年商1億ドル超と公表、米ネット販売ゴルフレッスン会社がCEO交代

米国フロリダ州フォートローダーデールのPerformance Golf(パフォーマンス・ゴルフ)が、2026年10月22日に経営トップの交代を発表した[1]。同社は2016年創業で、レッスン動画やAIアプリ、パター、練習器具をネットで直接売ってきたゴルフレッスン会社だ[1]。創業者のブリクストン・アルバート氏は創業者兼会長に移り、新CEOにはダイレクトレスポンス・マーケティングを専門とするトッド・ブラウン氏が就いた[1]。

ダイレクトレスポンス・マーケティングとは、広告や販売ページで見た人にその場で申し込みや購入をさせ、反応を数字で測りながら売り方を直していく手法を指す。同社の発表では、年商は1億ドル超(約155億円。1ドル=155円換算)、累計の顧客は140万人超で、外部からの資金調達はゼロだという[1]。いずれも会社側の説明で、決算書などの第三者の検証はない。

同社の顧客は、米国の店やゴルフ場ではなく、スマートフォンのアプリと通販でレッスンと道具を買っている。

Performance GolfのCEO交代では、誰が何を担当するのか

今回の交代は、創業者が製品と提携に専念し、日々の経営を広告とマーケティングの専門家に任せる分担だ[1]。アルバート氏は、最初のオンライン動画講座から会社を率いてきた[1]。

アルバート氏によると、ブラウン氏が担うのは組織の仕組み、業務の手順、測定、報告の周期といった日々の運営だ[1]。アルバート氏自身は製品開発と、知名度を上げるための大型の提携、複数の製品分野への広がりに時間を使うと述べた[1]。利用者は、より使いやすくなった変化に気づくはずだとも話している[1]。

創業者のアルバート氏は会長として製品開発と提携を、新CEOのブラウン氏は組織の仕組みや測定・報告などの日々の運営を担う
CEO交代後のPerformance Golfの役割分担(2026年10月22日の発表)

ブラウン氏は20年以上、ダイレクトレスポンス・マーケティングで起業家の事業づくりを支えてきた人物だ[1]。商品の効く理由を一つの仕組みとして打ち出す手法(ユニーク・メカニズム)を広めたことで知られる[1]。同社とは約8年前、初期の大型販促キャンペーンの相談役として関わり始めた[1]。

ブラウン氏は、ゴルフ指導の分野で最も信頼されるブランドを目指しつつ、ダイレクトレスポンスの手法は土台として残すと述べた[1]。外部資金がゼロのまま、9桁(1億ドル以上)の売上のブランドに育ったことも同氏が強調した点だ[1]。外部の株主がいない会社では、広告に投じたお金が販売で回収できるかどうかが、そのまま成長の速さを決める。これは筆者の見立てだ。

店や代理店を通さず、自社のサイトとアプリで直接売るD2Cブランドの組み立て方を、世界観とテクノロジーの両面から説明する。

PG1アプリとRS1パターは、どんな値段と仕組みで売られているのか

同社の売り方は、無料体験つきのアプリ会員を入口にして、会員割引で道具の購入へつなげる形だ[2][3]。PG1は2026年3月9日に始まったAIレッスンのアプリで、体型や練習時間に合わせてスイングの根本の欠点を見つけ、練習の順番を組む[2]。同社はAIの仕組みや指導との連携、試験に300万ドル(約4.7億円)を投じたと説明している[2]。

PG1の販売ページでは、7日間の無料体験のあと、月払いは29ドル(約4,500円)、年払いは199ドル(約3万800円)だ[3]。会員には、全製品の30%割引、新製品の先行購入、365日間の返金保証がつく[3]。

Performance GolfのRS1パター。黒いシャフトの先にPGの刻印があるヘッドと、DUAL PISTOLと書かれた太いグリップが並んでいる
RS1パターのヘッドとグリップ。グリップに「DUAL PISTOL」「PERFORMANCE GOLF」の表記がある(画像:Performance Golf公式サイトより)

