5ドルでラウンドできる米国の青少年プログラム、登録が約20万人に

米国の大手銀行バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)と、子ども向けにゴルフ代を補助する米国の非営利団体ユース・オン・コース(Youth on Course)は2026年9月24日、共同プログラム「Golf with Us」の参加状況を発表した[1]。6〜18歳の子どもに1年間の会員資格を無料で配り、会員は提携コースで1ラウンド5ドル(約787円)以下でプレーできる[1]。2025年4月のマスターズで始まってから、登録した子どもは累計で約20万人に達した[1][3]。

このプログラムは米国内の子どもが対象で、日本のゴルフ場のプレー料金や予約の仕組みが直接変わるわけではない。一方で、ゴルフを始める子どもの料金を誰が肩代わりするかという問いは日本にもある。日本では18歳未満がゴルフ場利用税を払わずに済むが、プレー料金そのものの割引は各ゴルフ場や運営会社の判断に委ねられている[7][8]。

ビジネスの面では、銀行がスポーツの入り口の費用を持つ理由が論点になる。バンク・オブ・アメリカは拠出額を公表していない。本稿は公表された登録・ラウンド・参加コースの数字を整理し、シミュレーターや練習施設への広がりから、将来のゴルファーを育てる費用の負担の形を読み解く。

※ドルの円換算は、auじぶん銀行の2026年9月28日7時6分時点の参考レート(預入157.51円・払戻157.27円の中間値、1ドル=約157.4円)で計算した[10]。

Golf with Usはどんな仕組みで5ドルのラウンドを実現しているのか

Golf with Usは、銀行が会費を持ち、非営利団体がプレー料金を補助する2段構えの仕組みだ。Youth on Courseは2006年に米カリフォルニア州モントレーで創設され、米国・カナダ・オーストラリアの2,400超のコースと提携している[1][3]。会員の子どもは提携コースで1ラウンド5ドル(約787円)以下でプレーでき、創設以来の補助ラウンドは600万を超える[1]。

通常、Youth on Courseの年会費は地域によって5〜65ドル(約787〜1万231円)かかる[6]。Golf with Usでは、この1年分の会員資格を登録期間中の子どもに無料で配る[1]。2026年の登録期間は4月8日から6月15日で、全50州とワシントンD.C.、プエルトリコの子どもが参加した[1]。

コース側の差額は、Youth on Courseが補助金として支払う。2021年の業界誌の取材では、同団体が参加コースに支払う補助は1ラウンド平均7ドル(約1,102円)だった[4]。5ドルで賄えるのは子ども本人の歩きのプレー料金だけで、カート代や同伴する大人の料金は通常料金になる[5]。

補助の原資は寄付だ。同団体は個人や財団、企業の寄付で運営されており、2021年時点では募金イベントが毎年7桁ドル(100万ドル、約1億5,700万円以上)規模を集めていた[4]。筆者の見立てでは、Golf with Usはこの寄付の枠組みに大口の企業資金を加えた形だ。

バンク・オブ・アメリカが会費と市営コース拡充の資金を出し、Youth on Courseが参加コースに差額を補助し、子どもは1ラウンド5ドル以下で歩いてプレーする流れ図
Golf with Usのお金の流れ

銀行がなぜ子どものゴルフ代を負担するのかを考えるなら、社会貢献を事業の成果につなげる考え方を整理したこの一冊が手がかりになる。

登録約20万人・24万ラウンドの数字はどう読むか

公表された数字の中心は、2025年4月の開始から累計で約20万人という登録数だ[1]。2026年だけで10万人超が登録し、2026年の登録は2025年より20%多かった[1]。10万人超が20%増なら2025年は8万人台となり、合計は公表の約20万人と大きく食い違わない(筆者の計算)。

2006年にYouth on Courseが創設され、2025年4月のマスターズでGolf with Usが始まり、2026年に登録が前年比20%増となりシミュレーターとTopgolfへ広がり、2026年9月に累計約20万人を発表した時系列図
Golf with Usの経緯

