Workspace ONEオンプレ版終了、MDM移行先の選び方

閉域網や社内データセンターで数千〜数万台のスマートフォンとPCを管理している日本の大企業では、端末管理基盤の保守期限が中期計画の前提を左右する。その基盤としてWorkspace ONE UEMをオンプレミスで運用している情報システム部門のエンドポイント管理担当が、今期中に移行先を決める必要が出てきた。

対象は、Omnissa(旧VMwareのエンドユーザー・コンピューティング事業が独立した会社)の端末管理製品Workspace ONE UEMのうち、自社サーバーに導入するオンプレミス版だ。Omnissaが公開するライフサイクル表では、オンプレミス版にあたるWorkspace ONE UEM Console 2410の一般サポート終了日は2027年4月10日である[1]。2410の後に出たオンプレミス版はこの表に載っておらず、クラウド版だけが2607まで版を重ねている[1]。

2026年10月2日から数えると、残りは190日しかない。端末の再登録を伴う移行なら、稟議と検証を含めて今から動かないと間に合わない。本稿は、終了日とその後に失われるものを一次情報で確かめ、Omnissa SaaS、Microsoft Intune、他社オンプレ製品の3案を比べ、移行期間と稟議に載せる論点を整理する。

予備知識

  • UEM: Unified Endpoint Managementの略。スマートフォンとPCをまとめて設定配布・制御する管理基盤
  • 一般サポート終了(EOGS): ベンダーが修正版の提供と問い合わせ対応をやめる期限
  • 自動デバイス登録(ADE): Appleの法人向け仕組み。購入した端末を電源投入時に自社の管理基盤へ自動で登録させる
  • AirWatch Cloud Connector(ACC): 社内のActive Directoryや認証局をWorkspace ONE UEMのクラウド版につなぐ中継ソフト

移行先の候補としてIntuneを評価するとき、登録方式やポリシーの考え方を画面に沿って確かめられる一冊。

Workspace ONE UEMオンプレ版はいつ終わるのか

結論から書くと、Omnissaの一次情報で確認できる期限は2027年4月10日である[1]。ライフサイクル表は2026年9月22日に更新されており、Console 2410は一般提供開始が2025年2月14日、提供終了と一般サポート終了がともに2027年4月10日、技術ガイダンス期間はN/Aとなっている[1]。

注意したいのは日付のずれだ。Soliton Systemsのブログは、v2410が最終のオンプレ版で、サポート終了を2027年4月30日と書いている[6]。Samsung SDSのブログも2027年4月の終了を伝えるが、日付までは示していない[7]。どちらも自社のオンプレ製品を代替として売り込む記事であり、本稿はOmnissaの表の4月10日を基準にする。

オンプレ版2410だけ一般サポート期間が約26か月と長い

2209から2402までの各版は、一般提供開始から約18か月で一般サポートが終わっていた[1]。2410だけは約26か月あり、次の版が出ない前提で期間を延ばしたと読める。

最終版であることは、Omnissaの文書からも裏付けられる。オンプレミス保守の手順書は2410が最新の版として掲載されている[4]。Tech Zoneの設計ガイドは、新規のオンプレミス導入は例外扱いで、プロフェッショナルサービスの関与が必要だと明記している[2]。

オンプレ運用をクラウドへ移すときの進め方と落とし穴を、移行計画の立て方から整理したい担当者に向く。

サポート終了後に何が失われるのか、延長や後継はあるのか

一般サポートが終わると、修正版、新しいOSへの対応、問い合わせ窓口の3つがなくなる。Omnissaのライフサイクル表は、サポート終了後の状態を、新しいセキュリティ修正とバグ修正がない、保守更新とOS互換性の更新がない、電話とWebでの問い合わせができない、と定義している[1]。

Workspace ONE UEM Console 2410が2027年4月10日の一般サポート終了を境に、修正やOS対応や問い合わせを受けられない状態に移る流れを示した図
オンプレ版2410は一般サポート終了後、技術ガイダンス期間を経ずにサポート終了となる

ソフトウェア自体は期限後も動く[7]。ただし新OSへの対応が止まれば、OS更新のたびに管理できない項目が増えていく。

延長の扱いを示す欄は、2410には設定されていない。同じ表でHorizon 8 2006には一般サポートの例外延長が明記されているのに対し、UEM Console 2410にはその記載がない[1]。現時点で延長を前提に計画を立てる根拠はない。

オンプレミスに代わる選択肢として、Omnissaは2025年10月にSovereign Solutionを発表した[5]。提携先のパートナーが現地で運用と保守を担うUEM環境で、当初の提供地域はドイツとオーストリアに限られる[5]。日本での提供は一次情報では確認できなかった。

機能面の差も広がっている。2410のリリースノートは、Modern SaaS Architectureの機能はオンプレミス版では提供されないと明記している[3]。

