
韓国のスクリーンゴルフ(屋内のゴルフシミュレーター)会社GTS&N(지티에스앤、ジーティーエスアンドエヌ)が2026年9月22日、デジタル地図の会社DOI(디오아이、ディーオーアイ)と業務協約を結んだ[1][2]。目的は、韓国にある実在のパークゴルフ場を測って精密な地図データベースをつくり、スクリーンの中で同じコースを打てるようにすることだ[1]。パークゴルフは、専用のクラブ1本とボールで短いホールを回る、ゴルフを小さくしたような競技を指す。
計測を担うのはDOIで、AIを組み込んだLiDAR(ライダー。レーザー光で距離を測り、地形を点の集まりとして3Dで記録するセンサー)を積んだドローンを使う[1][3]。樹木や高低差、グリーンの傾き、ティーやカップの位置までを測り、GTS&Nがそのデータをゲームエンジンに入れて球の転がりを再現する計画だ[1][2]。
今この話が出てきた理由は、韓国でパークゴルフ場とその愛好者が急に増えたことにある。大韓パークゴルフ協会によると、韓国のパークゴルフ場は2022年の328か所から、2026年1月には運営中だけで564か所になった[6]。屋内で打てるスクリーン版の店も広がっている。
報道ベースでは、まだ協約を結んだ段階で、計測を始めた時期や対象のコース数、金額は公表されていない[1][2][3]。
GTS&NとDOIの提携で、韓国のスクリーンパークゴルフは何が変わるのか
この提携は、実在のコースを測った数値をそのままシミュレーターの地形と物理計算に使う仕組みをつくるものだ[1]。韓国メディアの報道によると、業務協約の名称は「AX・DX基盤の超精密パークゴルフマップDB構築」とされる[3]。DXはデジタル化、AXはAIを使った変革を指す略語だ。
役割ははっきり分かれている。DOIは京畿道華城市にあるドローンと空間データの会社と報じられ、AI基盤のLiDARドローンで実在のパークゴルフ場を測量する[3]。測る対象は、樹木と造園、コースの高低差と傾斜、グリーン、バンカー、フェアウェイ、ティーボックス、カップの位置だ[1][2]。

GTS&Nはこのデータをゲームエンジンに入れ、球の速さ、方向、地面の抵抗を計算する物理エンジンとアルゴリズムにつなぐ[1]。協約は現地の測量から地図の制作、システムへの組み込みまで、コース開発の工程全体を対象にしている[2]。同社の朴泰根(パク・テグン)常務は、実際のコースの地形と物理的な特性まで再現した、きわめて写実的なシミュレーターの開発を目標に挙げた[1][2]。

GTS&Nは共同代表の方雲植(パン・ウンシク)氏と朴賢哲(パク・ヒョンチョル)氏が率いる[2]。同社はゴルフ用とパークゴルフ用のシミュレーターをつくっており、パークゴルフ版は「プレイパークゴルフ」という名前で売っている[4]。協約の狙いは、スクリーンを遊びの場から、本番のコースや大会に備える練習の場に変えることだと報じられた[2][3]。
パークゴルフのルールと打ち方を写真で解説する入門書。グリーンの傾きを読むなど、スクリーンで再現しようとしている要素を実地で確かめられる。
なぜ韓国ではパークゴルフのシミュレーターに実測の地図が必要なのか
韓国でこの需要が出てきたのは、パークゴルフの競技人口とコースが短期間で急に増え、競技として打つ人が増えたからだ[3][6][7]。大韓パークゴルフ協会の数字では、全国のパークゴルフ場は2022年の328か所から2025年の552か所へ68.3%増え、2026年1月には運営中の施設が564か所に達した[6]。

協会に登録した会員も、2020年の45,478人から2025年には22万1,000人へ、約4.9倍になった[7]。同じ記事が引く研究では、コースの63.6%が川や川辺の敷地にあるという[7]。
数が増えると、競技として打つ人も増える。GTS&Nが2026年5月に開いた第1回のスクリーンパークゴルフ大会には約1,000人が出場し、賞金と賞品の総額は約1億ウォン(約1,180万円。1ウォン=約0.118円換算、2026年10月23日の欧州中央銀行の参照レートから算出)だった[8]。決勝は大邱(テグ)の店舗で行われた[8]。
業界の課題として報道が挙げたのは、今のスクリーンパークゴルフが見た目中心でコースを再現しており、細かな高低差や傾斜、造園、球の抵抗までは映せていない点だ[3]。パークゴルフは1ホールが短く、グリーンの傾きで勝負が決まりやすい。日本パークゴルフ協会のコース設置基準では、1ホールは最長100m以内、グリーンは直径5m以上が望ましく、傾斜はわずかでも微妙な読みが必要な程度とされている[10]。