参加者はこれまでに、5ドル以下のラウンドを24万回超プレーした[1]。ラウンドの場は、Youth on Courseの2,400超の提携コース網だ[1]。累計登録数で単純に割ると1人あたり約1.2ラウンドで(筆者の計算)、登録した子どもの多くはまだ数回しか回っていない可能性がある。1人あたりの回数の分布は公表されていない。

女子の登録は5万人超で、全体の約30%を占める[1]。発表には初めてゴルフをする子どもも多いとある[3]。ただし初心者の人数や比率は示されていない。

累計登録約20万人を1本の横棒で示し、2026年の登録10万人超とそれ以前(2025年)に塗り分けた図。女子は累計5万人超
Golf with Usの累計登録の内訳

銀行は各地で無料クリニックも開いた。全米50か所のクリニックに3,000人超が参加した[1]。メジャー8勝のトム・ワトソン氏の団体Watson Linksとは、オースティンなど4都市で子ども向けの交流イベントを開き、約150人が参加した[1]。

指標公表値範囲・時点
登録した子ども約20万人2025年4月の開始からの累計[1]
2026年の登録10万人超(前年比20%増)2026年の登録期間[1]
5ドル以下のラウンド24万回超Golf with Us参加者の累計[1]
女子の登録5万人超(全体の約30%)累計[1]
追加された市営コース160超銀行の資金による追加の累計[1]
銀行の拠出額非公表—

※「非公表」は公開されていない項目。

社会課題の解決と本業の収益を同時に狙う企業の考え方を、国内外の事例で確かめたい読者に向く。

シミュレーターやTopgolfへの広がりは何を狙うのか

2026年は、コースの外にも入り口を増やした。米国のゴルフ用品店Golf GalaxyとスポーツチェーンのDICK’S House of Sportでは、会員がゴルフシミュレーターを5ドル(約787円)で借りられ、PGAプロのレッスンを1回無料で受けられる[1]。打席で的を狙う練習・娯楽施設のTopgolfでも、夏の指定時間に全店で打席を5ドルで使える[1]。

コースの側では、銀行の資金でYouth on Courseの提携網に市営コースを加えている。これまでに160超のコースが加わった[1]。発表は、これまでゴルフに触れる場が少なかった地域の子どもにも、家の近くに安くプレーできる場を用意するためだと説明している[1]。

会員の子どもが、提携コース、銀行の資金で加わった市営コース、Golf GalaxyとDICK'S House of Sportのシミュレーター、Topgolfの打席を5ドルで使える関係図
Golf with Us会員が使える場所(2026年)

銀行の狙いについて、同行のデビッド・タイリー氏は「金銭的な障壁を取り除けば、子どもと家族は記録的な数で応える」と述べている[1]。Golf with Usは同行が展開する全米97の市場で利用できる[2]。地域とのつながりを重視した社会貢献として打ち出されているが、銀行の顧客獲得との関係は公表資料では説明されていない。

筆者の見立てでは、コース・シミュレーター・Topgolfをまとめて5ドルにそろえたことで、子どもは天候や距離に左右されずに入り口を選べる。高いのはコースの1ラウンドだけではなく、道具を持たずに打てる場所への移動も含めた負担だ。その負担を複数の事業者に割り振った点に、この企画の設計がある。

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日本のジュニアはゴルフ場をいくらで使えるのか

日本には、全国の子どもが一律に低料金でラウンドできる仕組みは見当たらず、支援は税の免除と各運営会社の割引に分かれている。地方税のゴルフ場利用税は18歳未満の利用を非課税としている[7]。東京都の場合、この税はゴルフ場の等級に応じて1人1日400〜1,200円だ[7]。

国内大手のアコーディア・ゴルフは18歳未満向けのアコーディア・キッズで、春休み・夏休みなどの期間に14時以降1,100円(税別)、16時以降100円(税別)の料金を設けている[8]。中学生以下は保護者の同伴が条件だ[8]。

18歳未満のゴルフ参加率を示す全国の統計は見当たらない。ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)がまとめたスポーツ庁の世論調査は18〜79歳が対象で、2024年のゴルフコースの参加率は全体で5.4%、最も若い「10代」(調査対象は18歳以上のため実質18〜19歳)では0.6%だった[9]。金融機関など外部企業が全国規模でジュニアのプレー料金を補助する例は、本稿の調べでは確認できなかった。