オンプレミス

クラウドサービスの利用が進み、認証の仕組みが以前と比較して格段に重要になってきているのではないでしょうか。 周囲を見渡しても、ID管理に関連するサービスやITニュースがずいぶん増えているため、今さら、「Azure ADって結[…]

Laptop and mobile phone

移行先はSaaS版・Intune・他社オンプレ製品のどれか

移行先は、データを社外に置けるかどうかで最初に絞り込まれる。社外に置けないなら他社のオンプレ製品しか残らず、置けるならOmnissa SaaSかIntuneの比較になる。

Intuneにオンプレミス版はない。ConfigMgr(Configuration Manager、Microsoftのオンプレ端末管理製品)とIntuneを組み合わせたハイブリッドMDMは、2019年9月1日に提供を終えた[8]。ConfigMgr単体のオンプレミスMDM機能も、2022年11月1日以降の最初のリリースで削除されている[9]。

観点Omnissa SaaSMicrosoft Intune他社オンプレ製品
提供形態クラウドクラウドのみ自社サーバー
データの保存場所—アジア太平洋地域(日本を含む複数国のデータセンター)自社内
社内ADや認証局との連携ACCが社内から外向き通信だけで中継——
版の更新の主導権Omnissa側(直近の版は一般サポートが1年未満)—自社
ベンダーのサポート期限版ごとに公開——

※「—」は本稿で確認していない項目。

Omnissa SaaSでは、ACCが社内ネットワークから外向きの通信だけで動作する[2]。分析サービスのIntelligenceは東京を含む6つのリージョンで運用されている[12]。ただしUEM本体の保存場所が日本国内に限定できるかは、一次情報では確認できなかった。

端末データを社外に保存できない場合は他社オンプレ製品、保存できる場合はMicrosoft 365中心ならIntune、既存設定の継続を重視するならOmnissa SaaSを候補にする判断の流れ図
データを社外に置けるかで移行先の候補が分かれる

Intuneのデータは、テナント作成時のEntra ID(Microsoftのクラウド認証基盤)の国・地域で保存先の地域が決まり、後から変えられない[10]。アジア太平洋地域は日本を含む6か国・地域のデータセンターで構成され、国単位のローカル地域として挙がっているのはオーストラリア、インド、スイスで、日本は含まれていない[10]。

SaaSでは検証の周期も変わる。クラウド版の一般サポートは、直近の2604が約9か月、2607が約8か月だ[1]。クラウド版2410には、2026年10月1日までに上位の版へ移るよう求める注記もある[1]。

オンプレ

数百台から数千台のオンプレミスサーバーを抱え、その一部をAWS Systems Manager(以下SSM、AWSのサーバー運用管理サービス)で管理している日本企業のインフラ担当にとって、2026年9月30日から予算の組み方が変わった。年[…]

移行にどれだけかかるか、稟議に何を載せるか

期限から逆算すると、移行に使える期間は約6か月である。2026年10月2日から2027年4月10日までは190日で、ここに稟議、検証、端末の切り替えを収める必要がある。

2026年10月から11月に棚卸しと稟議、12月から1月に検証、2月から3月に端末移行を行い、2027年4月10日のサポート終了に間に合わせる計画の例を示した図
2027年4月10日から逆算した移行計画の一例

工数を最も大きく左右するのは、端末の再登録である。Appleは、iOS 26、iPadOS 26、macOS 26以降の組織所有端末について、Apple Business上で別の管理サービスへ移す機能を提供している[11]。自動デバイス登録で入れた端末が対象で、アプリとデータを残したまま移せる場合がある[11]。

この機能には期限設定もある。管理者は1日超から90日未満の範囲で移行期限を決められ、期限を過ぎるとiPhoneやiPadは再起動を伴って移行が強制される[11]。共有iPadや、Apple Configuratorで手動登録して30日の仮期間内にある端末は対象外だ[11]。

稟議に載せる論点は4つに絞れる。1つ目は、データを社外に置けるかという要件の再確認で、法務と監査の判断が要る。2つ目は、iOS 26未満の端末や自動デバイス登録でない端末の台数で、登録のやり直しにかかる工数を決める。

3つ目は、期限に間に合わない場合のサポート切れ期間をリスクとして明記することだ。4つ目は、SaaSの版更新の周期を社内の変更管理で回せるかである。

オンプレ

数千人規模の従業員を抱え、SharePoint Server(Microsoft 365ではなくオンプレミス環境で運用する社内ポータル基盤)を人事・稟議・ナレッジ共有の窓口として使い、年1回の内部監査を受ける企業のIT基盤担当者に、いま最[…]

SIerに保守を委ねる日本企業の端末管理移行で何が変わるか

同じ状況は日本企業でも起きる。むしろ閉域網と社内データセンターを前提にした設計が多いぶん、影響は大きくなりやすい。

観点ベンダーが想定する移行日本企業で起きやすいこと
保守契約利用者が直接契約SIer経由で、終了の通知が担当者に届くまで時間がかかる
意思決定IT部門が選ぶ稟議と予算化が年度単位で、期限直前に年度末が来る
データ所在要件に合う地域を選ぶ社外保存の可否を法務・監査と詰め直す
端末の世代最新OSへ更新済み業務アプリの都合で古いOSや共有端末が残る
人員専任の管理者がいる少人数で既存運用と並行して移行を回す