GTS&Nはすでに、画面のグリーンの傾きに合わせて床の人工芝プレートを動かす装置を、世界初の特許技術として打ち出している[4]。3m以内のパットで、地図上のグリーンの傾きを実際のプレートに反映するという[4]。実測した傾斜のデータが入れば、この装置で再現する傾きの元データが実在のコースに近づく、というのが筆者の見立てだ。
現実の場所や設備をデータで写し取り、仮想空間で使う事業を産業ごとに紹介する。実在コースを測ってスクリーンに入れる今回の協約もその一例だ。
GTS&NとDOIの協約で公表されていること、まだ分からないことは何か
公表されているのは、協約を結んだ事実、両社の役割、測る対象、将来のAIサービスの方向までだ[1][2][3]。どのコースを、いつから、いくらで測るのかは、どの報道にも書かれていない。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| 協約の締結日 | 2026年9月22日に発表[1] |
| 計測の手段 | AI基盤のLiDARドローン[1] |
| 測る対象 | 樹木・高低差・傾斜・グリーン・バンカー・ティー・カップ位置[1][2] |
| 対象のコース数 | 非公表 |
| 計測の開始時期 | 非公表 |
| 契約金額 | 非公表 |
| DOIの事業規模 | — |
※「—」は本稿で確認していない項目、「非公表」は公開されていない項目。
一方で、GTS&N自身の公式サイトには、計測の話がすでに載っている。パークゴルフ店の開業案内のページは「国内初の超精密LiDARセンシングとRTK GPSドローンで1cm単位まで測定した」とし[5]、製品ページも韓国国内の実在のパークゴルフ場のデータをもとにしていると説明する[4]。RTK GPSは、地上の基準点と組み合わせて数cm単位で位置を出す衛星測位の方式だ。
同じサイトは、保有コースが130以上、全国の店舗数が60以上で、発売から1年で60余りの店舗に入ったとしている[5]。いずれも同社の自己申告だ。これまでの計測と今回のDOIとの協約の関係は、公開情報では確認できなかった。
協約には、その先の計画もある。GTS&Nは、蓄積したコースとプレーのデータを使い、AIによるコース分析と個人ごとの攻略サービスに広げるとしている[1][2]。サービスの開始時期や料金は発表されていない。
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日本のパークゴルフ場でも実測データのスクリーン化は進んでいるのか
パークゴルフの原型は1983年6月、北海道幕別町で生まれた[9]。競技の土台は、発祥国の日本の方が厚い。ただ、実在のコースをドローンで測ってスクリーンに入れたという日本の公式発表は、確認できた範囲にはなかった。
同協会の沿革では、2025年の時点で全国のコースは推定1,200、そのうち協会の公認コースは349、加盟団体は835だ[9]。海外は12か国で推定130コースとされている[9]。愛好者は約130万人とあり、この数字は2016年から同じ値で載っている[9]。
| 比較軸 | 日本 | 韓国 |
|---|---|---|
| コース数 | 推定1,200(2025年)[9] | 運営中564(2026年1月)[6] |
| 公認コース | 349(2025年)[9] | — |
| 人数 | 愛好者 約130万人(協会の推定)[9] | 登録会員 22万1,000人(2025年)[7] |
| 実測データのスクリーン | 公式発表は確認できず | GTS&NとDOIが協約[1] |
※「—」は本稿で確認していない項目。
数え方は両国で違う。日本の数字は全国の推定で、韓国の数字は大韓パークゴルフ協会が集計した運営中の施設だ。同じ協会の沿革には、2018年1月に韓国の社団法人大韓パークゴルフ協会と了解覚書を結んだ記録もある[9]。
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よくある質問(FAQ)
パークゴルフのシミュレーターは実在のコースを打てるのか
GTS&Nは、韓国の実在のパークゴルフ場のデータをもとにしたコースを売りにしている。今回のDOIとの協約は、その地形の測り方をLiDARドローンでさらに細かくする計画だ。