比較軸米国(Golf with Us)日本
子どもの料金提携コースで1ラウンド5ドル(約787円)以下[1]運営会社ごと。アコーディア・キッズは16時以降100円(税別)など[8]
税の扱い—18歳未満はゴルフ場利用税が非課税[7]
費用の負担者銀行が会費と市営コース拡充、非営利団体が差額を補助[1][4]税は自治体が免除、割引は各ゴルフ場・運営会社[7][8]
子どもの参加累計登録約20万人[1]18歳未満の全国統計は確認できず。18〜19歳のコース参加率は0.6%(2024年)[9]

※「—」は本稿で確認していない項目。

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まとめ

Golf with Usは、銀行が会費と市営コースの拡充を、非営利団体がコースへの差額を受け持つことで、米国の子どもに5ドル以下のラウンドを届けている。開始から約1年半で累計登録は約20万人、2026年の登録は前年比20%増だった。一方で、銀行の拠出額や1人あたりのラウンド回数は公表されておらず、費用対効果を外から測る材料はまだ限られる。

ゴルフをする読者にとっては、子どもの1ラウンドの安さが、コース・シミュレーター・練習施設を横断した料金設計で支えられている点が見方を変える材料になる。ビジネス読者には、将来の顧客を育てる費用を業界の外の企業が持つ場合、何を成果として公表するかが判断材料になる。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本の子どももGolf with Usに参加できるのか。
A. できない。対象は米国の全50州とワシントンD.C.、プエルトリコの6〜18歳だ[1]。

Q. 5ドルで何が含まれるのか。
A. 子ども本人が歩いて回るプレー料金だけだ。カート代や同伴する大人の料金は別に通常料金がかかる[5]。

Q. バンク・オブ・アメリカはいくら出しているのか。
A. 拠出額は公表されていない。発表で示されたのは、会員資格の無料提供と、市営コース160超の追加に資金を出していることだ[1]。

海外展開

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出典

  1. Bank of America’s Golf with Us Sees Record Participation with Nearly 200,000 Kids Signed Up, Bank of America Newsroom, 2026-09-24. https://newsroom.bankofamerica.com/content/newsroom/press-releases/2026/09/bank-of-america-s-golf-with-us-sees-record-participation-with-ne.html
  2. Bank of America’s Golf with Us Reaches Record Participation, The Golf Wire, 2026-09-24. https://thegolfwire.com/bank-of-americas-golf-record-participation/
  3. Bank of America’s Golf with Us sees record participation with nearly 200,000 kids signed up, First Call Golf, 2026-09-24. https://www.firstcallgolf.com/industry-news/release/2026-09-24/bank-of-americas-golf-with-us-sees-record-participation-with-nearly-200-000-kids-signed-up
  4. A $5 green fee? Youth on Course creates affordable golf for juniors, First Call Golf, 2021-09-08. https://www.firstcallgolf.com/features/feature/2021-09-08/a-5-green-fee-youth-on-course-creates-affordable-golf-for-juniors
  5. Does the $5 round cover the cost of adults too?, Youth on Course. https://youthoncourse.org/knowledge/does-the-5-round-cover-the-cost-of-adults-too
  6. $5 green fees?! How young golfers can enjoy one of game’s best deals, GOLF.com, 2025-12-30. https://golf.com/lifestyle/five-dollar-green-fees-youth-on-course/
  7. ゴルフ場利用税, 東京都主税局. https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/leisure/golf
  8. アコーディア・キッズのご登録について, 株式会社アコーディア・ゴルフ. https://www.accordiagolf.com/accordiakids/about.html
  9. Japan Golf Market Annual Review 2026 ゴルフマーケットデータ, ゴルフ市場活性化委員会(GMAC), 2026-04. https://www.golf-gmac.jp/wp-content/uploads/2026/04/GMA2026.pdf
  10. 為替レート&チャート「米ドル / 円」, auじぶん銀行, 2026-09-28参照. https://www.jibunbank.co.jp/products/foreign_deposit/chart/usd/