道具の中心にあるのがRS1パターだ。価格はスチールシャフトの標準モデルが399ドル(約6万1,800円)、カーボンシャフトのRS1+が429ドル(約6万6,500円)で、米国内は送料無料だ[4]。ヘッド重量360gのうち75%超をシャフトの軸より前に置き、フェースを開きにくくしたと同社は説明する[1][5]。

同社の最高マーケティング責任者は2026年10月7日、RS1が5月13日の発売から1万5,000本超売れ、1日平均100本を超えたと述べた[5]。定価399ドルで単純に掛けると約600万ドル(約9.3億円)になる。会員割引や上位モデルの比率で実際の売上は変わり、この計算は筆者の試算にすぎない。

販売ページから7日間の無料体験、PG1会員(月29ドルまたは年199ドル)、会員30%割引でのRS1パターなどの道具の購入へと進む流れ。会員には365日間の返金保証がつく
PG1の会員を入口に、道具の購入へつなぐPerformance Golfの売り方

このほか同社は、練習器具、サプリメント、ライブ指導、幼児向けの練習セットLil’ Legendsも扱う[1]。

無料体験から定額会員へ、会員から物販へとつなぐ売り方を、小さな事業者の目線で書いた実務書。PG1とRS1の組み合わせと同じ型だ。

年商1億ドル超と累計140万人は、どこまで確かな数字なのか

年商と顧客数はどちらも会社の自己申告で、範囲や時点は書かれていない[1][2]。今回の発表も、見出しは1億ドル超、本文は「9桁の売上」とだけ書き、具体的な金額や対象の年度は示していない[1]。本稿が確認した範囲では、決算書は公開されていない。

顧客数は、同じ会社の公表物の中でも数字が揃わない。今回の発表と3月のPG1の発表は累計140万人超としている[1][2]。PG1の販売ページは、上部に世界で210万人、別の欄にプラットフォーム上の利用者143万人超と書いている[3]。

同じ会社の公表でも、顧客数は140万人から210万人まで幅がある
項目会社の説明出典確認できたこと
年商1億ドル超(見出し)、9桁の売上(本文)[1]金額・対象年度は非公表
顧客数140万人超/143万人超/210万人[1][2][3]定義の違いは非公表
外部資金ゼロ[1]新CEOの発言
従業員276人[3]販売ページの記載のみ
RS1の販売本数1万5,000本超(5月13日以降)[5]役員の発言

※「非公表」は公開されていない項目。

数字の大きさより読み取れるのは、販売ページの数字が成果の看板として使われている点だ。同じページには、結果は典型例ではなく個人差がある、という断り書きもある[3]。返金保証や無料体験と同じく、数字も売り場の一部として置かれている。これは筆者の見立てだ。

背景には米国のゴルフ人口の伸びがある。今回の発表は全米ゴルフ財団(NGF)の数字として、ゴルフをする米国人が4,800万人を超え、2019年から41%増えたと引いている[1]。3月のPG1の発表は、同じ4,800万人を2025年の数字とし、10年で55%増えたと書いている[2]。どちらも会社が引用した数字で、起点の年が違う。

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日本のゴルフスクールはネット販売型のレッスンとどう違うのか

アプリの定額会員から道具の通販へつなぐ会社は、日本では大手の例を確認できなかった。比べられるのは、返金保証やオンラインの練習支援を店舗型のスクールに組み込んだRIZAP GOLFだ。RIZAPグループのRIZAP GOLF(ライザップゴルフ)は、2015年に東京・六本木で1号店を開き、2017年7月の川崎店で11店舗になった[7]。現在の公式サイトでは全国19店舗としている[6]。

同社の公式サイトは、累計会員1万8,000人突破(2023年9月末時点)と書く[6]。入会時に契約したコースには、初回利用日から30日間の全額返金保証がある[6]。入口は60分3,300円の体験レッスンつきのゴルフ力診断だ[6]。

