており、天候だけでは説明しきれない。
ゴルフをする読者には、雨の多い月の数字の落ち込みが、需要の衰えではなく天候の結果であることも多いと知っておくと、業界ニュースの見え方が変わる。ビジネス読者には、月次の前年比を読むときに降水量の前年差を並べ、天候要因とそれ以外を分けて見ることが判断材料になる。
年初来の上乗せは1.1%まで縮んでおり、2026年が記録の年になるかは秋以降の数字次第だ。日本でも猛暑や大雨の月に利用者数が大きく動いており、天候と需要を切り分けて読む作業は日米で共通する。
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よくある質問(FAQ)
Q. ラウンド数とは何の数字か。
A. ゴルフ場でプレーされた回数のことだ。NGFの月次報告は、参加施設から集めたデータをもとに前年からの増減率を地域別・州別にまとめている[4]。
Q. 米国ではゴルフ人気が落ちているのか。
A. 8月までの年初来では、2025年の記録的な数字をなお1.1%上回っている[2]。7月と8月の減少には、一部地域の多雨が影響したとNGFは説明している[1]。
Q. 日本のゴルフ場でも雨で利用者は減るのか。
A. 減る。2024年8月は猛暑や台風の大雨で全国の利用者数が前年同月比6.6%減り、2025年8月も記録的大雨の6県で前年を下回った[7]。
出典
- August 2026 National Rounds Played, National Golf Foundation, 2026-09-25. https://www.ngf.org/full-shots/august-2026-national-rounds-played/
- August 2026 National Rounds Played Report, Golf Datatech / National Golf Foundation, 2026-09. https://www.ngf.org/wp-content/uploads/2026/09/August-2026-National-Rounds-Played-Report.pdf
- July 2026 National Rounds Played, National Golf Foundation, 2026-08-28. https://www.ngf.org/full-shots/july-2026-national-rounds-played/
- Monthly Rounds Played Reports(2026年1〜7月の各月レポートPDFを含む), National Golf Foundation. https://www.ngf.org/monthly-rounds-played-reports/
- How Financially Healthy Are Golf Courses?, National Golf Foundation, 2026-09-10. https://www.ngf.org/short-game/how-financially-healthy-are-golf-courses/
- 2026年6月のゴルフ場利用状況(速報値), 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会, 2026-07. https://www.golf-ngk.or.jp/riyousyasu/2026/2026.6.pdf
- 2025年8月度全国ゴルフ場利用者数, 一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会, 2025-09. https://www.golf-ngk.or.jp/riyousyasu/2025/2025.8.pdf