ドローンでの計測はもう始まっているのか
2026年9月22日の発表は業務協約の締結で、この協約による計測の開始時期や対象のコースは公表されていない。
日本でも同じスクリーンパークゴルフがあるのか
日本で実在のパークゴルフ場を測ってスクリーンに入れたという公式発表は、本稿では確認できなかった。
スクリーンゴルフと聞いて、日本の読者の多くは国内メーカーの設備を思い浮かべる。だが市場の主導権争いは、すでに国境を越えて動いている。約16億ドル規模に育った韓国のスクリーンゴルフ産業が、頭打ちの国内市場から米国へ構造的にシフトしている。 […]
まとめ
韓国のGTS&NとDOIは、実在のパークゴルフ場をLiDARドローンで測り、その地形と傾斜をスクリーンパークゴルフの物理計算に使う協約を2026年9月22日に結んだ。背景には、パークゴルフ場が2022年の328か所から2026年1月に564か所へ増えた韓国の急な伸びがある。
ただし、発表は協約の段階だ。対象のコース数、計測の開始時期、金額はいずれも公表されていない。GTS&Nは公式サイトで、これまでもドローンで1cm単位まで測ったコースを持つと説明しており、DOIとの協約でそれがどう変わるのかも明らかになっていない。
次に見る点は、DOIの計測による最初のコースがいつ、どの店舗のスクリーンに入るかだ。AIによるコース分析と攻略サービスの開始時期も、まだ発表を待つ段階にある。
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出典
- Seoul Economic Daily「GTS&N, DOI Team Up to Build High-Precision Park Golf Map Database」(2026年9月22日) https://en.sedaily.com/sports/2026/09/22/gtsn-doi-team-up-to-build-high-precision-park-golf-map
- MHNスポーツ「지티에스앤·디오아이, 실제 파크골프장 기반 초정밀 맵DB 구축 협약」(2026年9月22日) https://mhnse.com/news/articleView.html?idxno=1557396
- ニュースプライム「지티에스앤 “‘극사실주의’ 스크린 파크골프 시대 연다”」(2026年9月) https://www.newsprime.co.kr/news/article/?no=748784
- GTS&N公式サイト「플레이 파크골프」製品ページ(2026年10月閲覧) https://www.gtsn.co.kr/content/product_parkgolf
- GTS&N公式サイト「파크골프 창업」ページ(2026年10月閲覧) https://www.gtsn.co.kr/content/intro_park
- 世界日報「“내 세금으로 파크골프장 또 짓는다고?”…정부가 돌연 ‘칼’ 빼든 이유」(2026年8月22日) https://www.segye.com/newsView/20260822500307
- 世界日報「‘파크골프’ 노인 운동이라 비웃더니…해외원정에 ‘대학 응원단’까지 떴다」(2026年7月1日) https://www.segye.com/newsView/20260701500550
- Seoul Economic Daily「GTS&n Wraps Up First Park Golf Championship With 100 Million Won Prize Pool」(2026年5月27日) https://en.sedaily.com/sports/2026/05/27/gtsn-wraps-up-first-park-golf-championship-with-100-million
- 公益社団法人日本パークゴルフ協会「協会の沿革」(2026年10月閲覧) https://www.parkgolf.or.jp/overview/history.html
- 公益社団法人日本パークゴルフ協会「コース設置基準」(2026年10月閲覧) https://www.parkgolf.or.jp/course/standard.html