自宅での練習は、2017年の時点で「オンラインドリル」として専属トレーナーがメニューを送り、練習に意見を返す仕組みを入れていた[7]。売り物の中心は個室での対面指導だ[7]。

比較軸Performance Golf(米国)RIZAP GOLF(日本)
売り物の中心アプリ会員と通販の道具[1][3]店舗での対面指導[7]
規模の数字累計140万人超(会社説明)[1]累計会員1万8,000人超(2023年9月末)[6]
拠点フロリダ州の本社、対面スクールもあり[1]全国19店舗[6]
入口の価格7日間無料、のち月29ドル[3]診断60分3,300円[6]
返金保証365日間[3]30日間[6]
道具の販売パター・ウェッジなどを自社で販売[1][4]—

※「—」は本稿で確認していない項目。顧客数は両社とも自社の数え方で、定義は揃っていない。

マーケティング

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よくある質問(FAQ)

Performance Golfのアプリはいくらか

PG1は7日間の無料体験のあと、月払い29ドル(約4,500円)か年払い199ドル(約3万800円)だ。会員には同社製品の30%割引がつく。

年商1億ドル超は確かな数字なのか

会社の自己申告で、具体的な金額、対象の年度、監査の有無は公表されていない。本稿が確認した範囲では、決算書も公開されていない。

新しいCEOはどんな経歴の人か

トッド・ブラウン氏は20年以上、ダイレクトレスポンス・マーケティングと顧客獲得を起業家に指導してきた人物だ。同社とは約8年前から販促の相談役として関わってきた。

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まとめ

Performance Golfは、年商1億ドル超(約155億円)、累計140万人超、外部資金ゼロと説明する米国のネット販売型レッスン会社だ。2026年10月22日、創業者が会長に移り、ダイレクトレスポンス・マーケティングの専門家がCEOに就いた。

売り方は、7日間無料のPG1アプリ(月29ドル・年199ドル)を入口に、会員割引で399ドルのRS1パターなどへつなぐ形だ。一方で、顧客数は同社の公表物の中でも140万人から210万人まで幅があり、年商の対象年度も示されていない。

次の手がかりは、RS1の34インチや中尺、長尺のモデルが加わる11月1日以降の販売の発表だ[5]。新CEOのもとで、アルバート氏が語った大型の提携が実際に発表されるかも見ておきたい。

出典

  1. Performance Golf「Why Did Performance Golf Founder Brixton Albert Step Down as CEO of His $100M+ Company?」(PRWeb配信、2026年10月22日) https://www.prweb.com/releases/why-did-performance-golf-founder-brixton-albert-step-down-as-ceo-of-his-100m-company-302916635.html
  2. Performance Golf「Performance Golf Launches Personalized Game-Improvement Platform PG1」(2026年3月9日付リリース、同社ブログ) https://www.performancegolf.com/blog/performance-golf-launches-personalized-game-improvement-platform-pg1
  3. Performance Golf「PG1」販売ページ(2026年10月25日取得) https://pg1.performancegolf.com/pg1-pdp
  4. Performance Golf公式ショップ「RS1 Putter」(2026年10月25日取得) https://shop.performancegolf.com/products/rs1-putter
  5. The Golf Wire「Why Performance Golf Put 75 Percent of the RS1 Putter’s Weight in Front of the Shaft」(2026年10月7日) https://thegolfwire.com/performance-golf-rs1-putters-weight/
  6. RIZAP GOLF 公式サイト(2026年10月25日取得) https://www.rizap-golf.jp/
  7. RIZAPグループ「ゴルフの結果にコミットするRIZAP GOLFが神奈川県へ初進出 11店舗目となる川崎店を7/14(金)にオープン!」(2017年7月14日) https://www.sse.or.jp/wp-content/uploads/2017/07/rizap170714.pdf