特に重いのは年度との重なりだ。4月10日の期限は、多くの企業で新年度予算の執行開始直後にあたる。移行費用を2026年度の予算で確保できなければ、期限をまたいだ運用になる。

保守契約がSIer経由なら、2410の終了後にSIerが何を保守するのかも契約書で確かめる必要がある。

IT部門の判断としては、端末台数をOS版数と登録方式で分けて棚卸しし、再登録が必要な台数を11月までに確定させる。決裁側の判断としては、移行費用を今年度の補正か来年度の前倒しで確保するかを、サポート切れ期間を許容しない前提で決める。

よくある質問(FAQ)

Q. 2027年4月10日を過ぎるとWorkspace ONEは止まりますか。
A. ソフトウェアは動き続けるが、修正版とOS対応、問い合わせ窓口がなくなる。

Q. Intuneを自社サーバーに入れて使えますか。
A. できない。ハイブリッドMDMは2019年に、ConfigMgrのオンプレミスMDM機能も2022年11月1日以降の最初のリリースで削除された。

Q. iPhoneは初期化しないと別の管理サービスへ移せませんか。
A. iOS 26以降の組織所有端末で、自動デバイス登録しているものはApple Business上で移行できる。それ以外の端末は、登録のやり直しを計画に入れる必要がある。

まとめ

Workspace ONE UEMのオンプレミス版は、Omnissaのライフサイクル表で2410が2027年4月10日に一般サポートを終える。延長の記載はなく、Omnissaの同等のオンプレ後継も日本では確認できない。

IT部門の次の一手は、管理端末をOS版数と登録方式で棚卸しし、データを社外に置けるかの判断を法務と詰めたうえで、移行先の検証計画を12月開始で引くことだ。決裁側の判断材料は、残り190日で年度末をまたぐという時期の制約と、期限を越えたときにサポート切れの管理基盤で全端末を運用するリスクである。

期限の日付は、第三者の記事で4月30日とされている場合がある。保守契約の更新判断では、Omnissaの表と契約先からの正式な通知で日付を確かめてから進めたい。端末管理の移行は、端末を持つ全社員に影響する。期限から逆算した計画を、年内に決裁まで通しておくことが重要だ。

この記事に関連するおすすめリスト

MBA テクノベート系・DX おすすめ書籍端末管理基盤の移行を、IT戦略とクラウド投資判断の両面から考えるための本をまとめていますAmazonでリストを見る

※Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

出典

[1] Omnissa「Omnissa Lifecycle Matrix」(2026-09-22更新) https://docs.omnissa.com/Product-Lifecycle-Matrix/lifecyclematrix
[2] Omnissa Tech Zone「Workspace ONE UEM architecture」 https://techzone.omnissa.com/resource/workspace-one-uem-architecture
[3] Omnissa「Workspace ONE UEM Release Notes 2410」 https://docs.omnissa.com/Workspace-ONE-UEM-Release-Notes-V2410/WorkspaceONEUEM-ReleaseNotes
[4] Omnissa「Workspace ONE UEM On-Premises Maintenance」 https://docs.omnissa.com/RecommendedArchitecture-V2410/WorkspaceONEUEMOn-PremisesMaintenance
[5] Omnissa「Modern path to a sovereign digital workspace」(2025-10-08) https://www.omnissa.com/insights/blog/omnissa-one-2025-amsterdam-omnissa-sovereign-solution/
[6] Soliton Systems「The 2027 Countdown: Navigating the Omnissa Workspace ONE On-Premise End of Life」 https://solitonsystems.com/blog/the-2027-countdown-navigating-the-omnissa-workspace-one-on-premise-end-of-life/
[7] Samsung SDS「Omnissa’s End of Support: What IT Teams Need to Know」(2026-08-17) https://www.samsungsds.com/us/blog/ems-omnissa-end-of-support.html
[8] Microsoft Learn「What happened to hybrid MDM?」 https://learn.microsoft.com/en-us/intune/configmgr/mdm/understand/what-happened-to-hybrid
[9] Microsoft Learn「Removed and deprecated features for Configuration Manager」 https://learn.microsoft.com/en-us/intune/configmgr/core/plan-design/changes/deprecated/removed-and-deprecated-cmfeatures
[10] Microsoft Learn「Intune Data Storage and Processing Overview」 https://learn.microsoft.com/en-us/intune/privacy/data-handling/data-storage-processing
[11] Apple「Migrate devices to a new management service in Apple Business」 https://support.apple.com/guide/business/migrate-devices-to-a-new-management-service-axm3a49a769d/web
[12] Omnissa Tech Zone「Omnissa Intelligence architecture」 https://techzone.omnissa.com/resource/omnissa-intelligence-architecture